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『FabricPool』をもっと理解するためのアーキテクチャ紹介 〜その3〜

ストレージ / HCI
2020.06.01
みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
これまでFabricPoolの「構成イメージ」、「書き込み時のデータ移動」、「読み込み時のデータの流れ」といったアーキテクチャについて紹介してきました。
今回はFabricPoolのアーキテクチャ紹介の最終回として、オブジェクトストレージとの接続トポロジとFabricPool構成時の要件について紹介します。
 
 オブジェクトストレージとの接続トポロジ                             
 
Local TierとなるデータアグリゲートとCloud Tierとなるオブジェクトストレージとの接続は「データアグリゲート 1つ 対 オブジェクトストレージ 1つ」の構成、ならびに「データアグリゲート複数 対 オブジェクトストレージ 1つ」の構成が可能です。ただし、複数のクラスタ環境から1つのオブジェクトストレージに接続する構成は非推奨となります。
 
  
更にONTAP9.7からは1つのデータアグリゲート(Local Tier)に対し2つのオブジェクトストレージ(Cloud Tier)を接続可能にする『FabricPool Mirror』が設定できるようになりました。FabircPool Mirrorは2つのオブジェクトストレージに同一のデータが書き込まれる機能です。オブジェクトストレージをFabircPoolに組み込む際はプライマリとセカンダリを決めます。例えばプライマリのオブジェクトストレージをAzure Blobストレージ、セカンダリをStorage GRIDとするような構成が可能です。読み込み動作はプライマリから実行されます。
 
 
これまではFabricPoolが構成されている環境からオブジェクトストレージを切り離すことが難しかったのですが、FabricPool Mirrorを構成することによりオブジェクトストレージのプライマリとセカンダリを切り替えることでオブジェクトストレージを切り離すことが容易になりました。
 
 
FabricPool Mirrorを構成する際に先にプライマリのオブジェクトストレージが設定されデータが書き込まれている場合、後からセカンダリのオブジェクトストレージを設定するとプライマリからセカンダリにデータをコピーする「resync」が実行されます。このresync時のデータのコピーはオブジェクトストレージ間で直接実施するのではなく必ずコントローラを介すのでご注意下さい。
 
 
resyncが完了するとLocal Tierからのデータは双方のオブジェクトストレージに同時に書き込まれます。
 
 
 FabricPool構成時の要件                            
 
FabricPoolを構成する際「オブジェクトストレージとの自動階層化を実現する『FabricPool』」で紹介したAFFなどの使用可能な製品、使用可能なオブジェクトストレージサービス、必要なライセンスなどの要件以外に以下の要件があります。
 

■ネットワーク要件

▶Cloud TierへアクセスするLIF

FabricPoolを構成した時、Local TierはIntercluster LIF(クラスタ間 LIF)を介しCloud Tierにアクセスします。クラスタ間LIFはHAペアとなっている両方のコントローラに設定が必要です。この構成によりコントローラ障害時でもオブジェクトストレージへの通信を継続できます。
 

▶ファイアウォール要件

オブジェクトストレージへのアクセスする際に該当するポートのインバウンドとアウトバウンドのトラフィックをファイアウォールで許可する必要があります。例えばAzure Blob Storageの場合は443ポートを許可する必要があります。

 

▶オブジェクトストレージアクセス要件

オブジェクトストレージを設定すると、そのオブジェクトやバケットへはURLでアクセスします。そのため、オブジェクトストレージを展開するクラウドサービスへの名前解決が必要です。名前解決をするためにはONTAPのクラスタにDNSサーバの登録が必要です。
 
 

 

■FlexVolの要件

FabricPoolを設定するアグリゲート内に作成するFlexVolは必ず「シンプロビジョニング」を有効にする必要があります。
 
 

 

■FlexGroupの要件

FlexGroupは複数のアグリゲートに作成されたFlexVolを1つの大きなボリュームとしてまとめる機能です。このFlexGroupに対してもFabricPoolの設定が可能です。FlexGroupでFabricPoolを有効にするためにはFlexGroupを構成するFlexVolを格納するアグリゲート(Local Tier)の全てにFabricPoolを有効にする設定が必要です。またオプションとしてそれぞれのLocal Tierには別々のオブジェクトストレージ(Cloud Tier)を紐付けることが可能です。例えばLocal Tier 1にはAzure Block Blobを紐付け、Local Tier 2にはStorage GRIDを紐付けることが可能です。
 
 

 

■QoSの要件

FabricPoolとQoSの最小値保証設定は排他的であるため同時に設定するとパフォーマンスの劣化を招きます。そのためFabricPoolを設定するFlexVolではQoSの最小値保証設定はあらかじめ削除して空欄にして下さい。
 
 
これまで3回にわたりFabricPoolのアーキテクチャを紹介しました。
これからはITコストの削減などの目的でパブリッククラウドの利用を検討することが多くなると思います。パブリッククラウドを利用してもこれまでのオンプレ環境がなくなることはないため双方の管理が必要になってきます。FabricPoolはこれまでのONTAPの知識を活かしつつ、最小限の管理でストレージコストを削減しハイブリッドクラウド環境を構築することが可能なソリューションです。ぜひ一度お試し下さい。
 

今回のポイント

  • データアグリゲートとオブジェクトストレージとの接続トポロジは1対1、多対1が構成可能
  • 1つのデータアグリゲートに2つのオブジェクトストレージを接続する「FabricPool Mirror」
  • データアグリゲートからオブジェクトストレージへのアクセスは「Intercluster LIF」を使用
  • オブジェクトストレージにアクセスするためにはファイアウォールの該当のポートを許可
  • オブジェクトストレージにはURLでアクセスするため名前解決が必要
  • FabricPoolとQoSの最小値保証設定は同時に設定できないのでQoS最小値保証は設定を削除
 

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)