はじめに
こんにちは、SB C&Sの友松です。今回は、Nutanixのマルチクラスター管理ツールである「Prism Central(プリズム セントラル)」を紹介します。Prism Centralについての記事は3部構成で作成しており、内容は以下のようになります。
第1回: Prism Central とは ←今回の記事
※この記事はPrism Central をベースに作成したものであるため、その後の製品アップデートによる仕様変更などについては最新のメーカードキュメント等をご確認ください。なお 、Prism Central のバージョン は AOS(例えばAOS 5.15など)と同様の採番形式ではなく、「pc.2020.9.XX」といった独自の数え方で提供されております。
今回ご紹介する内容
・Prism Element とは
・Prism Central とは
・Prism Central のソフトウェア エディションとNutanixの運用機能
Prism Element とは
Prism Centralを紹介する前に、Nutanix 標準の管理ツールである「Prism Element(プリズム エレメント)」について紹介します
Prism Elementとは、単一のNutanix クラスターを管理するために、Nutanixが提供しているWebコンソールの事です。Nutanixでは、単にPrismと呼ばれることがよくありますが、多くの場合はPrism Elementの事を「Prism(プリズム)」と略称しています。
Prism Elementは、Nutanixクラスターを作成した時に、ストレージコントローラーの役割を果たすCVM(Controller VM)に標準で実装されます。このPrism Webコンソールには、、クラスターのVIP(Virtual IP)または、CVMのIPアドレスを用いてアクセスすることができます。
このPrism Elementによって、NutanixのHCI基盤やその上の仮想化基盤を、単一のWebコンソールで管理することができますが、選択するハイパーバイザーによって、Prism Elementの使い方が少し異なります。
例えばハイパーバイザーがNutanix AHVの場合は、Nutanixクラスター上の全ての管理をPrism Elementから行いますが、
Prism Central とは
ここからは、「Prism Central」について紹介します。Prism Centralでは、複数のNutanixクラスターを一元管理することができます。このPrism Centralは、Nutanixクラスターを作成した時に標準で実装されるPrism Elementとは異なり、仮想マシンとして別途デプロイして使用するものとなります。
このPrism Centralを用いることで、管理対象として登録されている1つ以上のNutanixクラスターをPrism Central Webコンソールで一元管理することができます。例えば、任意のクラスター上に仮想マシンを作成したり、特定のクラスターのアラートやリソース状況を参照したりすることが可能です。
ちなみにPrism Central VMは、Nutanixクラスター内にPrism Elementから、簡単にデプロイすることができます。この方法については、後日別の記事で紹介します。
ここまで、Prism Centralを複数クラスターの一元管理ツールとして紹介してきました。
実際のところ、Nutanixクラスターの一般的な管理についてはPrism Elementの方ができることが多いため、複数クラスターを集中管理したいといった要件がない限りは、通常Prism Elementでクラスターを管理します。ただPrism Centralは、単なるマルチクラスター管理ツールというわけではなく、Nutanixには、Prism Centralによって提供される運用機能が多数あります。
例えば、キャパシティプランニングやレポート機能、X-Playによる運用の自動化などがそれにあたります。さらに、Prismとは別ライセンスで提供される機能にも、Prism Centralの導入を前提としているものがあります。例えば、「Flow」と呼ばれるソフトウェア・デファインド・ネットワーキング機能などです。
これらの機能を利用するためには、対象が単一のNutanixクラスターであっても、Prism Centralを導入します。この場合、一般的なクラスターの管理はPrism Element、追加で使用したい機能の管理はPrism Central、といった使い分けとなります。これ以降は、Prism CentralとNutanixの運用機能について、Prismのソフトウェア エディションと関連させて紹介したいと思います。
Prism Centralでは、導入するPrism Centralのソフトウェア エディションによって、使用できる機能が異なります。また、Prism Centralを前提とする機能のいくつかは、Prism Centralとは別のライセンスで提供されているものがあります。
Prism Starter
全てのAOSソフトウェア エディションに標準でバンドルされており、追加で購入する必要がないエディションです。考え方としては、Prism Elementで実施できる一般的なクラスター管理操作を複数クラスターに対して統合的に実施できるといったものです。例えば、仮想マシンの管理やハードウェアの状態確認、特定のクラスターのアラートの監視などです。
Prism Pro
こちらはPrism Starterの機能に加えて、追加の運用機能を使用することができるエディションであり、別途購入する必要があります。Prism Pro以上のエディションで使用できるNutanixの運用機能は、Prism Elementでは提供されていないものであると考えるとよいかと思います。機能例としては、カスタマイズ可能なダッシュボード、キャパシティプランニング、レポート機能などがあります。
Prism Ultimate
こちらはPrism Central のバージョン「pc.2020.8」のリリース時に発表された、新しい最上位エディションです。Prism Proの全ての機能に加えて、さらに追加された新機能を使用することができます。新機能の例としては、SQL Server監視、アプリケーション検出のサポート、コスト管理機能などがあります。
その他 Prism Centralを前提とするNutanixの機能
Nutanix Flow
こちらは
Flowについては、こちらの記事もご参考ください。
Nutanix Calm
こちらは
以下、Prism Centralのソフトウェア エディションごとに使用できる機能についてまとめましたので、参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、Nutanixの管理ツール「Prism Central」について、概要やエディションごとに使える機能などを紹介しました。Prism Centralでは、複数のクラスターを一元的に管理することができますが、その他にも様々な機能を提供していることが、ご理解いただけたかと思います。次回の記事では、Prism Central(Proエディション)で使える機能について、もう少し詳しくご紹介します。お楽しみに。
書籍紹介
おわりに、Nutanix製品に関する最新の書籍を紹介します。こちらは当社のエンジニアチームと、ニュータニックス・ジャパン合同会社のエンジニアの方々が共同執筆したもので、AHVをはじめとするNutanixの技術やサービスを詳しく学ぶことができます。ご興味のある方やこれからNutanixを勉強したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
書籍タイトル:
Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
著者:
SB C&S株式会社 ニュータニックス・ジャパン合同会社 協力
発売日:
2019年05月24日
価格:
3,600円+税
出版社:
翔泳社
詳細情報:
翔泳社のホームページ