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【Prism Central ブログ 第1回】 Nutanix -Prism Centralとは-

ストレージ / HCI
2021.01.19

はじめに

こんにちは、SB C&Sの友松です。今回は、Nutanixのマルチクラスター管理ツールである「Prism Central(プリズム セントラル)」を紹介します。Prism Centralについての記事は3部構成で作成しており、内容は以下のようになります。

第1回: Prism Central とは ←今回の記事
※この記事はPrism Central pc.2020.9 をベースに作成したものであるため、その後の製品アップデートによる仕様変更などについては最新のメーカードキュメント等をご確認ください。なお、Prism Central のバージョン は AOS(例えばAOS 5.15など)と同様の採番形式ではなく、「pc.2020.9.XX」といった独自の数え方で提供されております。

今回ご紹介する内容

・Prism Element とは
・Prism Central とは
・Prism Central のソフトウェア エディションとNutanixの運用機能

Prism Element とは

Prism Centralを紹介する前に、Nutanix 標準の管理ツールである「Prism Element(プリズム エレメント)」について紹介します

Prism Elementとは、単一のNutanix クラスターを管理するために、Nutanixが提供しているWebコンソールの事です。Nutanixでは、単にPrismと呼ばれることがよくありますが、多くの場合はPrism Elementの事を「Prism(プリズム)」と略称しています。

Prism Elementは、Nutanixクラスターを作成した時に、ストレージコントローラーの役割を果たすCVM(Controller VM)に標準で実装されます。このPrism Webコンソールには、
Webブラウザから、クラスターのVIP(Virtual IP)または、CVMのIPアドレスを用いてアクセスすることができます。

このPrism Elementによって、NutanixのHCI基盤やその上の仮想化基盤を、単一のWebコンソールで管理することができますが、選択するハイパーバイザーによって、Prism Elementの使い方が少し異なります。

例えばハイパーバイザーがNutanix AHVの場合は、Nutanixクラスター上の全ての管理をPrism Elementから行いますが、
ESXiの場合は、vCenterサーバも併用して管理します。

Prism Central とは

ここからは、「Prism Central」について紹介します。Prism Centralでは、複数のNutanixクラスターを一元管理することができます。このPrism Centralは、Nutanixクラスターを作成した時に標準で実装されるPrism Elementとは異なり、仮想マシンとして別途デプロイして使用するものとなります。


このPrism Centralを用いることで、管理対象として登録されている1つ以上のNutanixクラスターをPrism Central Webコンソールで一元管理することができます。例えば、任意のクラスター上に仮想マシンを作成したり、特定のクラスターのアラートやリソース状況を参照したりすることが可能です。

ちなみにPrism Central VMは、Nutanixクラスター内にPrism Elementから、簡単にデプロイすることができます。この方法については、後日別の記事で紹介します。


ここまで、Prism Centralを複数クラスターの一元管理ツールとして紹介してきました。
ちなみに、Webinarやハンズオンなどで紹介すると「Prism Centralでもクラスター管理ができるなら、Prism Elementとの使い分けはどうしたらいいの?」と尋ねられることがあります。

実際のところ、Nutanixクラスターの一般的な管理についてはPrism Elementの方ができることが多いため、複数クラスターを集中管理したいといった要件がない限りは、通常Prism Elementでクラスターを管理します。ただPrism Centralは、単なるマルチクラスター管理ツールというわけではなく、Nutanixには、Prism Centralによって提供される運用機能が多数あります。

例えば、キャパシティプランニングやレポート機能、X-Playによる運用の自動化などがそれにあたります。さらに、Prismとは別ライセンスで提供される機能にも、Prism Centralの導入を前提としているものがあります。例えば、「Flow」と呼ばれるソフトウェア・デファインド・ネットワーキング機能などです。

これらの機能を利用するためには、対象が単一のNutanixクラスターであっても、Prism Centralを導入します。この場合、一般的なクラスターの管理はPrism Element、追加で使用したい機能の管理はPrism Central、といった使い分けとなります。

これ以降は、Prism CentralとNutanixの運用機能について、Prismのソフトウェア エディションと関連させて紹介したいと思います。

Prism Central のソフトウェア エディションとNutanixの運用機能

Prism Centralでは、導入するPrism Centralのソフトウェア エディションによって、使用できる機能が異なります。また、Prism Centralを前提とする機能のいくつかは、Prism Centralとは別のライセンスで提供されているものがあります。以下、エディションごとに使用できる主な機能を紹介します。

Prism Starter

全てのAOSソフトウェア エディションに標準でバンドルされており、追加で購入する必要がないエディションです。考え方としては、Prism Elementで実施できる一般的なクラスター管理操作を複数クラスターに対して統合的に実施できるといったものです。例えば、仮想マシンの管理やハードウェアの状態確認、特定のクラスターのアラートの監視などです。

Prism Pro

こちらはPrism Starterの機能に加えて、追加の運用機能を使用することができるエディションであり、別途購入する必要があります。Prism Pro以上のエディションで使用できるNutanixの運用機能は、Prism Elementでは提供されていないものであると考えるとよいかと思います。機能例としては、カスタマイズ可能なダッシュボード、キャパシティプランニング、レポート機能などがあります。

Prism Ultimate

こちらはPrism Central のバージョン「pc.2020.8」のリリース時に発表された、新しい最上位エディションです。Prism Proの全ての機能に加えて、さらに追加された新機能を使用することができます。新機能の例としては、SQL Server監視、アプリケーション検出のサポート、コスト管理機能などがあります。

その他 Prism Centralを前提とするNutanixの機能

Nutanix Flow

こちらはAHVで使用できるソフトウェア・デファインド・ネットワーキング機能であり、ノード毎に年間のサブスクリプションとして別途購入して使用します。

Flowについては、こちらの記事もご参考ください。

Nutanix Calm

こちらはインフラストラクチャとアプリケーションの自動化およびライフサイクル管理機能であり、
仮想マシンやコアごとに、年間のサブスクリプションとして別途購入して使用します。

以下、Prism Centralのソフトウェア エディションごとに使用できる機能についてまとめましたので、参考にしてみてください。

まとめ

この記事では、Nutanixの管理ツール「Prism Central」について、概要やエディションごとに使える機能などを紹介しました。Prism Centralでは、複数のクラスターを一元的に管理することができますが、その他にも様々な機能を提供していることが、ご理解いただけたかと思います。次回の記事では、Prism Central(Proエディション)で使える機能について、もう少し詳しくご紹介します。お楽しみに。

書籍紹介

おわりに、Nutanix製品に関する最新の書籍を紹介します。こちらは当社のエンジニアチームと、ニュータニックス・ジャパン合同会社のエンジニアの方々が共同執筆したもので、AHVをはじめとするNutanixの技術やサービスを詳しく学ぶことができます。ご興味のある方やこれからNutanixを勉強したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
書籍タイトル: Nutanix Enterprise Cloud
クラウド発想のITインフラ技術
著者: SB C&S株式会社
ニュータニックス・ジャパン合同会社 協力
発売日: 2019年05月24日
価格: 3,600円+税
出版社: 翔泳社
詳細情報: 翔泳社のホームページ

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用、MBA留学などの経験を経て、2019年にSB C&S入社。若いうちに技術を習得しておきたいとの想いから、日々HCIや仮想化製品をいじり回している。ちなみに好きな食べ物はささみ。