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Cohesityを利用したOracle RACと仮想基盤のバックアップ統合

データマネジメント
2021.03.24

はじめに

みなさん、こんにちは。SBC&Sの中里です。

Cohesityは「データ管理プラットフォーム」として様々な機能を提供しています。
特にバックアップ・リカバリに関する機能はシンプルな操作性で、様々なインフラ環境に対応しており
バックアップ環境を統合する目的として導入されることが多い機能となります。

そこで、今回はOracle RACが存在するインフラ環境に対してCohesityがどう活用できるか紹介させていただきたいと思います。

バックアップ環境のサイロ化

企業で運用しているシステムにおいて、以下のようにシステム毎のバックアップ環境ができてしまっているということはありませんか?
・Oracle RAC専用にバックアップサーバーやストレージを用意し、バックアップ運用をしている。
・仮想基盤(VMware、Hyper-V)専用にバックアップソフトを購入している。
・物理環境は自動でデータをバックアップするスクリプトを実行している。
・・・・・・などなど

このような環境のことを"バックアップ環境がサイロ化している"と表現することもあります。

スクリーンショット 2021-03-19 11.32.14.png

特にOracle RACはミッションクリティカルな環境で利用されていて、かつステージング環境や
開発環境でも運用しており、専用にバックアップ環境を構築されていることが多いのではないでしょうか。

課題

仮想基盤やOracle専用にバックアップ環境を構築されている場合、課題が山積されていることがあります。

・ライセンスや運用に関わる費用、更新費用、環境の修正費用等コストが莫大である。
・バックアップ環境毎に運用チームが存在し、管理もバラバラである。
・運用が属人化(外部委託等)しており、人的なリスクが考慮できていない。
・そもそもちゃんとバックアップできているか、有事の際に環境を回復できるかどうか把握できていない。
・・・・等

Cohesityを導入すると

Cohesityを導入するとOracle RACと仮想基盤のバックアップ環境を統合することができます。
さらに、バックアップ手法やリストア手法、テスト環境の構築もバックアップ対象に関わらず同じ方法で実行することができるため、運用をシンプルに、かつ誰でも運用できるような環境を手にすることができます。

特にOracle RACは複雑な環境(ネットワークやサーバーの数が様々)で運用されていることが多く、バックアップ環境をシンプルに構築することが困難な場合であることが多いですが、Cohesityは仮想マシンをバックアップするときと同じような手順でバックアップ、リストアすることが可能です。

そうすることで、DBAや仮想基盤の管理者は本来注力すべき業務に専念することができるようになります。


スクリーンショット 2021-03-12 18.29.30.png

また、パファーマンスに関してもノードを追加することでリニアに拡張させることができるため、インフラ環境が大きくなったとしても安心です。CohesityはDBファイルのような大きなファイルを分割にして
各ノードに分散して書き込むことができ、バックアップ速度の改善も可能になります。

バックアップまでの手順

本記事では、Cohesityで仮想基盤(ESXi)環境上の仮想マシンとOracle RACをバックアップするまでの手順をご紹介します。
見比べていただければ、手順はほぼ同じでシンプルな操作感でバックアップを取ることができるということをご理解いただけるのではないかと思います。

1、CohesityでESXi上の仮想マシンをバックアップする手順

まずはESXiを管理するvCenterをCohesityに登録します。
CohesityのGUI上で[Source]→[Hypervisor]を選択
スクリーンショット 2021-03-03 18.08.24.png

vCenterの登録に必要な情報を入力します。
スクリーンショット 2021-03-17 10.13.49.png

以上で登録完了です。仮想マシンをバックアップできる準備が整いました。
スクリーンショット 2021-03-03 18.11.17.png

続いて、仮想マシンのバックアップジョブを作成します。
[Protection]→[Virtual Server]を選択
スクリーンショット 2021-03-03 18.26.57.png

バックアップする仮想マシンを選択します。
スクリーンショット 2021-03-17 10.16.08.png

バックアップするときのポリシー(バックアップ頻度や保持期間を設定したもの)を選択し、必要であれば実行時間などを入力して保存します。

スクリーンショット 2021-03-03 18.29.09.png

バックアップジョブの作成が完了しました。設定した時間に合わせてバックアップジョブが実行されます。
バックアップが実行され、正常に完了すると以下のような表示となります。
スクリーンショット 2021-03-03 18.29.48.png

2、CohesityでOracle RACをバックアップする手順

ESXiのときと同様、バックアップする対象のOracle RACを構成しているサーバーを登録します。
[Source]→[Physical Server]を選択
OracleやMS SQLのようなDBをバックアップするときは、まずDBサーバーを物理サーバーとしてCohesityに登録し、そのサーバーをOracleもしくはMS SQLとして認識させます。

※事前にOracle RACを構成するすべてのサーバーにCohesity Agentをインストールする必要があります。
スクリーンショット 2021-03-17 10.17.06.png

SCANを用いてサーバーを登録します。SCANで登録すると、SCANを構成するすべてのサーバーがCohesityに認識されます。
スクリーンショット 2021-03-17 10.17.42.png

物理サーバーが登録できたので、そのサーバーをOracleとして認識させます。
スクリーンショット 2021-03-17 10.18.18.png

Oracle DBの認証情報を選択します。
スクリーンショット 2021-03-17 10.19.07.png

Oracle RACとして登録完了です。[orcl]というDBが自動で認識され、詳細を確認するとデータベースタイプとして[RAC-CDB]と認識されていることがわかります。
スクリーンショット 2021-03-03 18.17.54.png

続いて、Oracle RACのバックアップジョブを設定、実行します。
スクリーンショット 2021-03-03 18.31.33.png

バックアップするDBを選択します。
スクリーンショット 2021-03-17 10.20.11.png

バックアップするときのポリシー(バックアップ頻度や保持期間を設定したもの)を選択し、必要であれば実行時間などを入力して保存します。

スクリーンショット 2021-03-03 18.32.41.png

バックアップジョブの作成が完了しました。設定した時間に合わせてバックアップジョブが実行されます。
バックアップが実行され、正常に完了すると以下のような表示となります。
スクリーンショット 2021-03-17 10.20.54.png

まとめ

いかがだったでしょうか。ESXi上の仮想マシンをバックアップするときの手順とOracle RACのDBをバックアップするときの手順がほぼ同じであることをご理解いただけたのではないかと思います。バックアップ対象のリソースをCohesityに登録するときの手順は少し異なりますが、大きな違いはなく、一度登録してしまえば仮想マシンやDBが増えても自動的にCohesityが認識してくれます。あとはバックアップ対象が増えたときにバックアップジョブを作成すればいいだけです。MS SQLやファイルサーバのバックアップに関しても、手順は大きく変わりません。

バックアップ環境の管理者からすれば、Cohesityという製品だけを管理していればよく、かつ様々な環境のバックアップ手順も統一化できるため、運用の効率化を図ることができるかと思います。
バックアップ環境が複雑で、想定以上のコストがかかっているというお悩みがあれば是非、Cohesityを検討してみてはいかがでしょうか。

※今回検証に使用したSoftwareバージョンは6.5.1です。バージョンにより機能の仕様や動作が異なる場合があります。Cohesityの導入においては、お客様の実際の環境にて事前にPOC等にて検証・評価後、導入をご検討ください。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
中里 隆二