こんにちは。SB C&S の山田です。
この記事では VMware vSAN の各エディションの機能比較とライセンス体系についてご紹介します。
vSANを導入する際、ライセンス購入が必要となります。このライセンスには複数のエディションやライセンス体系があります。ユースケースによって最適なエディションがありますので、この記事ではそれぞれのエディションの機能比較、ライセンス体系についてご紹介していきます。
エディションの機能比較
vSANはStandard、Advanced、Enterprise、Enterprise Plus の4つのエディションがございます。各エディションの主な機能は下記になります。
Standard から Enterprise Plus へと上位エディションに上がるにつれて利用できる機能が増えていきます。各エディションの特徴についてご紹介します。
Standard
最も安価なStandard も、フラッシュデバイスとHDDで構成したハイブリッド構成と、フラッシュデバイスのみで構成したオールフラッシュ構成の両方をサポートしております。オールフラッシュ構成が可能なため高いIOPSを求める要件にも対応できます。
また、vSANのライセンスには分散仮想スイッチがStandardから含まれています。vSphereであればEnterprise Plusでしか利用できない機能です。vSphereがStandardでもvSANライセンスを購入することで分散仮想スイッチが利用できるようになります。
vSANを構成した環境で分散仮想スイッチを利用するメリットとしては、分散仮想スイッチの機能であるNIOC(Network I/O Contro)が利用できる点が挙げられます。vSAN用のトラフィックと vMotion、管理、仮想マシンなどの他のトラフィックが物理NICを共有する場合に役立ちます。
例えば、NIOCのシェア値を設定しておけば、物理アダプタが飽和状態になったときにNIOCがvSAN用のトラフィックを優先し、特定のバンド幅をvSAN で使用することができます。これにより、vSAN以外のトラフィックが物理アダプタのトラフィックのキャパシティ全体を消費するのを防ぎます。
Advanced
Standard の機能に加え、オールフラッシュ構成であれば領域効率化機能を利用できます。
具体的には、vSAN データストアに格納したデータに対して、重複排除と圧縮をする機能が利用できます。また、RAID 5またはRAID 6 のイレイジャーコーディングを利用することができ、ミラーリング(RAID 1)と同じレベルのデータ保護が可能かつ、ストレージの利用容量を削減することができます。
Enterprise
Advanced の機能に加えvSANクラスタ内の保存データの暗号化とストレッチクラスタ機能を備えています。ストレッチクラスタとはvSANクラスタを2つのサイトに拡張し、より高度な可用性とサイト間のロード バランシングを実現することができる機能です。
また、vSAN 7.0から新しく追加された、vSANデータストアにファイル共有(SMB、NFSv3/4.1 )を作成する機能であるファイルサービスや、他のvSANクラスタとデータストアを共有する機能であるHCI Meshが利用できます。
Enterprise Plus
Enterprise Plus は Enterprise に vRealize Operations Advanced がバンドルされたエディションです。vSAN 7.0から新しく追加されたエディションです。
vRealize Operationsは仮想環境全体を監視できる管理ソリューションです。詳細はリンク先をご確認ください。
ライセンス体系
ライセンス体系はCPU単位とVDIデスクトップ単位の2種類あります。また、vSphereのライセンスとvSANのライセンスを一つにまとめたライセンスがあり、これをHCI Kitといいます。詳細は順にご紹介していきます。
CPU単位は物理サーバーのCPU数でライセンスをカウントします。例えばvSANを2CPU × 4台の物理サーバーで構成する場合は8ライセンス必要となります。
注意点ですが、1CPUにおけるコア数に制限があり、1ライセンスにて最大32コアまでとなります。1CPUが32コアより多くのコアを保有する場合は追加のライセンスが必要となります。例えば、1CPU 48コアの場合は1ライセンスでの利用ができないため、2ライセンス必要となります。2CPU 48コアの場合は各CPUにて2ライセンス必要となるため、計4ライセンス必要となります。
VDIデスクトップ単位(CCU)はVDI環境のみでvSANを利用する方向けのライセンスです。同時接続ユーザー数単位で、10または100ライセンスのパックで利用できます。
HCI Kit はvSphereライセンスとvSANライセンスがセットになっているライセンスです。なお、HCI Kitは、vSphereとvSANのエディションの組み合わせにより複数の種類があります。
HCI Kitを選択するメリットとしては例えば、vSphere Enterprise とvSAN Advanced 以上のエディションのセット(HCI Kit Advanced以上)を選択した場合、vSphereとvSANを個別で購入するよりもお得な値段で購入が可能であるという点があります。
HCI Kit にはROBO(Remote Office Branch Office)というエディションがあります。こちらはリモートオフィスや支社などの小規模環境でのご利用を予定している方向けにおすすめのライセンスです。1サイトあたり最大25台の仮想マシンが利用可能となる、vSphere ROBO と vSAN ROBOのライセンスをセットにしたライセンスです。
その他のHCI Kitは下記になります。要件に合致するvSphereのエディションとvSANのエディションの組み合わせのHCI Kitをご選択いただければと思います。
※HCI Kit Essentials は ESXi 3 台まで利用可能です。1台あたり2CPUまで利用可能です。
※vSphere ROBOライセンスのエディション機能差は、下記の参考情報からご確認ください。
https://www.vmware.com/content/dam/digitalmarketing/vmware/ja/pdf/vsphere/vmw-flyr-vsphererobo-uslet.pdf
※vSAN ROBOの各エディションの機能差は通常の(ROBOではない)Standard、Advancedと同様です。
その他、vSANライセンスはHorizon Term のAdvanced 以上にもバンドルされています。詳細については別途、Horizonのライセンスについてご確認ください。
ご不明点、詳細は弊社にお問い合わせください。
仮想化クラウド販売推進部
連絡先:SBBMB-sbb_vmware@g.softbank.co.jp
以上、簡単ですが vSAN のエディションの機能比較、ライセンス体系についてご紹介しました。