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Nutanix Global .NEXT Digital Experience 2021 Day2 Keynoteの最新情報をお届け

Nutanix
2021.09.23

※本投稿で紹介される内容は、発表当時のものであり将来の機能実装をお約束するものではありません。

こんにちは。SB C&Sの真砂です。

昨日から開催されている、Nutanix Global .NEXT Digital Experience 2021も2日目を迎えました。

昨日のDay1では、企業におけるITは、パブリッククラウドにシフトしつつも、本来求める柔軟性と拡張性は、オンプレミスとパブリッククラウドの融合である「ハイブリッドクラウド」こそが実現する解であるという発表がありました。

ハイブリッドクラウドの課題である、セキュリティ・コンプライアンスや管理面の課題を、Nutanixはシンプルな画面で統合的に管理できる仕組みを提供していくとの発表がありました。
このシンプルなハイブリッドクラウドを実現するにあたり、具体的にRedHat社との提携によるOpenShiftのワークロードとしてNutanixが認定されたことや、今後2社共同のロードマップが示される予定など期待できるアナウンスがありました。

また、Nutanix Clusters on AzureがNutanix Test Driveに登場したことも、リリースが目前に来ていることを期待させる内容でした。
OpenShiftによるクラウドネイティヴなアプリケーションのプラットフォームに加え、Nutanixと連携できるパブリッククラウドの選択肢が増えることで、よりシンプルなマルチクラウドの世界をNutanixが作ろうとしていることを感じることができるDay1の内容でした。

Day2では、Day1で発表されたコンセプトを裏付けるテクノロジー的な内容が数多くありました。

本記事ではこれらの技術的な発表について、ダイジェストのような形でまとめさせていただきます。

Day2のダイジェスト

LUKE CONGDON氏からAHVに関する発表がありました。
Nutanixから提供されているハイパーバイザー「AHV」は、グローバルでも53%の採用実績になりました。
AHVは、無償で利用できるということに留まらず、使い勝手が良いものになっていることから採用率が高くなっているように思われます。
AHVのロードマップとして、メモリーのオーバーコミット機能も今後提供される予定のようです。
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NutanixではFlowと呼ばれるマイクロセグメンテーション機能を提供していました。
今回リリースされる仮想ネットワーク機能で、オンプレミスとパブリッククラウドをシームレスに管理することができるようになるようです。
VPCを利用したオーバーレイネットワーク機能を提供し、既存のネットワーク上に仮想ネットワークを作成できます。
サイト間の接続にVPN機能を利用することもできます。
本機能はPrism Centralの2021.7から利用ができます。
ワークロードのシームレスな移動に留まらず、セキュリティの機能も提供してくれるようです。
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オンプレミスとパブリッククラウド間でのDisaster Recoveryを一元化した管理画面(DRダッシュボード)が提供されました。
レプリケーション時のデータ暗号化の機能も合わせて提供され、セキュリティ面も考慮されています。
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RAJIV MIRANI氏から、日本でも注目されはじめているゼロトラスト セキュリティについても触れていました。
ランサムウェア感染のシナリオを例に出して説明があり、感染を検知するとFlowの仕組みを組み合わせて被害の拡大を防ぐようです。
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ここで登場するのが「Flow Security Central」です。
ワークロードごとの感染状況が確認でき、ここからFlowで隔離した状況なども合わせて把握することができると思われます。

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保護対象は仮想マシンワークロードだけでなく、Nutanix FilesとNutanix objectsへの攻撃を検出する「Data Lens」が発表されました。
画面の作りがFile Analyticsと非常によく似ているので、Data LensはFile Analyticsと連携して提供される、またはFile Analyticsと置き換えられる形で提供されるのかとも予想できます。
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KETAN SHAH氏からパフォーマンス向上に関する取り組みについての発表が行われました。
従来のSSD以外にIntel OPTANEとNVMeのティアリングが正式にサポートされました。
また、最新のCPU世代であるIntel IceLake、AMD Milanなど新しいハードウェアがサポートされます。
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大容量のデータを取り扱う際の機能も強化されました。
hadoopなどアプリケーションレベルでデータを2重化しているものは、今までのRF2を利用するとデータの容量効率が低下するデメリットがありました。
ここで今回発表されたRF1を利用することで、大容量のデータを高速かつコストを抑えた形で取り扱えるようになりました。

さらにNutanix ObjectsまたはS3互換のサービスを組み合わせることでペタバイト規模の大容量のデータを取り扱えるようになり、それらのデータをハイパフォーマンスに取り扱うことができる仕組みも実装されるようです。

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Nutanix Filesについてもスポットが当てられていました。
Files内のコールドデータをNutanix ObjectsやAmazon S3、Azure Blobにティアリングする機能が追加されるようです。
それ以外にも非常に短いRTOを実現するSmart DRやユーザーごとに利用できる復元機能であるSelf Service Restoreも、データをシンプルに管理する仕組みの一つとして紹介がありました。
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次はデータベースにスポットが当てられます。
データベースはパブリッククラウドとプライベートクラウドいずれの環境であっても非常に重要なワークロードであり、60%以上がパブリッククラウドとプライベートクラウドで共通のツールを使いデータベースを管理したいという意見があるようです。
ただ実際にはパブリッククラウドとプライベートクラウドを跨いで管理できるツールは少ないのが現状のようです。
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NutanixではEraと呼ばれるデータベース管理ソフトウェアにより、データベースの展開・管理、さらにワンクリックで素早いスケールアップ、マルチサイトを考慮したセキュリティと復元力を提供することが可能になりました。
これにより、ハイブリッドクラウドでよりシンプルなデータベースの運用が可能になるものと思われます。

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次にTHOMAS CORNELY氏が登場し、ガートナー社の調査では、現在75%以上のユーザーがハイブリッドクラウド環境への移行を検討しているとの情報が発表されました。
ハイブリッドクラウドを実現するには、様々なサービス・製品を組み合わせる必要があり複雑怪奇になります。
Nutanixはハイブリッドクラウドをシンプルに実現できる一つの選択肢になると説明がありました。
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SAVEEN PAKARA氏からは1年前に提供が開始されたNutanix Clusters on AWSについて話がありました。
Nutanix Clusters on AWSは、通常のNutanixと変わらずパブリッククラウドでNutanixが利用できると説明がありました。
パブリッククラウドとオンプレミスのNutanixで操作性に違いがないため、ハイブリッドクラウド環境でもシンプルかつセキュリティ、復元力、パフォーマンスを提供することが可能だと強調していました。

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Nutanix Clusters on AWSは、以下ようなユースケースでメリットを発揮できます。
1.DR環境をパブリッククラウドに構築できるため、独自にデータセンターを用意する必要がなくなる。

2.状況に合わせたワークロードの拡張、縮小が容易である。

3.アプリのモダナイゼーションを視野に入れている場合、パブリッククラウドのサービスを活用することができる。

導入も非常に簡易で通常のパブリッククラウドを採用するよりも費用対効果が高いようです。
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Nutanix Clusters on AWSで23のリージョンで利用が可能です。
(日本でも東京リージョンが利用できます)

新たにガバメントクラウド利用できるようになりました。
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Nutanix Clusters on AWSでDR環境を利用する新たな仕組みとしてElastic DRという機能が追加されるようです。
オンプレミスのNutanixとClusters on AWSを組み合わせたハイブリッドクラウドを構成している環境でより柔軟なDRを構成できるようになるようです。
具体的には、Nutanix Clusters on AWSを通常時は最小限のリソースで稼働させ、DR時はAWS側のリソースを自動的に拡張することでき、フェイルバックする際も自動的に縮小され、コストを抑えることができ、障害の度に複雑な操作も必要なく利用ができると思われます。


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さらにコストを抑える仕組みとして、Clusters Hibernate-Resumeと呼ばれる機能も追加されました。
これはClusters on AWSを通常時は休止状態にしてしまい、Clusters on AWS環境をまるっとS3に格納します。

Clusters on AWSを利用しないときに環境をそのままS3に格納し、インスタンスの稼働を行わないことでコストを抑えることができます。
S3に格納したクラスターはいつでも復元することができます。
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さらに注目なのがNutanix Clusters on Azureも今後利用が可能になるようです。
今後数ヶ月以内に利用できるようになるとも発表がありました。
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次の大きな発表として、RedHat社との提携について発表がありました。
NutanixのAHVとOpenShiftを組み合わせることで、シンプルかつモダンなアプリケーションプラットフォームを提供できると説明がありました。
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ANINDO SENGUPTA氏からは、Nutanixはハイブリッドマルチクラウド管理に力を入れてきたと説明がありました。
ユーザーがハイブリッドマルチクラウドを検討するとき、複雑になるため苦労するパターンが非常に多いようですが、Nutanixではこれらがシンプルに利用できるように整備をしているようです。
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ハイブリッドマルチクラウド管理を実現するPrism CentralはvSphereやNutanixをAIを使って統合的に管理できます。
さらに、Nutanix Calmを使うことでオンプレミスパブリッククラウド関係なく、自動的に展開することができます。
なお、CalmはSaaS版がリリースされました。(日本では現在準備中のようです。)
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まとめ

全体的にパブリッククラウドとの連携が強調されており、Nutanixが目指すハイブリッドマルチクラウドの実現へさらに近づいた印象を持ちました。
それ以外にコア部分のアップデートも含めて非常に盛り沢山な内容になっていたと思います。
特にData LensやElastic DR、Nutanix Clusters on Azureなど気になる機能もたくさんあり、GAされるのが待ち遠しく思います。
今年も昨年に続けてオンラインで開催となってしまい、それも最終日を迎えましたがDay1含めて非常に楽しい時間を提供してくれました。

セミナー開催予定

SB C&Sでは、今回行われている「Nutanix Global .NEXT 2021 Digital Experience」の内容をディストリビューターのSE視点で凝縮したフィードバックセミナーをオンラインで開催予定です。
具体的な日程が決まりましたらこちらのページまたは以下のイベントページでご案内します。
https://licensecounter.jp/engineer-voice/seminar/

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
真砂 暁 - Akira Masago

お客様へより良いシステムのご提供を目標に、インフラ周りのプリセールスエンジニアとして活動。
現在は仮想化製品を担当すべく、日々精進しております。