
はじめに
こんにちは!SB C&Sの吉水です。この記事は「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン ~構築編~」の第9回となります。
「新人SEと学ぶ!Nutanixのキホン」シリーズでは、SB C&Sの新人SEメンバーがNutanixの「構築」「運用」「AHV機能」など、いくつかのテーマごとに検証した内容を連載記事として公開しています。今回の「構築編」では、Nutanix環境の構築方法を理解するために、Nutanix専用アプライアンスを用いてクラスターおよびAHVの仮想化基盤を構築していきます。これからNutanixを学びたい方はぜひ参考にしていただければ幸いです。以下「構築編」シリーズのリンクを掲載していますのでご参照ください。
~構築編~シリーズ連載記事
第1回 HCIとNutanixの紹介
第2回 Nutanix専用サーバーの中身をご紹介
第3回 Nutanixとスイッチ構成のご紹介
第4回 Foundation VMの構築
第5回 Foundation実行&クラスター作成
第6回 Prism初回ログインとNCC・LCMについて
第7回 ストレージコンテナと仮想ネットワークの作成
第8回 仮想マシン作成とゲストOSインストール
第9回 Prism Central作成とクラスター登録←今回
今回はPrism Centralをデプロイして、管理するクラスターの登録方法についてご紹介します。Nutanix環境で必須となるPrism Centralの構築方法をお伝えしますので、ぜひご覧ください。
今回からAOS 7.0.1、AHV 10.0.1の新しい環境での検証となります。
Prism Centralとは
Prism Centralは、Nutanixから複数クラスターの管理ツールとして提供されている仮想アプライアンスです。Prism CentralはPrism Element相当のインフラ管理機能だけでなく、基本となるNCIライセンスの上位エディションや、NCMといった別のライセンスで提供される機能を実行する際にも使われます。
なお、ライセンス管理機能も搭載されていますので、単一クラスターの場合でも、Prism Central VM(PCVM)はNutanix環境に必須で構築する仮想アプライアンスとなります。
Prism Centralの構築
iSCSIデータサービスIPの登録
Prism Centralのデプロイに移る前に、iSCSIデータサービスIPを登録しておきます。こちらはNutanixのストレージ内に作成されるボリュームグループのアクセスポイントとして使われるIPアドレスです。Prism Centralはボリュームグループを使用するため、あらかじめIPアドレスを設定しておく必要があります。
まず、Prism Elementのホーム画面からクラスター名の表示されている箇所をクリックします。
iSCSIデータサービスIPを入力して保存します。こちらはCVMやAHVと同じネットワークセグメントのIPアドレスを設定します。
Prism Centralのデプロイ
iSCSIデータサービスIPアドレスを登録したら、Prism Centralのデプロイを行います。
Prism Elementのホーム画面から「Register or create new」を選択します。
新規でPrism Centralのインスタンスを展開します。
ここでは、クラスターにインストールされているAOSに対して互換性があるPrism Centralのバージョンが表示されます。インターネットに接続していれば、選択したバージョンのバイナリを自動的にダウンロードできます。ダークサイト環境でも、ローカル端末にバイナリをダウンロードしておき、「Upload Installation Binary」を選択してアップロードすることができます。
今回のPrism Centralのバージョンは「pc.2024.3.1」を選択します。
続いて、Prism Centralのサイズを選択します。管理対象のVM数やクラスター数に応じてサイズを決定しますが、多くの環境では「Small」で対応可能です。また、通常は1台構成でデプロイしますが、Flow Virtual Networkingなどの特定の機能を使用する際は、可用性を高めるために「Scale-Out PC」を選択して3台構成とすることが推奨されています。
ちなみに、「X-Small」は機能制限付きの特別仕様として提供されており、Prism Centralの機能をほとんど使用しないEdgeや小規模環境などで、CPUやメモリ容量を節約したい場合に、導入が検討されるものです。
今回は「Small」の1台構成を選択します。
続いて、ネットワーク情報、DNS、NTPサーバーのIPアドレスを入力します。PCVMとCVMはクラスター管理のために疎通性を持たせる必要があり、またPCVMはiSCSIデータサービスIP経由でボリュームグループをマウントしますので、一般的にCVMやiSCSIデータサービスIPと同一のネットワークに配置します。
続いて、マイクロサービスに関する設定画面はデフォルト(推奨設定)のまま、「展開」をクリックしてデプロイを開始します。なお、Prism Central1台構成の場合、デプロイに40分程度の時間がかかります。(バイナリダウンロード時間含む)
デプロイが完了すると、Prism Elementの仮想マシン画面でPrism Central VMが作成されたことを確認できます。
Prism Centralのマイクロサービスに関する詳細やネットワーク要件などは、リンク先のドキュメントをご参照ください。
Microservices Infrastructure
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide-vpc_2024_3:mul-cmsp-overview-pc-c.html
クラスターの登録
Prism Centralをデプロイしたら、初回ログインを行います。まずは、設定したIPアドレスを使用してブラウザからPrism Centralにアクセスします。初回ログインでは、adminユーザーのデフォルトパスワードを使用してログインし、パスワードの変更やPulseの設定を行います。手順は本シリーズ第6回と同様の流れになります。
デフォルトパスワードは以下リンクからご参照ください。
Logging Into Prism Central
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=Prism-Central-Guide-vpc_2024_3:mul-login-pc-t.html
Prism Centralへの初回ログインおよびパスワード変更が完了したら、Prism Elementの画面に戻り、クラスターをPrism Centralに登録します。ホーム画面の「Register or Create now」から「接続」を選択します。
「次へ」を選択します。
Prism CentralのIPアドレスおよび「admin」ユーザーとパスワードを入力して、「接続」を選択します。
接続が完了すると、Prism Elementのホーム画面に「Connected」と表示されます。「Connected」の下に表示されているIPアドレスをクリックすると、Prism Centralの画面にアクセスできます。
Prism Centralの画面でも登録したクラスターの情報が確認できました。これでクラスターの登録は完了となります。
ライセンスの適用
冒頭に記載した通り、ライセンスの適用はPrism Centralからの操作となりますが、Prism Centralの「Admin Center」という画面でライセンス管理ができます。
具体的なライセンスの適用手順については、以下のドキュメントをご参照ください。
Applying Cluster-based Licenses
https://portal.nutanix.com/page/documents/details?targetId=License-Manager:lmg-licmgr-licensing-cbl-new-cluster-t.html
Nutanixソフトウェアライセンスの管理
https://www.nutanix.com/ja/viewer/content/dam/nutanix/ja/documents/support/doc-licensing.pdf
最後に
今回はPrism Centralのデプロイとクラスター登録の手順を解説させていただきました。Prism Centralは、Prism Elementからのクリック操作で簡単にデプロイできることがお分かりいただけたと思います。
これまで「構築編」ではNutanix環境のセットアップについて連載してきましたが、「構築編」は今回の記事で終了となります。次回以降は「運用編」として、Nutanixの運用に役立つ機能を紹介していきますので、引き続きご覧いただければと思います。
第1回の記事はこちら
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
吉水 崚 - Ryo Yoshimizu -