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Azure VMware Solutionでハイブリッドクラウドを実現 - オンプレ仮想マシンをそのままAzureへ!

仮想化
2022.03.31

こんにちは。 SB C&S の市島です。
私は VMware製品のプリセールスエンジニアチームに所属しており、VMwareソリューションの機能紹介や技術検証の業務を担当しております。

多くのオンプレミス仮想化環境で利用されているVMware vSphereですが、昨今はオンプレミスのデータセンターだけではなく、様々なパブリッククラウドサービスでVMware vSphereベースの仮想化環境を提供するサービスがリリースされています。

こういったサービスの特徴として、既存のオンプレミス環境と同じVMwareの仮想化テクノロジーが利用されているため、「オンプレミスとクラウドのシームレスな連携が可能」というメリットがあります。例えば、従来のオンプレミス環境の運用手法やツールをそのままパブリッククラウドのvSphere環境でも利用できたり、オンプレミス環境の仮想マシンをそのままパブリッククラウドのvSphere環境へ移行することが可能です。同じ仮想化テクノロジーを用いた一貫性のあるクラウド環境を双方で利用することで、オンプレミスとパブリッククラウドをシームレスに連携した「ハイブリッドクラウド」を実現できます。 

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本ブログでは、3大パブリッククラウドサービスの1つであるMicrosoft Azureで提供される、VMwareベースのクラウドサービス「Azure VMware Solution」ついてご紹介します。また、オンプレミスの仮想マシンをAzure VMware Solutionへシームレスに移行するためのソリューション、「VMware HCX」の機能もご紹介致します。

 

Azure VMware Solution(AVS)とは

「Azure VMware Solution」略して"AVS"は、AzureのデータセンターにVMware vSphereベースの仮想データセンター環境を提供するサービスです。Microsoftが、Azureのクラウドサービスの1つとして提供するサービスのため、VMwareのテクノロジーが利用された環境でありながら、Microsoftがサービスとサポートを提供します。また、AzureのデータセンターにAVSが構成されるため、Azureの仮想マシンやストレージサービスといったAzureネイティブサービスとAVSの間で、低遅延なネットワーク通信が可能です。

 

AVSでは、Azure上に構成されたVMware vSphereベースの仮想データセンター環境を「プライベートクラウド」と呼びます。このAVSのプライベートクラウドは、VMwareのサーバー仮想化ソリューションである「 vSphere(vCenter・ESXi)」をはじめ、ストレージ仮想化の「vSAN」、ネットワーク仮想化の「NSX」、といったVMwareの仮想化ソフトウェアを利用し、Azureデータセンターに用意された専用ベアメタルサーバーを用いて自動的に構成されます。なお、AVSの利用料金にはこれらVMwareの仮想化ソフトウェア「vSphere」「vSAN」「NSX」の利用料金もバンドルされています。

 

AVSは、Azureのサービスでありながら、VMwareの仮想化ソフトウェアがベースとなっているため、仮想マシンやネットワークの作成・管理といった主な操作は「vSphere Client」や「NSX Manager」を使って行います。従来オンプレミスの仮想化インフラ環境で培ってきたvSphere環境の運用ノウハウを、AVS プライベートクラウドでもそのまま活用することができます。

 

 

更にAVSは、既存のオンプレミスvSphere環境とAVSプライベートクラウドを連携するためのソリューション、「VMware HCX」が利用できます。VMware HCXのAdvanced EditionがAVSの基本利用料金にバンドルされているため、追加料金なしで利用ができます。

 


シームレスなシステム移行を実現するVMware HCXの重要な機能として、「仮想マシンの移行機能」と「ネットワークL2延伸機能」の2つの機能があります。この機能を、もう少し詳しくご紹介します。


VMware HCX - 仮想マシンの移行機能

VMware HCXは、異なるVMware vSphere環境間で仮想マシンを移行する機能を提供します。オンプレミスとAVSプライベートクラウドのように地理的に離れたvSphere環境を接続し、オンプレミスからクラウドへ仮想マシンを移行したり、逆にクラウドからオンプレミスへ戻したり、といったシームレスな仮想マシン移行を実現します。

VMware HCXの仮想マシン移行は、vSphere Clientの管理画面から実行できます。下記画面キャプチャは一例ですが、vSphere Clientの仮想マシンインベントリから、仮想マシンのクラウド移行を開始することができます。従来のvSphere Clientで操作するvMotionの実行操作と完全に同じ画面操作ではありませんが、同じような操作感で移行先の環境を指定し、オンプレミス環境からAVSプライベートクラウドへの移行が実行されます。

 

単に「仮想マシン移行」と言っても、VMware HCXでは複数の移行方式が用意されています。使用する移行方式によって、仮想マシンの停止時間や、一括で転送できる仮想マシンの数が異なります。
以下が、VMware HCX の仮想マシン移行方式の種類です。

仮想マシン移行方式名
概要
Cold Migration
・停止中の仮想マシンを移行する機能
Bulk Migration
・仮想マシンの一括移行機能
・仮想マシン移行時に短時間の停止が発生
HCX vMotion
・起動中の仮想マシンをvMotionの技術でライブ移行する機能
Replication Assisted vMotion
(RAV)
・"Bulk Migration"と"HCX vMotion"を組み合わせた移行機能
・複数の仮想マシン データを一括転送し、最終フェーズの移行をvMotionの技術を用いてライブ移行する機能
※HCX Enterpriseエディションが必要

 

以下は、各移行方式の動作イメージを図に表したものです。

このように複数の移行方式が用意されているため、AVSへ移行する業務システムの停止時間(無停止)の条件や、一括移行したい仮想マシンの規模など、移行したいシステムの要件によって柔軟に移行方式を選択することができます。

 

VMware HCX - ネットワークL2延伸機能

VMware HCXは、オンプレミスの既存ネットワークセグメントをクラウドへそのまま延伸する、ネットワークL2延伸機能を提供します。VMware HCXのL2延伸機能は、オンプレミスvSphere環境の、分散仮想スイッチ (VDS)の分散ポートグループ、またはNSXで構成されたネットワークを延伸することができます。
※標準仮想スイッチ (VSS)で構成されたポートグループはL2延伸が利用できません。



オンプレミスの既存ネットワークをクラウドへ延伸することで、「仮想マシンのIPアドレスが変更できない」といった条件があるシステムであっても、IPアドレスを変更せずにそのままクラウドへ移行することが可能になります。

  

VMware HCXの「仮想マシンの移行機能」と「ネットワークL2延伸機能」をご紹介しました。
これらの機能を活用することで、オンプレミスの仮想マシンをそのまま無停止でAzure データセンターのAVSプライベートクラウドへ移行することが可能になります。

 

おわりに

今回はAzure VMware Solutionの概要と、ハイブリッドクラウドを実現する重要な機能であるVMware HCXの機能についてご紹介しました。

ご紹介したようにAzure VMware Solutionは、VMwareのテクノロジーを活用し、オンプレミスとAzureクラウドをシームレスに連携したハイブリッドクラウドを実現できるソリューションです。お客様がMicrosoft Azureへのクラウドシフトを進めて行く中で、「オンプレvSphere環境の仮想マシンをそのままAzure へ持って行きたい」、「物理サーバーの保守切れに伴い、オンプレvSphere環境のリプレイス(移行先)にAzureを検討している」といった要件がある場合は、Azure VMware Solutionの導入が1つの解決策になるかもしれません。

本ブログでは、Microsoftソリューションや、VMware ソリューションの情報を今後も発信していきますので引き続きご確認頂けると幸いです。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
市島 拓弥 - Takuya Ichijima -

VMware vExpert