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Nutanix環境におけるHorizonデスクトップのストレージ容量効率化

ストレージ / HCI
2022.03.31

はじめに

こんにちは、SB C&Sの友松です。今回はNutanix環境におけるESXiで、Horizonのフルクローンデスクトップを作成した場合のストレージ容量効率化について紹介します。

NutanixのAOS Storage(分散ストレージファブリック)に保存される仮想マシンのvDISKは、データが保存されたブロックを参照するポインタベースのメタデータによって管理されています。仮想マシンのスナップショットにおいても、一般的には「Redirect-on-Write」と呼ばれる仕組みに相当するものが提供されています。

「Redirect-on-Write」については、以下記事をご参照ください。

この仕組みによりクローンを作成する場合も、仮想マシンのvDISKを丸ごと複製するのではなく、クローン元vDISKのブロックデータを参照するメタデータの管理によって、ストレージ容量をほぼ消費することなくクローンを大量展開できます。

Nutanixのスナップショットとクローンについての詳細は、Nutanixバイブルもご参照ください。

今回の内容

  1. NutanixのVAAI プラグイン
  2. ESXi版NutanixでのHorizonフルクローンの展開
  3. VAAIが有効な場合のストレージ消費量
  4. VAAIが無効な場合のストレージ消費量
  5. インスタントクローンについて
  6. まとめ

1. NutanixのVAAI プラグイン

Nutanixでは、NFSデータストアとして提供されるNutanixのストレージ機能をvSphereでも使用できるようにするために、VMwareのvSphere APIs for Array Integration(VAAI)をサポートしています。VAAIにより、ESXiでの特定のタスク(スナップショットやクローン、容量予約など)をNutanixのストレージ側へオフロードすることが可能です。

Nutanixでは、ESXi向けに「nfs-vaai-plugin」というVIBを提供しており、vSphereでNutanixクラスターを作成すると、ESXiへデフォルトでインストールされます。このVIBによって、vSphereでのシックプロビジョニングのディスク構成をサポートしたり、容量効率のよいクローンを作成したりすることができます。

VAAIについては、以下の記事を併せてご参照ください。

2. ESXi版NutanixでのHorizonフルクローンの展開

Nutanix環境のESXiでHorizonのフルクローンを作成すると、どの程度ストレージ容量が削減されるのかを実際に試してみます。

用意した環境は以下の通りです。

  • Platform: NX-1465-G5
  • AOS: 6.1 STS
  • データストア: nfs-datastore(ストレージコンテナ)
  • vCenter Server: 7.0.3-19234570
  • ESXi: 7.0.1-16850804
  • AD DNS DHCP: Windows Server 2019
  • Horizon(Connection Server): 2111 8.4.0-19446835
  • クローン元VM: full-clone-gold-image(Windows10)
  • クローン先VM: full-clone01~20(Windows10)

1.png

今回は、Horizon関連コンポーネントのインストールやクローン元のゴールドイメージの作成方法などは割愛します。フルクローンのテンプレートとなるゴールドイメージはNutanixによるNFSデータストアへ配置しています。ゴールドイメージのvDISKは50GBのシンプロビジョニングで作成し、実際の使用容量は「13GB程度」となります。ゴールドイメージのストレージ容量は以下の通りです。

2.png

Nutanix Prismの「ストレージコンテナ画面」でも、このゴールドイメージのvDISKのストレージ使用容量が確認できます。

3.png

この状態で、Horizon Consoleから、フルクローンのデスクトッププールを以下条件でプロビジョニングしてみました。

  • 自動デプロイ 専有割り当て フルクローン
  • 作成台数 20台
  • デプロイ先: nfs-datastore(ストレージコンテナ)
  • View Storage Accelerator 無効

以下のように、フルクローンデスクトップが展開されました。

4.png

フルクローンデスクトップの展開が完了すると、理論的には「13GB×20台」なので、260GB程度のストレージ容量がNFSデータストアにて追加で消費されている計算になります。

ここからは、NutanixのVAAIプラグインが有効・無効それぞれの環境でこのフルクローンの展開をテストし、ストレージコンテナ(NFSデータストア)の使用容量を確認します。

3. VAAIが有効な場合のストレージ消費量

VAAIプラグインが有効な環境で、20台のフルクローンを展開した結果は以下のようになります。

  • ストレージコンテナの使用容量: 計13GB程度

5.png

VAAIにより、クローン機能がNutanix側へオフロードされているため、ほとんどストレージ使用容量が増加することなく、20台のクローンが作成できていることが分かります。

このようにNutanixでは、それぞれのクローンVM用にvDISKを丸ごとコピーするわけではなく、クローン元vDISKのブロックデータを参照するようにメタデータで管理されるため、展開時点では少しのメタデータが増えるといったイメージになります。

4. VAAIが無効な場合のストレージ消費量

比較対象として、VAAIプラグインが無効な環境でのフルクローンを試してみます。Nutanixでは、VAAIプラグインのVIBがESXiへ標準でインストールされますが、このVIBを一時的に削除することで無効化できます。

※今回は検証目的でVAAIのVIBを削除していますが、通常時はVIBを削除しないようにお気をつけください。

VAAIプラグインが無効な環境で、20台のフルクローンを展開した結果は以下のようになります。

  • ストレージコンテナの使用容量: 計275GB程度

6.png

VAAIが無効な場合は、vSphereのクローンにてvDISKが丸ごと複製されるため、展開したクローンVMの台数分だけストレージコンテナの使用容量が増加していることが分かります。

  • 内訳: Gold Image = 13GB、クローンVM = 13GB×20台

5. インスタントクローンについて

Horizonのインスタントクローンによるプロビジョニングでは、レプリカVMやペアレントVMが作成されることでディスク領域が共有されるため、フルクローンに比べてストレージ容量が大幅に削減される仕組みとなっています。また最近では、スマートプロビジョニングと呼ばれる小規模向けのプロビジョニング方式も提供されているため、さらに構成のスリム化が進んでいます。

インスタントクローンではデスクトッププロビジョニングの一部の処理(レプリカVM作成)のみでフルクローンが利用されるため、VAAIによる容量効率化は期待できないと考えられます。ただしNutanixのストレージには、Shadow Cloneとよばれるデスクトップのパフォーマンスに貢献する機能がさらに提供されていたりもしますので、また別の機会に紹介できればと思います。

インスタントクローンやスマートプロビジョニングについては以下の記事もご参照ください。

6. まとめ

今回は、Nutanixを導入したvSphereにおける、Horizonのフルクローンの容量効率化について紹介しました。

各ユーザーがデスクトップを自由にカスタマイズしたい環境においては、Horizonでフルクローンを検討することもあるかと思います。容量効率のよいクローンや重複排除・圧縮の機能を備えたストレージ/HCIは各社から提供されていますが、Horizon導入時にはぜひNutanixも選択肢としてご検討ください。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用、MBA留学などの経験を経て、2019年にSB C&S入社。若いうちに技術を習得しておきたいとの想いから、日々HCIや仮想化製品をいじり回している。ちなみに好きな食べ物はささみ。