こんにちは、SB C&SのPure Storage担当です。
Pure Storageの年次イベントPure//Accelerateが6月8日(日本時間では6月9日)に開催されました。
本イベントにて発表された最新情報をみなさまにいち早くお伝えすべく、レポートをお届けします。
【開催概要】
Pure//AccelerateはPure Storageが年次で開催しているワールドワイドイベントです。昨年、一昨年のオンライン開催を経て、今年は3年ぶりにアメリカ・ロサンゼルスにて現地開催されました。また昨年まで同様にオンラインイベントも同時に開催されており、本イベントの特設サイトにて、現地に行けない方もオンデマンドでセッションを視聴することが可能です。(執筆メンバーはオンデマンドでの視聴内容をもとに記載しております。)
【Keynote】
イベント冒頭には、2時間強のKeynoteセッションがライブ配信されました。こちらのKeynoteで発表のあったポイントを、ブレイクアウトセッションなどで紹介された情報と合わせてご紹介いたします。
FlashBlade新モデル「FlashBlade//S」
ひとつ目のポイントは、FlashBladeの責任者であるAmy Fowler & Matt Burrの2人から発表された、新規モデル「FlashBlade//S」です。
FlashBladeは従来、その名の通りコンピュートリソースとキャパシティが一体となったブレードを組み合わせて構成されるストレージでした。従来モデルでは、1つの筐体に対し17TB or 52TBのブレード7〜15台で構成されていました。
新モデルのFlashBlade//Sも同様にブレード形ではありますが、最大約2PBと大幅に容量密度が上がっているようです。
FlashBlade//Sは5U(従来のFlashBladeシリーズは4U)のシャーシで提供されます。各ブレードに対してDFM(Pure Storage独自設計のフラッシュデバイス)が最大4台搭載され、そのブレードが最小7台〜最大10台、つまり1筐体に対して最大40台のDFMが搭載されます。
またモデルとしてはS200-D、S200-P、S500-D、S500Pの4つのモデルが展開されます。(FB//S500-D, //S500-P のモデルは現時点ではリリースされておらず今後のリリースとなります。)
S200とS500の差はコンピューティングリソースの部分で、S500の方がよりハイパフォーマンスモデルであるとのことです。また"D"と"P"はそれぞれ搭載DFMの容量が異なり、Dは48TBモデル、Pは24TBモデルのDFMが搭載されます。
加えてFlashBladeについて、従来モデルと違いコンピューティングとキャパシティがモジュールとして分離されているため、「足りないリソースのみを効率的に拡張していくことができる」「Evergreen Storage Programのすべての要素を満たしており、シームレスで無停止のアップグレードを提供できる」と述べられました。
従来のFlashBladeでは、その構造上FlashArrayのようなモジュールごとの無停止での交換による半永久的な利用ができませんでしたが、FlashBlade//Sではモジュールごとのアップグレードにより継続的に利用することが可能になったようです。今後も継続的に情報を追っていきたいと思います。
FlashBlade//Sを組み合わせた新規ソリューション「AIRI//S」
また同氏2人のセッションの中では、NVIDIA DGXとFlashBladeを組み合わせ、AIプラットフォームのリファレンスアーキテクチャとして従来提供されてきた「AIRI」に関しても、FlashBlade//Sを取り入れた新たなソリューション「AIRI//S」として市場に投入する、と発表がありました。
AIRI//Sの現在発表されている具体的な構成は以下の通りです。
スケールアウト可能なGPU群として現時点では「DGX A100」が搭載されていますが、AIニーズの拡大に合わせ成長していくため、将来的にはBright Cluster Management SoftwareやDGX H100のサポートなど、ソフトウェアとハードウェアの対応範囲を広げる構成になっています。より詳細な情報はこちらのサイトをご覧ください。
Portworx
Portworxは事例紹介としてComcastとの対談形式で紹介していました。
Comcastはフィラデルフィアに本社を置き、2番目に大きい放送およびテレビケーブルテレビの会社です。世界中で約5300万人の加盟者がおり、メディアとエンターテイメントを提供する会社です。
Comcastではビデオオンデマンドの基盤であるKubernetes環境にPortworxを利用しているとのことです。この環境を利用することにより運用コストを数百万ドル節約に役立てたと説明していました。
続いてPortworx Data ServiceとPX Backupを紹介していました。
Portworx Data Serviceを利用するとで、Cassandra、Postgresなどのデータベースを数クリックでデプロイすることができます。
PX BackupはPortworx Data Serviceでデプロイしたデータベースを含めKubernetes環境のアプリケーションのバックアップが可能です。
PX-Backupに関しての詳しい情報はEngineer Voiceに「Portworxインストール手順書」を掲載しておりますのでご一読下さい。
【ブレイクアウトセッション】
ブレイクアウトセッションはオンデマンド形式で配信されています。その中からいくつかピックアップして紹介致します。
Technical Deep-Dive on FlashBlade
今回の発表内容の中でも目玉となるFlashBlade//Sのテクニカルディープダイブセッションです。FlashBlade//Sに搭載されているインターフェイスの情報や、DFMのコンピューティングの詳細情報、旧世代のFlashBladeとの性能比較など、Keynoteでは語られなかった気になる部分の技術情報がたくさん詰まったセッションとなっております。
Own and Pay as You Go?
本セッションでは、Evergreenサブスクリプションの新たな提供形態「Evergreen//Flex」についてその詳細が説明されています。
Pure Storageでは、ハードウェアの初期投資後、継続的に費用を払うことで定期的なハードウェアのアップグレードとソフトウェアのアップデートが提供されるEvergreen//Forever(旧称 : Evergreen Gold)と、ハードウェアの所有権がPure Storageにある状態で、利用した容量やベースとなるストレージの性能に応じてサブスクリプションモデルとして利用できるEvergreen//One(旧称 : Pure-as-a-Service)の2つの利用形態が提供されてきました。しかし、これらの中間的立ち位置、つまり消費容量ベースでサブスクリプションライクな利用が可能、かつ会計上の理由などからハードウェアの保有という要件は満たしたいというニーズがあったことなどを説明し、新たな利用形態として、ハードウェアの初期投資は行うものの、所有要件を満たしたうえで、初期投資を抑えつつサブスクリプションとして利用可能な「Evergreen//Flex」を提供することが説明されています。
またこの利用形態における具体的な利用要件などについても説明がなされていました。
Accelerate the Path to Production with VMware Tanzu and Portworx
このセッションではVMware Tanzu環境にPortworxを組み合わせることでの利点をデモを交え紹介していました。
Portworxを組み合わせることで「ストレージの拡張性」、「データ保護」、「容量コストの最適化」、「アプリケーションのポータビリティ」といった利点をTanzu環境に実現できます。
ストレージの拡張性は「PX-Store」によるストレージプールの拡張機能で実現し、データ保護は「PX-Backup」によるアプリケーションのバックアップや「PX-DR」によるアプリケーションの他のクラスタへのDR、「容量コストの最適化」は「PX-Autopilot」によるスモールスタートの容量構成からの自動拡張、アプリケーションポータビリティは「PX-Miglate」によるアプリケーションの他のクラスタへの移行など、Portworxの様々な機能でTanzu環境にエンタープライズで必要となる機能を追加することができます。
Data Driven High Performance Containers
ハイパフォーマンス・コンピューティングを実現する基盤としてコンテナの利用が進んでいる中でストレージの側面で最適な構成とは言えない環境でした。Pure Sotregeはハイパフォーマンス・コンピューティングを実現するためのストレージのおすすめ構成としてPortworxとFlashBladeを組み合わせた構成を紹介していました。
Best Practices for Doing Kubernetes Data Protection the RIGHT Way!
PX-BackupによるKubernetes環境のバックアップをデモを交え紹介していました。
今回の発表ではランサムウェア対策の機能についても紹介していました。PX-Backupにおけるランサムウェア対策はバックアップ先のオブジェクトストレージにAmazon S3準拠のオブジェクトロック対応のバケットを指定し、データの書き換えを行わせないことでランサムウェア対策を実現していました。
【まとめ】
今回のPure//Accelerateは3年ぶりとなるオフラインイベントとしての開催でしたが、まだまだコロナ収束とは言えない情勢の中での開催となりました。
今回のイベントではやはり FlashBlade//S "Forever" に対する驚きが大きかったです。Pure Storageといえば「永久保証」というワードでご存知の方も多いかと思いますが、その枠組みにFlashBladeのラインアップも入ることで、よりEvergreenが強化されたと感じました。
また今回新たに発表された「Evergreen//Flex」という利用形態について、サブスクリプションライクな利用形態、というのは近年のストレージベンダー各社の流れではありますが、さらに細かなニーズに沿った利用形態のリリースは、従来より「Storage-as-a-Service」を提唱してきたPure Storageだからこそ一歩先をゆくものとなったのではないかと感じました。
来年こそは現地でイベントに参加できるよう願っております。 もし現地参加が叶えばイベントの様子も含めたレポートを書かせていただきますので、ぜひ今後ともEngineer Voiceを継続的にチェックいただければと思います!!
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
中田 浩嗣 - Hirotsugu Nakata -
VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア
著者紹介
SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)