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SD-WANフェスのウラ話!(資料DLのリンクも!)

ネットワーク
    2022.07.14

    みなさんこんにちは。暑くなってきた今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?

    SB C&Sでは、去る5月25日にSD-WANフェスを開催いたしました。リアルタイムやオンデマンド配信でご覧いただいた方、ありがとうございました。

    フェスと称したこのイベントでは、SD-WANという技術にフォーカスし、複数メーカーの機器を用いて共通の検証を行いました。

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    今回検証の対象とした機器についてはこちらになります(アルファベット順)。
    ・Cisco SD-WAN
    ・Cisco Meraki
    ・Fortinet Fortigate
    ・HPE Aruba EdgeConnect
    ・VMware SD-WAN

    それぞれの機器検証結果等についてはお伝えした通りなのですが、検証中のウラ話や伝えきれなかった製品のポイントなどを検証担当にインタビュー!ということで、今回の記事はわたくしフクダが各担当者に聞いた話をまとめた回になります。出るわ出るわ不満や愚痴有益な感想や考察。サラッと読んでいただければと思います。

    各メーカー横並びでの検証ですので、価格差による性能差はあって当然のものであり、SD-WANフェスでの発表時もそういった前提はお話ししておりました。ですので、本記事においてはどのプロダクトの検証担当の発言か?という点については匿名とさせていただきます。メーカー・プロダクト由来の話というよりは、SD-WAN機能全般に関するウラ話と捉えていただければ幸いです。

    では、早速最初の質問です。

     

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    複雑そうに見えるセットアップやGUIが、実は触ってみると簡単でとってもわかりやすかった!というプラスな意見があった一方で、ゼロタッチプロビジョニングと言いながらも環境によってはより多くの段階を踏む必要があった、という意見もありました。

    また、コロナ禍ということもあり検証は構築のみ現地で行い、その後の検証ステップについてはリモートで行ったプロダクトがほとんどでした。リモートとオフィスを組み合わせるハイブリッドな働き方が広がっていくであろう今後のウィズコロナ時代を考えても、構築さえ行ってしまえばSD-WAN製品の遠隔管理は問題ないということを実感した検証者も多かったようです。

    検証結果という観点からは、相互NAT環境ではポートフォワーディングが必要であることが分かったり、そもそも当たり前にあると思っていた機能が搭載されていないことが構成を検討する段階で判明したりなど、実機での検証ならではの声も聞かれました。また、実際にデータを取ることで、カタログ値は最良の結果が掲載されていることを再確認することになったメーカーもありました。

     

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    登場してからまだ日が浅いプロダクトに関する検証ということもあり、ナレッジやドキュメントの収集に苦労したという声が多かったです。例えば、とある機能について検証しようとした際に設定方法が分からずメーカーに問い合わせたはいいものの、メーカーにもナレッジが無いためかなり手探りな状態で進めたというプロダクトがありました。ほかには、セットアップ開始以降のドキュメントは充実しているものの、その前段階はメーカードキュメントも含めて情報がほとんどないために苦労したという人もいました。

    また、アプリケーションの品質が良いが故に思ったような検証結果が得られないという話も聞かれました。具体的には、回線品質悪化の環境下で、各機器の機能(FEC: 前方誤り訂正)がどのような効果をもたらすか?について検証したときのことです。思わしくなかった原因を考察すると、そもそも回線品質劣化をアプリケーション側で巻き取ってしまっていて、機器の検証としては意味のある結果とならなかったという苦い思い出もありました。

    他には、機器障害試験にて迂回時間が想定より大幅にかかり何度もやり直す必要があることが分かったり、さらにメーカー由来の仕様によって構成違いで検証をさらに行わなければならなかったりと、事前の計画と異なることによる苦労が多かったようです。予定通りになかなか進まないといった苦労は、こういった検証をする際には付き物ですね。

    検証のフェーズが進むに連れて、「こんな検証をした方がいいかも」と思ったとしても、時間的な制約や物理的な制約によって検証を行うことができなかったのは心残りという方もいました。

     

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    こちらの回答はポジティブなものが多かったです。実際に検証を行った上でもっとこんな動きが見てみたかった!といったものや、独自検証についてもっとちゃんと検証したかったとの意見もありました。

    具体的には、"SD(Software-defined)"-WANということでNorthbound APIについての評価なども盛り込みたかったが、共通の評価基準を設けることが困難で手つかずになってしまったのが心残りであるという内容です。
    独自機能については各プロダクト担当に実施したい項目を募っていたのですが、なかなかアイデアが出なかったといった背景もありました。これはプロダクトごとの差別化が図りづらいといった部分もあったのですが、実際に検証して他のプロダクトの結果や発表内容を見てみると、実はそのプロダクトでは当たり前の機能でも他プロダクトにはない機能であったことに気づく点もありました。

    また、性能と価格を併せて評価して優劣を示したかったが、ライセンス費用の算出方式に「回線帯域」や「月の平均利用帯域」などを用いているメーカーもあれば、通信量や帯域幅はライセンス費用に影響しないメーカーもあるなど、別の尺度を用いていたためにメーカー間で公正な比較を実現できる想定環境を用意することができず、構想自体がボツになったのが残念だったという意見もありました。

    時間的な制約や環境の用意が困難といった理由により実現できなかった検証項目もありますが、実際に検証することで普段の提案ではあまり触れることのない機能について知ることで担当プロダクトそのものへの理解が深まるとともに、他のプロダクトとの差別化ポイントが分かったという収穫もありました。

     

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    実際に発表していた内容では検証結果が綺麗に出ていても、検証を行うたびに結果にゆらぎがあり苦労したプロダクトもあったようです。またほかのプロダクトの検証結果や発表内容を見て、あっちのプロダクトのほうが良さそうだなぁといった隣の芝は青く見えるといった意見もありました。

    SD-WANの便利さに慣れてしまってCLIベースのルータの管理はもう面倒だという回答もあり、もしかすると今後はSD-WANネイティブ世代のネットワークエンジニアが出てくるのかもしれませんね(遠い目)。

    また、コロナによって出社自体が難しくなり検証自体が何度も延期になったりするなどして日程の調整を何度も重ねていました。検証期間が長期化したことによって、OSのバージョンがアップデートされて検証をやり直したプロダクトも中にはありました。新しいバージョンでの検証において、元のバージョンでの検証よりもよい結果が得られたので結果的には良かったのですが、コロナによる影響を少なからず受けたという苦労がありました。

     

    今回の検証を通して、普段はディストリビュータというSB C&Sの特性上あまり知る機会が無かったことや、実機での検証を行ったからこそ知り得たことがありました。SD-WANフェスという新たな試みでしたが、検証を行った弊社のみならず、視聴してくださった皆さん&本記事を読んでくださった皆さんにも、少しでも有益な情報があったなら幸いです。

    今後さらに伸びてくると予想されるSD-WAN市場。お客様の導入したい環境によって、必要となる機能や性能は異なると思います。各メーカーによって特長がありますので、ぜひそういった部分を確認していただいて、合ったものをご選択いただければと思います。

    おすすめ記事としてリンクしているページでは、SD-WANフェスにて使用しました資料をダウンロードいただけます。まだダウンロードされていない方は、ぜひダウンロードしてご活用ください。

    では、また次の記事でお会いしましょう!

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    著者紹介

    SB C&S株式会社
    技術統括部 第2技術部 1課
    福田 睦