SB C&SでVMware SD-WANの製品担当をしている、平田と申します。
2023年8月21日にVMware Explore 2023 USが控えておりますが、数か月前にVMware SD-WANの新しいソフトウェアバージョンのリリースが発表されました。Ver4.5系からVer5.0.0へとメジャーバージョンアップになり、多くの機能が追加されています。
本ブログではVMware SD-WANのVer5.0.0からVer5.1.0で追加された新機能ついて、全てはご紹介できませんがいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。(すでにリリースされているメンテナンスバージョンのご紹介については割愛させて頂きます。)
新機能のご紹介一覧
今回ご紹介する新機能は下記の通りです。
- 新しい Orchestrator ユーザー インターフェイスのサポート(5.1.0)
- フローの可視性(5.1.0)
- ハブまたはクラスタの相互接続(5.1.0)
- ダイナミックルーティング使用時のHAフェイルオーバー高速化(5.1.0)
- Edge 2000、3800、および 3810 フロー キャパシティの増加(5.1.0)
※()内は、機能が追加されたソフトウェアバージョンになります。
新機能のご紹介
改めてのご案内になりますが、今回はVer5.0.0からVer5.1.0までのリリースノートを確認し、特に使われそうな機能をいくつかピックアップし、ご紹介いたします。
・新しい Orchestrator UIのサポート(5.1.0)
すでにVMware SD-WANをご利用中のお客様はお気づきかと思いますが5.1.0から、"新しい Orchestrator UI"が標準で利用されるようになりました。("新しい Orchestrator UI"と表記が長いので、本記事では"NewUI"と表記します)
4.0.0からNewUIを利用することはできましたが、当初は"監視"のみの利用でした。そのため、従来のUIからNewUIにわざわざ表示を変える必要性が少ない状況でしたが、バージョンアップするたび、少しずつ表示される項目が増えており、遂に5.1.0からNewUIが標準仕様になりました。
以降は各項目について、操作した所感を挙げていきます。
"監視"については全体的に見やすく、日々検証などの目的で操作している私自身の感想としては、今ではNewUIのほうが使いやすくなっております。
"設定"は従来のUIと比較し、表示される順番や場所が変わっていたり、従来のUIでは表示されない新しい項目があったり、初めは不便と思いますが順々に慣れていくしかないでしょう。
"診断" >"リモート診断"(従来のUIでは、Test&Troubleshooting)については、NewUIのほうが見やすくなっております。従来のUIでは、表示が画面から見切れてしまい、ひとつの画面内で見ることができませんでしたが、NewUIではすっきりと表示され、とても見やすくなっております。
・フローの可視性(5.1.0)
通信フローがログとして記録されるようになり、"監視"から参照することができるようになりました。
前バージョンまでは、"診断"にある"リモート診断"から"List Active Flows"というコマンドを実行し、「現在有効なフローを表示する」に留まってました。Ver5.1.0からは、"監視"から確認することができ、過去のフローをログとして参照することができるようになっております。
なお、こちらの表示についてはリアルタイム性がないため、現在有効なフローを確認したい場合は、従来通り"List Active Flows"を確認する必要があります。
・ハブまたはクラスタの相互接続(5.1.0)
ハブまたはクラスタ間のオーバーレイを利用することができるようになりました。
VMware SD-WANでは、Hubを指定する際、Primary、Secondaryのように複数のHubを指定することが可能です。
しかしながら、Hub間の通信には、SD-WANオーバーレイが使用できない制限がありました。そのため、実際にはHubを複数登録する構成は大変使いにくい現状でした。
しかしながら今回のバージョンアップによって、Hub間のSD-WANオーバーレイが可能になり、Hubの複数登録が大変使いやすくなっております。
"ハブまたはクラスタの相互接続"を有効にすることで、構成することができます。
注意点として、この機能はEarly Access機能(早期リリース)になります。ご利用の際はVMwareに相談したほうが良さそうです。
・ダイナミックルーティング使用時のHAフェイルオーバー高速化(5.1.0)
BGPまたはOSPFが使用されているHA構成では、フェイルオーバーの完了に時間がかかっていました。原因として経路情報の収束に影響するためです。今回のバージョンアップでは、この仕様の強化として、HAローカルルートの同期およびBGPグレースフルリスタートが導入されました。
この機能について、弊社では早速検証してみました。
下記の構成にてPingによる疎通を行い、BGP無し/有りによるフェイルオーバーの完了時間を測定します。なお、新バージョンによる機能の確認をするため、機能が実装されていない旧バージョンへバージョンダウンを行い、同じ構成で検証をしております。
結果は、BGP無し/有り共にほぼ同じ時間でフェイルオーバーが完了しました。
バージョンダウンした場合は、BGP使用時のフェイルオーバー時には経路情報の収束に時間がかかり、フェイルオーバー完了に時間がかかることを確認しております。(想定通りの動作)
・Edge 2000、3800、および 3810のフロー キャパシティの増加(5.1.0)
Edge2000、3800および3810では、バージョン5.1.0を適用すると、最大フローキャパシティがそれぞれ1.9 Mフローから3.8 Mフローに増加し、倍のフローが処理できるようになります。
注意として、Edge3400は、本バージョンによる影響は受けず、最大フローキャパシティは1.9 Mフローのままになっております。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
平田 裕介 - Yusuke Hirata -
VMware vExpert
NW機器メーカ、SIerでインフラエンジニアの経歴を経て、SB C&Sに入社。
SIer時代にサーバ仮想化と出会い、人生が大きく変わる。