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【速報】NVIDIA GTC 2024 基調講演レポート Part 1 - Keynote Session スタート! 最新 GPU "Blackwell" と新しい DGX "GB200 NVL72"

NVIDIA
2024.03.19

こんにちは。SB C&Sの幸田です。

世界中のあらゆる産業・生活・表現のシーンで AI 活用が推進される中、キープレイヤーとして最も注目を集める企業の一つである NVIDIA の年次イベント GTC (GPU Technology Conference) が、3/18~3/21 の期間で開催されています。

会場はカリフォルニア州サンノゼのマッケンナリー会議センターです。2019年3月以来、ここ数年のコロナ禍においてはオンライン形式で開催されていましたが、5年ぶりに米国での臨場開催が実現しました。私も初日から現地参加しておりますが、会場とその周辺は世界各国から駆け付けた参加者の熱気に溢れています。

NVIDIA の極めて好調な業績が話題を呼んだこともあるのでしょうか、現地参加者は 20,000 以上と事前予測されており、オンラインでの参加者はなんと約 319,000 人に達するとの3/19時点での速報が出ております。

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※ 3/19時点での画面キャプチャ (https://www.nvidia.com/gtc/sessions/)

初日となる現地時間の 2024/3/18(月) 午後1時、日本時間では 3/19(火) 午前5時より、世界中が注目する中、創業者/CEO の Jensen Huang 氏による Keynote Session (基調講演) が開催されました。

まずは皆さまへこの Keynote Session の情報をお伝えすべく、急ぎブログ記事での発信にとりかかっている次第でございます。非常に盛りだくさんですので、当ブログサイトでは主要な発表をピックアップし、以下 3本 に分けてご紹介します (3/19時点の仮題 随時更新) 。

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 Part 1 - Keynote Session スタート!
 最新 GPU "Blackwell" と新しい DGX "GB200 NVL72" (※この記事)

 Part 2 - 学習済 AI モデルを自社データで迅速にカスタマイズ。
 NVIDIA Inference Microservice - NIM が加速する独自 AI の開発

 Part 3 - Omniverse がさらに進化。
 活発化するデジタルツイン、人型ロボットのプラットフォームも登場
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なお、Keynote Session は YouTube でも公開されておりますので、ぜひとも全体を通してご覧いただければと思います。

+ 展示やセッションを含むイベント全体の現地レポートも、のちほど別の記事でご紹介予定です (準備中:NVIDIA GTC 2024 現地参加レポート) 。

それでは前置きを終えて、内容に入って参ります。

Keynote Session (基調講演) 開催直前の様子

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Keynote Session は、展示・通常セッションなどの行われるメイン会場から少し離れた、サンノゼのダウンタウンからほど近い SAP Center で開催されました。

無料の送迎用シャトルバスから降りると、GTC 仕様のラッピングを施された会場前は、開始1時間前の時点ですでに大行列 (※会場内への誘導はスムーズでした) 。

この Keynote Session のためだけにサンノゼへ駆け付けた参加者も多数おり、アリーナ席まで含めると最大 18,500 人を収容できる会場が人々で埋め尽くされています。

スクリーンでは 3D 画像の生成 AI を用いたリアルタイム描画のアートの実演などが催され、開始前から大迫力の演出に圧倒されます。

ついに Keynote Session スタート!

現地時間は13時。突如として重厚な音楽が会場全体に響き、多様なシーンでの AI 活用を印象的にまとめた圧巻のムービーが流れます。幅広い産業、自然科学、ヘルスケア領域、さらにはアートの世界まで。NVIDIA の目指すビジョンをそのまま視覚化したかのような、鮮烈な表現です。

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そして Jensen Huang 氏が登場。Keynote Session が始まりました。

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ここからは、プレゼンテーションの文字をくっきりと掲示すべく、YouTube の動画内のキャプションを交えてのご紹介とさせていただきます。

コンピューティングと AI の歩み、そして Omniverse の進化

いくつかのジョークで会場に笑いを起こしたあと、GTCの参加者・スポンサーへの感謝の言葉が伝えられ、さっそく Jensen Huang 氏のメッセージが始まります。

まずは1964年から始まり、2024年に至るコンピューティングと AI の歩みが振り返られました。

2012年、深層学習ネットワーク ALEXNET との "FIRST CONTACT" から、AI 領域での NVIDIA の躍進が始まりました。その急速な進化のスピードにあらためて驚かされます。

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そして 3D コラボレーションツールである Omniverse と AI が作り出す「完全にシミュレートされた世界」のムービーが流れ、会場が大いに盛り上がります。これも NVIDIA のビジョンを形にしたものであり、我々の目の前ですでに始まっている現実でもあることを感じさせられます。

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最新 GPU "Blackwell" と、新しい DGX の姿 "GB200 NVL72"

いよいよ新たなテクノロジーとプロダクトの発表です。まず何よりも先に発表されたのは、今回の GTC の目玉と言って差し支えないであろう最新の GPU アーキテクチャと、それを搭載したコンピューティングノード、および多数のノードを統合した大規模 AI システムです。

新しいアーキテクチャ "Blackwell" は、GPU にかつてない性能をもたらします。Blackwellのダイが2つ結合されたプロセッサ部分に、192 GB の HBM3e メモリが結合されることで GPU としての完成をみます。20 petaFLOPS という凄まじい処理能力が示されました。一部の性能については、一世代前の Hopper との比較も明示されています。

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この Blackwell GPU 2つと、1つの Grace CPU, そして大容量の高速メモリが統合された "GB200 Grace Blackwell Superchip" も発表。

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そしてこの Superchip を 2基、ConnectX-800G InfiniBand Supernic (計 4ポート)、BlueField-3 DPU (計 2ポート) を搭載可能なコンピューターが "Blackwell Compute Node" です。液冷方式の MGX (HWメーカー各社が参照可能なリファレンス構成) として発表されましたので、いずれ主要なサーバーメーカーがこのアーキテクチャに準拠したサーバー製品を展開することが期待されます。

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Blackwell Compute Node には、こちらも新たなテクノロジーである "NVLink Switch Chip" が2枚搭載され、1.8TB/s が8ポート、合計 14.4TB/s で各ノードの GPU 間を接続します。

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Blackwell Compute Node を9台、さらにこれを最大4セットまで、1ラックの中で Leaf-Spine のかたちで接続することが可能。このラックに最新の InfiniBand スイッチである Quantum-X800 や、同じく新たな Ethernet スイッチの Spectrum-X800、液冷システムをつかさどる CDU を加えてラック構成が完結。この合計 72 基の Blackwell GPU を搭載した "GB200 NVL72" が、新しい形の DGX であると Jensen Huang 氏は語りました。

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これを8ラック接続し、スイッチ用ラック等の追加も考慮された構成が、"GB200 NVL72 Compute Racks" として示されました。
なおプレスリリース等から、この構成が NVIDIA DGX SuperPOD with DGX GB200 Systems として発表されていることが確認できます。

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さらにさらに、このラックを連ねて構成するシステムをデータセンター規模で拡張した、32,000 GPU を備えた構成も示されます。

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...まさしく圧巻の発表です。なお GPU のダイから始まり、32,000 GPU での構成がデプロイされるまでの 3D CG イメージ動画が 26:40 あたりから3分強ほど示されており、こちらは非常に見応えがありますのでぜひご覧ください。

また、基調講演の当パートでは紹介されませんでしたが、Blackwell GPU (呼称は NVIDIA B100 SXM) を 8基搭載するリファレンスアーキテクチャ NVIDIA HGX B100 / B200 や、8基の NVIDIA B200 SXM を搭載した NVIDIA 独自筐体の DGX B200 も発表されています (CPU は Intel Xeon, 空冷)。

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以上、NVIDIA GTC 2024 の Keynote Session (基調講演) の内容について、Blackwell GPU アーキテクチャを軸としてまずは全3回のうち1回目のレポートをお届けして参りました。

いかがでしょう、世界中でどれだけのコンピューティングリソースが求められているか、そして NVIDIA がその需要を充足すべく如何に力強く取り組んでいるか、そのあたりの熱量をさっそく感じ取っていただけたのではないでしょうか。

あと2本、Keynote Session での発表をまとめた記事を発信しますので、ぜひともご期待くださいませ。

イベント全体の様子についても、別の記事でご紹介して参ります。そしてさらに後日となる見込みですが、発表された各種テクノロジーやプロダクトについての詳細も、なるべく早くキャッチアップして情報発信する予定ですのでご期待くださいませ。

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【関連プレスリリース】

NVIDIA Blackwell プラットフォームが登場、コンピューティングの新時代を推進

NVIDIA、数兆パラメータ規模の生成 AI スーパーコンピューティング向け Blackwell 搭載 DGX SuperPOD を発表

NVIDIA、数兆パラメータ規模の GPU コンピューティングと AI インフラ向けに最適化された新しいスイッチを発表

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
幸田 章 - Akira Koda -

VDI を含む仮想化、クラウド、NVIDIA GPU によるコンピューティング(グラフィックス, AI/HPC)等のプリセールス・エンジニア業務に従事。
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