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Wasabiを活用したCohesityの連携ソリューションのご紹介 "CloudArchive"

データマネジメント
2024.09.27

はじめに

みなさん、こんにちは。SB C&Sで技術支援を担当している中里です。

今回は、低コストで利用可能なクラウドストレージである「Wasabi Hot Cloud Storage」を活用したCohesityの連携ソリューションについて紹介したいと思います。

CohesityWasabiの連携について

CohesityとWasabiを連携させることで、Cohesityで取得したバックアップデータをWasabiのオブジェクトストレージに保管することができるようになります。例えば、オンプレミスのサーバーのバックアップをCohesityで取得し、2次保管先としてWasabiのストレージを活用するイメージです。

<具体的な利用シーン>
・オンプレミスの側には直近1ヶ月間のバックアップデータを保存し、それ以前(1年前)までのバックアップデータはクラウドストレージに保管する。
・ランサムウェア対策として、バックアップデータをクラウドストレージに保管する。

Wasabiは容量単価の低いストレージになるため、うまく活用することで、ストレージコストを最適化したバックアップソリューションを構築することができます。また、物理的に離れているクラウドストレージを利用することによって、オンプレミス側のインフラ全損や悪意のある攻撃からデータを守ることが可能です。

スクリーンショット 2024-09-26 17.02.32.png

CohesityはWasabiのようなクラウドストレージと連携するときに、クラウドゲートウェイのような特別なコンポーネントは必要ありません。Cohesityクラスタから直接クラウドストレージにデータを送信することが可能です。 

CohesityとWasabiの連携機能 "CloudArchive"

CohesityとWasabiを連携させるときに利用できる機能に、"CloudArchive"があります。CloudArchiveはCohesityでバックアップしたデータをCohesity自身に保存し、さらにWasabiにもバックアップデータを保存する2次保管ソリューションです。Cohesityでバックアップがサポートされているワークロードであれば、ほぼ全てのワークロードでCloudArchiveがサポートされています。

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CloudArchiveを活用することで、Cohesity自身のストレージコストを抑えつつ、長期間バックアップデータの保存が可能です。

<バックアップデータ保存先、保持期間設定例>
日次バックアップをCohesityで30日間保存 + 日次バックアップをWasabiで1年間保存

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31日以前のバックアップデータが必要になった場合には、Wasabiのデータを利用してデータを復元します(CohesityGUIから実施します)。
万が一、バックアップデータを管理しているCohesityが全損した場合でも、新しいCohesityを構築し、Wasabiのデータからバックアップデータを復元させることが可能です。この機能をCloudRetrieve(クラウドリトリーブ)と呼んでいます。

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※留意事項

2024年9月現在のCohesityの最新LTSバージョンにおいては、WasabiへのCloudArchiveを利用する際、アーカイブプロセス中にWasabiからデータの一部をダウンロードし、圧縮後に再アップロードすることがあります。この動作により、ネットワーク帯域の使用量が増える可能性があります。そのため、CohesityクラスタとWasabiの間に十分なネットワーク帯域を確保することを推奨しています。CohesityWasabiを活用したソリューションを構成する場合、Wasabi Direct Connectの利用をご検討ください。

CloudArchiveの設定・実行手順

CohesityのCloudArchive機能について、Wasabiのオブジェクトストレージをアーカイブ先とした設定・実行手順を紹介します。

1.CohesityへのWasabiバケットの登録

予め作成しておいたWasabiのバケットをCohesityに登録します。
CohesityのGUI上のExternal Targetを選択し、"Add External Target"を押下します。
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Archivalを選択し、Storage typeは"S3 Compatible"、ストレージクラスは"Regular"を選択します。
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バケットネームやアクセスキー、シークレットキーなどのクレデンシャル情報を入力し、Registerを押下します。
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登録が完了すると、External Targets画面にバケットの情報が表示されます。
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以上でCohesityへのWasabiバケットの登録は完了です。

2.アーカイブポリシーの作成

バックアップジョブを作成する前にクラウドアーカイブを実行するポリシーを作成します。
Cohesity GUI上の"Policies"をクリックし、右上の"Create Policy"をクリックします。
ポリシー作成画面の中に"More Options"という項目があるのでクリックし、次に進みます。
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ポリシーのオプション選択画面にて、"Add Archive"をクリックします。
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アーカイブに関する設定項目の入力画面で、アーカイブ先のターゲット、実行タイミング、Wasabiに保存する期間を入力します。
"Save"ボタンを押下し、ポリシーの作成が完了です。
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3.バックアップジョブ(CloudArchive)の作成

作成したポリシーを使用してバックアップジョブを作成します。
左ペインの"Protection"をクリックし、画面右上の"Protect"を押下します。
今回は仮想マシンをバックアップするため、"Virtual Machines"を選択します。
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バックアップ対象のオブジェクト、バックアップジョブ(プロテクショングループ)の名前を入力し、Policyには先ほど作成したCloudArchiveの設定が入っているポリシーを選択して、"Protect"を押下します。
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以上でバックアップジョブの作成は完了です。

4.バックアップジョブ(CloudArchive)の実行

先ほど作成したバックアップジョブを実行します。(バックアップジョブの作成で、開始時間を設定しなければジョブ作成後に自動で実行されます。)
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"Duration"に進行状況が表示され、バックアップジョブが実行されていることがわかります。
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また、バックアップジョブ実行の詳細画面で、"Cloud Archive"タブでも進行状況が表示され、クラウドへデータが送信されていることがわかります。
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"Cloud Archive"タブの進行状況が、"Succeeded"となり、無事にWasabiへのバックアップデータの送信が完了しました。

5.Wasabiバケットの中身を確認

バックアップジョブでバックアップデータがWasabiに送信されたようなので、Wasabiバケットの中を覗いてみます。下図のとおり、Wasabiの管理コンソールから対象のバケットを開いてみると、Cohesityと名前のついたフォルダが作成されています。
さらにディレクトリを辿ることでバックアップデータがどのように保存されているか確認することができますが、本記事では割愛させていただきます。
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以上で、CloudArchive機能を利用したバックアップジョブの実行は完了です。

まとめ

本記事では、CohesityとWasabiオブジェクトストレージとのソリューションとして、CloudArchiveについて紹介させていただきました。
これまでオンプレミスのみにバックアップデータを保存しているお客様も、昨今のランサムウェア攻撃やオンプレミスのITインフラ管理工数の増加を懸念して、クラウドストレージを検討することが多くなっています。Wasabiは安価で、かつストレージ機能のみを提供しているため、シンプルな運用でクラウドストレージを利用することができます。

また、Cohesityはクラウドとの親和性の高いバックアップソリューションです。本記事で紹介したCloudArchive機能の他に、ストレージの階層化機能であるCloud Tierや、AWS/Azureなどのパブリッククラウドとの連携も追加のコンポーネントなしに利用できます。そのため、今後Wasabiのようなクラウドストレージにデータを保存することを検討している、もしくは保存する可能性があるお客様にとってCohesityは最適なソリューションだと感じています。

本記事をご覧になり、Cohesity、もしくはWasabiに興味があるお客様はぜひ、SB C&Sにお声がけいただけますと幸いです。

2024/9時点のCohesityの仕様をもとに本記事を執筆しております。CohesityのCloudArchive機能でWasabiを利用する際はネットワーク帯域やその他、前提条件があるため、詳しい仕様や最新情報はメーカーの公式ドキュメントをご参照ください。

 

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
中里 隆二