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OCIのOCVSを触ってみる(後編)

Oracle
2025.02.14

SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアとして活動している、平田と申します。

前回に引き続き、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のサービスである、Oracle Cloud VMware Solution(OCVS)を触ってみます。
前回では前編としてOCVSの簡単なご説明とデプロイおよびサインインまでをご紹介しております。今回は後編として、OCVSとVCNのネットワーク関連のご紹介と、オーバーレイネットワークからの疎通確認を行います。

OCVS(vSphere環境)とVCN(OCIの仮想ネットワーク)

前回デプロイしたOCVSですが、下記のネットワークがOCIの仮想ネットワーク(VCN)上に構成されます。

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※上記は本投稿で作成した検証環境の構成図・パラメータであり、OCVSの仕様表現ではありません

これらのサブネットとVLANは、OCVSの必要な機能として定義されており、デプロイ時に自動的に作成されます。それぞれに割り振られるネットワークセグメントはデプロイ時のクラスタ定義にある、ネットワーキングのSDDCクラスタ・ネットワークで設定したクラスタCIDR(今回は172.16.100.0/24)を分割し、サブネットや各VLAN割り振られております。(手動で設定することも可能です)
それぞれのVLANの説明については、OCIドキュメントに記載があるので、そちらをご参照ください。
https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/VMware/Tasks/vlan-create.htm

クラスタ・ワークロード・ネットワークをインターネット接続してみる

前回のつづきとしてSDDCデプロイ時のオプションに、クラスタ・ワークロード・ネットワーク(192.168.10.0/24)を設定しております。そのためデプロイされたSDDCにはポートグループ"workload-1"(厳密にはNSX上に構成されたオーバーレイネットワーク)が用意されます。まず、このポートグループを使うサーバーを作成し、インターネット接続させてみます。


今回は下記のようにOCVS上に仮想マシンVM01を新規作成し、ネットワークには"workload-1"を割り当てます。(仮想マシンの作成方法はオンプレミスのvSphereと同様のため割愛します)

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新規作成したばかりの仮想マシンVM01からGoogle Public DNS宛(8.8.8.8)にPingを送信します。

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上記の通り、疎通できません。

SDDCデプロイ直後のクラスタ・ワークロード・ネットワークはOCVS外部と疎通できる設定になっておらず、必要な宛先については経路およびセキュリティグループの設定を行う必要があります。
手動でも可能ですが、OCIコンソールから専用のウィザード(SDDCクイック・アクション・ワークフロー)が用意されているため、必要なリソースをひとつひとつ確認することなく、簡単に設定することができます。

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ここではGoogle Public DNSがあるインターネットに接続したいため、「NATゲートウェイ経由でのインターネットへの接続の構成」を選択します。

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再び、仮想マシンVM01からGoogle Public DNS宛(8.8.8.8)にPingを送信します。

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上記の通り、Google Public DNS宛(8.8.8.8)への疎通が確認できました。このようにvSphere環境を操作せず、SDDCクイック・アクション・ワークフローを利用することで仮想マシンVM01を簡単にインターネット接続させることができます。

ジャンプサーバーへアクセスしてみる

続いて、仮想マシンVM01からジャンプサーバーへPingを送信します。しかしながら、先ほどと同様に疎通できません。VCNへの接続もOCVS外部とみなされるため、SDDCクイック・アクション・ワークフローなどによりVCNと疎通させる設定を行う必要があります。

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ジャンプサーバーはVCN内のサブネットに属するため、ここではSDDCクイック・アクション・ワークフローの「VCNリソースへの接続の構成」から設定していきます。

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再度、仮想マシンVM01からジャンプサーバーへPingを送信します。

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疎通が確認できます。念のため、ジャンプサーバーから仮想マシンVM01への疎通確認も行っておきます。

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上記のとおり、vSphere環境の操作をせず仮想マシンVM01はVCNにあるジャンプサーバーへアクセスすることができました。

今回のまとめ

今回はOCVSを触ってみると題し、前編、後編の2部構成でOCVSのデプロイを行いました。

OCVSはオンプレミスのvSphere環境をクラウドへ容易に移行できるサービスとして注目されています。本記事がOCIやOCVSにご興味があるが触れる環境が無い方や、OCVSについてもっと詳しく知りたい方のご参考になれば幸いです。

※参考URL

・Oracle Cloud VMwareソリューションの概要(Oracle Cloud Infrastructureドキュメント)
 https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/VMware/Concepts/ocvsoverview.htm

・OCIでVMware製品を動かそう
 https://www.youtube.com/watch?v=ytrAASb8vW0

・お問合せ急増中、VMwareをCloud化するなら今!移行方法の最適解とは。- VMwareのCloud化向けキャンペーンもご紹介!
 https://youtu.be/mWiQ_U7tPJU?si=9MLRgBitcrxAa39S

・Oracle Cloud VMware Solutionが開くVMware仮想環境モダナイゼーションへの道【OCI Technical Deep Dive】
 https://www.youtube.com/watch?v=LsBM3F-IZRY

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
平田 裕介 - Yusuke Hirata -

VMware vExpert

NW機器メーカ、SIerでインフラエンジニアの経歴を経て、SB C&Sに入社。
SIer時代にサーバ仮想化と出会い、人生が大きく変わる。