
Setup Captureによる仮想化手順
SB C&S後藤です。
大変お待たせしました。第4回にして、ようやくアプリの仮想化手順のご紹介です。
ThinApp Setup Capture によるアプリ仮想化
仮想化にはアプリケーションのキャプチャ作業が必要です。
ここでは ThinApp Setup Capture のウィザード形式による方法をご紹介します。
(上級者向けにはコマンドラインからのキャプチャも用意されています)
例として、今回はテキストエディタの Notepad++ を使用します。
Notepad++は公式サイトから無料でダウンロード可能です。
作業はすべて、前回ThinAppをインストールした「クリーンな環境」上で行います。
(WindowsはWindows 11 24H2を使用しています)
直前の準備
Windows Updateの停止
作業中にWindows Updateが動作しないように、あらかじめ一時停止しておきます。
ダウンロード済みでインストール待機中の更新があるかもしれないので、再起動も実施しておくと安心です。
Windows Updateは期間指定での一時停止しかできず、知らぬ間に停止が解除されていることもあります。
必ず直前に確認してください。インターネットから切断しておくのも有効です。
アプリインストーラの準備
ダウンロードしたインストーラはキャプチャ環境の分かりやすい場所(例:デスクトップ)に保存しておきます。
途中で別の場所に置いたままにすると、場合によってはパッケージにインストーラ自体が含まれてしまうことがあるので注意してください。
ThinApp Setup Capture の実行
ここからはSetup Captureの手順に従って進めていきます。
Setup Captureはウィザード形式なので、特別な知識がなくても操作できます。
スタートメニューの「すべて」から、Omnissaフォルダ内にある Omnissa Setup Capture を起動します。
Windowsの確認ダイアログが表示されたら「はい」をクリックしてください。
起動すると、Setup Captureで行う手順についての説明が表示されます。
「Next」をクリックして進みます。
プレスキャンの説明画面が表示されます。
「Prescan」ボタンをクリックしてください。
プレスキャンが開始され、現在のファイルやレジストリの内容を取得します。
クリーンな環境であれば 1分程度で完了することが多いです。
「Install the Application Now!」と表示されたら、アプリをインストールする段階です。
Setup Captureを最小化して、Notepad++のインストーラを起動します。
インストール手順は特に特殊な設定は不要です。通常通り進めてください。
他のアプリでも同様に、通常のインストールと同じ流れで作業します。
もしインストールに再起動が必要な場合は、そのまま再起動して構いません。
再起動後にSetup Captureを起動すると、続きから再開できます。
アプリのインストール後に初期設定が必要な場合も、この段階で設定しておきます。設定内容はパッケージに反映されます。
インストール作業が終わったら、Setup Captureに戻り「Postscan」をクリックします。
確認ダイアログが出たら、問題なければ「OK」を押してください。
ポストスキャンが開始され、アプリのインストールで変更されたファイルやレジストリが収集されます。
インストールしたアプリによっては少し時間がかかります。画面が切り替わるまで待ちましょう。
パッケージの設定
スキャンが終わるとパッケージ設定画面に移ります。
最初の設定はエントリーポイントです。
今回は Notepad++.exe のみにチェックを入れて有効にします。
以降の設定は基本的にデフォルトのままで進めて問題ありません。
「Omnissa Customer Experience Program」の項目は、製品改善のために技術情報を送信する設定です。問題なければチェックをつけたまま進めてください。
Inventory name には分かりやすい名前をつけておきましょう。
デフォルトのままでも構いませんが、今回の例では「Notepad++ (64-bit x64)」を「Notepad++」に変更しました。
「Next」が「Save」に変わったら設定完了です。
「Save」をクリックすると「プロジェクトフォルダ」が作成され、必要なファイルやレジストリ、設定が保存されます。
保存が終わるとビルドの準備が整います。
詳細設定をここで加えることもできますし、ビルドをスキップして終了することも可能です。
ビルドはプロジェクトフォルダ内の build.bat
から実行することもできます。
今回は「Build」をクリックしてビルドを開始します。
仮想アプリのビルドが始まります。「Finish」ボタンが有効になるまで待ちます。
アプリによっては時間がかかることもあります。
もし極端に遅い場合は、余計なファイルが混入している可能性があります。
(例:途中でWindows Updateが動作してしまった場合など)
終了時に表示されるチェックボックス(終了後にフォルダを開く設定)は有効のままでOKです。
「Finish」を押してSetup Captureを終了します。
ビルド結果の確認
ビルドが完了すると、Notepad++.exeが入った binフォルダ が開きます。
仮想アプリを配布する際は、このフォルダ内のファイルをすべてコピーしてください。
binフォルダの一つ上の階層が「プロジェクトフォルダ」です。
ビルドに使われるファイルがまとまっているので、アプリが不要になるまで削除しないようにしてください。
最後に、binフォルダにあるNotepad++.exeを起動してみましょう。
起動時にOmnissaの通知が右下に表示されます。
アプリが問題なく起動すれば成功です。通常のテキストエディタと同じように利用できます。
もし起動しない場合は……原因切り分けが必要になります。
今回は割愛しますが、まずはスナップショットをThinAppインストール直後に戻し、Notepad++で試すことをおすすめします。
まとめ
今回は Setup Captureを使った仮想化の手順 を、Notepad++を例に解説しました。
この流れを理解しておくと、他のアプリでも応用できるはずです。
次回からは、作成した仮想アプリの詳細設定について解説していきます。
執筆協力
Nagisaworks 伊藤さま
ThinApp技術指南
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部
ソリューション技術統括部 技術推進室
後藤 正幸