
【ThinApp】アプリケーション仮想化 ThinApp
こんにちわ。 SB C&S の後藤です。
それでは、Omnissa ThinApp技術指南本編を始めていきましょう。 今回は技術協力をいただいている Nagisaworks の伊藤さまにご寄稿いただいた原稿をもとに、ThinAppの概要をお伝えします。
ThinAppの概要
Omnissa ThinApp は、アプリケーションを仮想化するためのツールです。
対象となるアプリを”パッケージ”にまとめることで、持ち運びやすくなり、いろいろなメリットが得られます。
ThinAppの特長をざっくり挙げてみましょう。
- 実行ファイル(EXE)を開くだけで使えるので、インストールは不要
- OSや他のアプリの影響を受けないので、コンフリクトが発生しない
- USBメモリに入れて持ち歩けば、違うPCでもすぐに利用可能
- 初期設定もパッケージに含められるので、すぐに使い始められる
- 古いOSに依存するアプリも仮想化できるため、OS移行をスムーズに進められる
ThinAppが対象にしているのはWindows環境です。
2025年9月時点の最新バージョンでは、Windows 8からWindows 11 24H2までがサポートされています。
ThinApp VOSとは?
ここで登場するのが ThinApp VOS(Virtual OS) です。
これは仮想アプリの実行環境で、パッケージの中に一緒に入っています。
VOSはアプリからのWindows APIコールを一度すべて受け取り、変換して処理します。
例えば、アプリがファイルを読み書きするときは、VOS上の「仮想ファイルシステム」で行われます。設定によっては、実際の環境に書き込むのか、サンドボックスと呼ばれる隔離環境に保存するのかが切り替わります。
つまり、VOSがアプリとWindowsの間に”仲介役”として入ることで、仮想化が成り立っているわけです。
仮想化の手順
ThinAppでアプリを仮想化するには、Setup Capture という専用ツールを使います。
流れはシンプルで、以下の5ステップです。
- プレスキャン
- 対象アプリケーションのインストール
- ポストスキャン(差分の取得)
- 各種設定
- ビルド
画面の指示に沿って進めれば、誰でも簡単に仮想アプリを作成できます。
ここでポイントになるのが「プレスキャン」と「ポストスキャン」の2回のスキャンです。
ThinAppはこの差分から、インストールによって追加・変更されたファイルやレジストリを検出します。
- プレスキャン前に必要なファイルがすでに存在すると、パッケージに反映されず動かなくなる可能性があります。
- 一方で、スキャン中にWindows Updateや不要なアプリを動かすと、関係ないファイルまで混ざってしまいます。
ですので、仮想アプリを作るときは「専用のクリーンな仮想マシン」を用意するのがおすすめです。
アプリの展開
作ったアプリを展開するのも、とてもシンプルです。
ビルドでできた EXEやDATファイルをコピーするだけ でOK。
ThinAppのパッケージは大きく2つの要素で構成されています。
- エントリーポイント:アプリを起動するEXEファイル
- プライマリデータコンテナ:アプリに必要なデータ(場合によってはDATファイルとして分かれる)
展開するときは、このプライマリデータコンテナを忘れずにコピーしてくださいね。
まとめ
今回は Omnissa ThinAppの基本的な仕組み をご紹介しました。
「インストールいらずで動かせる」というシンプルさが、一番の魅力かもしれません。
次回は実際にアプリを仮想化していく手順を紹介していきますのでお楽しみに!
執筆協力
Nagisaworks 伊藤さま
ThinApp技術指南
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部
ソリューション技術統括部 技術推進室
後藤 正幸