SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

VMware Explore 2026 Las Vegas 速報レポート

仮想化
2026.09.01

みなさん、こんにちは。
SB C&S 千代田です。

私は現在、アメリカ・ラスベガスで開催されているVMware by Broadcomの年次カンファレンス「VMware Explore 2026 Las Vegas」に参加しています。

本ブログでは、VMware Explore 2026 Las VegasのPlenary Sessionで発表された内容を中心に、現地から速報レポートをお届けします。

※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、VMware Explore 2026 Las Vegasでの発表直後の内容を含むため、後日の修正が必要となることや、情報が古くなることで正確性を保持できなくなる可能性もあります。必ずしも情報の正確性を保証するものではない事をあらかじめご了承ください。

イベントの様子

例年、イベント初日の朝一にGeneral Sessionで主要な発表がされていましたが、今年はGeneral Sessionに変わりPlenary Sessionが用意され、セッション枠も夕方の16時からと、これまでとは立て付けが変わっています。

Image (6).jpg

イベントの開催場所は昨年と同じThe Venetian Resort Las Vegasです。

展示会場のThe Hubやハンズオン会場、テストセンターなどに変わりはなく、コミュニティラウンジの賑わいやBroadcom Knight向けにパートナーラウンジや専用セッションが用意されているなど、より技術色の濃いイベントとなった印象を受けます。

Plenary Session

VMware Explore 2026のPlenary Sessionは、Broadcom Infrastructure Software GroupのPresidentを務めるRam Velaga氏の登壇で幕を開けました。

Image (7).jpg

Ram Velaga氏はPlenary Sessionの中で、Broadcomで14年にわたり、主に大規模データセンター向けのコアスイッチ領域に従事してきたと振り返りました。その後、2026年1月に現職のInfrastructure Software GroupのPresidentへ就任しています。

その経歴を踏まえて印象に残った言葉が、セッション冒頭で語られた「プロダクトリーダーシップを信じている」というメッセージです。

半導体やネットワークスイッチの領域では、顧客のシステム設計や設備投資のタイミングに合わせて、性能、品質、コストの条件を満たす製品を投入できなければ、採用される機会そのものを失うそうです。適切なタイミングに、競争力のある製品を提供し続けることが求められる世界です。

あらためて、Ram Velaga氏がVMwareの戦略について強調したのは「プロダクトとテクノロジー主導」かつ「スケール」と「運用」を重視したプライベートクラウドプラットフォームの提供です。
そして、そのプライベートクラウドプラットフォームの中核に位置付けられているのが、VMware Cloud Foundation(以下、VCF)です。

Image (9).jpg

VMwareはVCFを仮想マシンだけでなく、コンテナ、AIアプリケーションを稼働させる共通のプライベートクラウドプラットフォームとしています。VMware Explore 2026においても、VCFと関連製品への継続的な研究開発投資と、プライベートクラウドをAI時代の基盤へ発展させる方針が改めて示されました。

プライベートクラウドを取り巻く環境の変化として、Ram Velaga氏は次の4点を取り上げました。

  • パブリッククラウドが先行してきたセルフサービスや自動化と、オンプレミスとの運用機能の差
  • メモリをはじめとするハードウェアコストの上昇
  • データ中心のアーキテクチャと、企業レベルでのデータ主権および安全性
  • 全社的に利用されるAIを、新たなインフラサイロにしないこと

Image (8).jpg

こうした変化に対応するうえで重要になるのが、インフラストラクチャの複雑性を抽象化することです。これはVMwareが長年取り組んできたテーマでもあります。コンピュート、ネットワーク、ストレージなど、基盤を構成する各要素の違いや複雑性をプラットフォーム側で吸収し、利用者には一貫した運用モデルを提供します。

VCFによって重点的に抽象化へ取り組む際に課題となるのがセキュリティです。多様なワークロードを共通基盤へ集約するほど、セキュリティを後付けにすることは難しくなります。AIの導入によって拡大する攻撃対象や、AIによって高度化・高速化する脅威に対応するには、vDefendのような分散型セキュリティをプラットフォームと密接に統合する必要があります。同時に、脆弱性を放置しないため、アプリケーションへの影響を抑えながらインフラストラクチャを継続的に更新できる仕組みも必要です。

Image (33).jpg

将来の機能やセキュリティ強化を継続的に取り込むためには、既存環境を最新のVCFへ移行できる状態に整えておくことも重要です。アップグレードには相応の設計、検証、移行工数が伴います。一方で、インフラストラクチャを安全かつ最新の状態に保つことと、アプリケーションの可用性を維持することを、二者択一にしてはならないというメッセージも伝えられていました。

VCF 9.1では、クラスタアップグレードの高速化やESX Live Patchingなどにより、更新時のワークロードへの影響を抑える方向へ機能が強化されています。インフラストラクチャの更新を先送りしにくい運用モデルとなっています。

インフラストラクチャを最新かつ安全な状態に保ちながら、アプリケーションに継続的な実行環境を提供する。そして、既存環境から切り離された新たなサイロを作るのではなく、その共通基盤の進化の延長線上にAIを取り込む。これが、今回のPlenary Sessionで示されたVMwareの方向性です。

AI Assistant in VCF

現在の最新リリースであるVCF 9.1においては、すでにVMware Private AI FoundationやVMware Private AI ServicesなどのAI拡充がなされています。

Image (10).jpg

セッションの中でVCF 9.1の次のリリースで実装されるAI Assistantのデモンストレーションが実施されました。

Image (11).jpg

デモではVCF OperationsのGUIに実装されたAI Assistantの操作画面でVMSAのセキュリティアラートに対してチャットボットで対応していく様子が確認できました。

Image (12).jpg

セキュリティ分析結果から影響を受けているESXホストやクラスタを特定し、その脆弱性をLive Patchによって解決できることも分かります。

Image (13).jpg

Live Patchを適用するターゲットクラスタを選択して事前チェックを実施します。

Image (14).jpg

事前チェックの結果を確認し、ターゲットクラスタへライブパッチの計画を実行します。

Image (15).jpg

各ホストへライブパッチが適用されました。

Image (16).jpg

インタラクティブなチャットボットのやり取りだけでエージェントによるトラブルシューティングを行うことができます。

Image (17).jpg

このように、VCFの管理操作におけるAIの活用が進んでいます。

VMware Private AI Cloud

Image (18).jpg

AIを本番運用するには、機密データを外部へ出さずにモデルを動かすだけでは不十分です。高価なGPUやモデルの共有、導入・運用の標準化、AIによって高速化する攻撃への対応、さらに自律的にデータやツールへアクセスするAIエージェントの統制が必要になります。

VMware Private AI Cloudは、データをモデルへ移動するのではなく、データのある場所へモデルを持ち込み、推論、AIエージェント、従来型のエンタープライズワークロードを一つのPrivate Cloud上で構築・実行・統制するためのアプローチです。そのため、単一の製品やVCFの新しいエディションを指すものではありません。

Image (41).jpg

詳細は後述しますが、VMware AI Factoryをソフトウェア定義の基盤とし、VCFによるAIインフラとModel as a Serviceの提供、Tanzu Platformによるエージェントプラットフォームとデータプロダクト、TrueSourceによる信頼できるOSSサプライチェーン、vDefend、Avi、AgentMinderによるセキュリティとガバナンスを組み合わせた、Private AIの全体構想となっています。

これまでVMwareが提唱してきたPrivate AIの実像からすると、今年のVMware Private AI Cloudの構想はその範囲を拡張したものとなっています。AIやデータを自社環境内に置くことだけにとどまらず、AI基盤のコスト、ワークロードのセキュリティ、AIエージェントの判断と行動に対する制御までを、自社の管理境界内に置くことへその対象が広がっています。

Image (19).jpg

Plenary SessionではVMware Private AI Cloudの特徴を「Cost」「Security」「Agentic AI」の3点で伝えていたのでそれにならって発表された内容を紹介します。

Cost

VMware Private AI Cloudでは、主にハードウェア、導入・運用の複雑性、AIモデル利用に伴うトークノミクスの3点がコスト要因として挙げられており、これを解消するために「VMware AI Factory」と「Model as a Service」が発表されました。

Image (25).jpg

VMware AI Factoryは、VMware Private AI Cloudのソフトウェア定義の基盤として、物理サーバーの準備から最初のAIモデルの提供までを自動化し、さらにはDay 2運用までを標準化するものです。これにより、ベアメタルから最初のモデル提供までに必要な期間が数週間から数時間へ短縮することが見込まれます。

Image (27).jpg

VCF 9.1ではVCF Installerによるデプロイの自動化が提供されていますが、それには事前にベアメタルからESXインストールまでを手作業で実施する必要がありました。発表されたMetalSoftとの連携により、ファームウェアやドライバーインストールなど必要だった作業が自動化されます。
また、異なるベンダーの物理サーバーを、VCFの管理コンソールからプロビジョニングまたは再初期化して、ハードウェアとソフトウェアのライフサイクルを一つの運用モデルへ統合する方針となっており、サーバーベンダーごとに分断されていた物理層の運用を、VCFの運用へ取り込めることが期待されます。

Image (26).jpg

Model as a Serviceは、VCF上で検証済みのAIモデルをユーザーへ提供できるサービスです。vLLMをデフォルトのモデルランタイムとして150以上のオープンソースモデルを実行できるとされ、Nemotron 3、Gemma 4、cotomi、Qwen、GLM 5.2の5モデルについては、VCF上での動作テストと検証を完了したことが発表されています。
VMware AI Factoryでは、隔離されたNamespaceを使ってテナント間や事業部門間でモデルを安全に共有するMulti-tenant Model Sharingも発表されています。部門ごとに同一モデルを重複展開することを避けることで、GPU割り当てとインフラリソースを削減することが想定されています。

Plenary Sessionでは実際にVCF AutomationのVMware Private AI Services上でModelを実行するデモンストレーションが実施されました。

Image (29).jpg

Security

VMware Private AI Cloudにおけるセキュリティのポイントは、AIワークロードだけを守ることではなく、AIによって高速化する脆弱性探索と攻撃から、ワークロードが稼働するPrivate Cloud全体を守ることにもあります。

Image (31).jpg

Distributed IDPSは、従来より更新済みのIDPSシグネチャやカスタムシグネチャを利用し、脆弱性に対するパッチを適用するまでの期間に攻撃者によるExploitをネットワーク側で防ぐ「仮想パッチ」の仕組みがあります。Distributed IDPSはVMやVKS上のワークロードのEast-West通信へ適用することが可能です。

Image (34).jpg

今回の発表では、Agentic AI Pipelineを用いてIDPSシグネチャを高速に作成し、AIによって発見される膨大な脆弱性と急増するワークロードを保護するための分散仮想パッチ適用が可能になることが発表されました。

Agentic AI

TrueSource by Broadcomは、企業向けに商用サポートされ、検証可能な形でビルドされたOSSを提供するポートフォリオです。

Image (37).jpg

次の3つの製品を統合したものとなっています。Springエコシステム向け製品の「Spring Enterprise」、Javaエコシステム、Python、Node.jsのセキュアなクリーンルームビルドを提供し、強化されたコンテナイメージのセキュアカタログを組み込んだ新サービス「TrueSource Trusted Artifacts」、PostgreSQL、RabbitMQ、MySQL、Valkeyなどのデータエンジン向けに、信頼性の高いアーティファクトやサポートなどを提供する新サービス「TrueSource Data Services」。

Frontier Modelを脆弱性探索や検証の高速化に利用しながらも、修正自体はBroadcomのエンジニアやMaintainerが作成・レビュー・検証している特徴があります。

TrueSource自体はAIエージェント専用ではなさそうですが、AIエージェントも多数のOSSに依存するため、エージェントを構成するソフトウェアとその依存関係は信頼できるものでなければなりません。

VMware Tanzu Platformは、VMware Private AI Cloudの公式エージェントプラットフォームとして位置付けられています。従来のソフトウェアとは異なり、AIエージェントは自律的に動作し、独自にデータを照会するため、データ漏洩、予期せぬクラウドデータ転送料金、および未精査の情報に起因する不正確な出力といった重大なリスクが生じます。最新のリリースではエージェントのセキュリティ強化とデータの保護という 2 つの方法で、このエージェントの信頼性に関する問題を解決しています。エージェントを"deny-by-default"のSandboxで実行し、承認済みのモデル、Tool、Data ProductをMarketplaceから提供する構成です。

AIエージェントは自律的に企業データを検索・取得し、判断に利用します。そのため、モデルそのもの以上に、どのデータを、どのコンテキストでエージェントへ渡すかが重要になります。

AI-Ready Data Foundationsは、構造化・半構造化・非構造化データをPrivate Cloud内で処理してエージェントが低コストで利用できる「データプロダクト」を作成できます。これにガバナンスを適用してTanzu Platformのマーケットプレイスに公開することで、データがエンタープライズ外に出ることなく、エージェントと開発者の双方が安全に利用することができます。

AgentMinderは、AIエージェントを単なるアプリケーションとしてではなく、人間から権限を委任され、自律的に行動する非人間IDとして管理する考え方の製品です。人間のユーザーに対するID管理と同様に、AIエージェントをエンタープライズグレードのIDとして扱い、その権限を「宣言されたミッション」、「許可された意図」、「承認されたツール」、「アクセス可能なリソース」に紐づけます。すべてのエージェントはエンタープライズシステムへのアクセス時に、「誰であるか」だけでなく「何を行おうとしているか」を宣言する必要があります。

Image (38).jpg

実行する際にはこれらのコンテキストを評価し、AgentMinderのAIゲートウェイでポリシーを強制適用します。

OpenTelemetry上に構築されたObservabilityレイヤーによって、AIエージェントのセッションとアクションに関するコンプライアンス基準を満たす完全な可視性を提供し、Chain of Custody(CoC)、異常検知、監査などに利用できます。

なお、AgentMinderはVCF専用ではないため、オンプレミス、VPC、Public CloudのLLMにも並べて展開でき、Kubernetes環境も対象です。そのため、VMwareの一製品ではなく、Broadcomの横断的なAgent Governance製品という位置づけになります。実際、Product BUはIMSなのでオーナーがVCF Divisionではないようです。AgentMinderはすでに一般提供されており、個別のSKUを購入することで利用できます。

おわりに

VMware Explore 2026 Las Vegasの発表は、「VMware Private AI Cloud」の実現方法を具体的に案内した非常にまとまった内容でした。

これまで注力してきたVMware Cloud FoundationがVMware AI Factoryへと姿を変えるさまは、プロダクト主導の方針による開発の一貫性を感じます。

Image (43).jpg

VCF AI FactoryはラックマウントするだけでAIモデルやVector DBが立ち上がってくるような世界観となっていて、昨年のCanonicalとの連携に続いてMetalSoftとの連携はVCFの新たな可能性を感じさせるものでした。

速報レポートは以上です。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部
第1技術部 1課
千代田 寛 - Kan Chiyoda -

VMware vExpert