よくある質問 【中堅製造業】
グローバル展開を見据えたWebサービスのインフラ構築
グローバル展開を目指すSaaSスタートアップです。アクセス急増に対応でき、インフラ管理工数を抑えたいです。AzureのPaaSのサービスを採用した場合、従来の仮想マシン構成と比較してコストや開発速度にどんな利点がありますか。ユーザー10万人規模を想定した月額費用の基本的な考え方も知りたいです。
Azureサーバーレス/PaaS構成 vs VM構成の比較と利点
グローバル展開を目指すSaaSスタートアップにとって、インフラ管理工数を最小限に抑え、スピーディな開発とアクセス急増に対応できるAzureのサーバーレスおよびPaaS(Platform as a Service)構成は、従来のVM(仮想マシン/IaaS)構成に比べ大きな利点があります。
1. VM構成との比較:コストと開発速度
アプリケーションのバックエンドやAPIの実行環境として、VM(IaaS)ではなくサーバーレス(Azure Functions, Container Appsなど)やPaaS(App Service)を採用するメリットは明確です。
| 比較項目 | サーバーレス / PaaS (App Service, Functions等) |
従来のVM (仮想マシン) |
|---|---|---|
| インフラ管理 | ほぼ不要 | すべて必要 (OSアップデート、パッチ適用、ミドルウェア管理など) |
| 開発速度 | 速い (アプリ開発に集中できる) |
遅い (インフラ構築・管理などにも工数がかかる) |
| スケーリング | 自動 (トラフィック応じて迅速に自動スケール) |
手動/複雑 (VMの台数増減の計画・設定・管理が必要) |
| 可用性/冗長性 | 容易 (標準機能や簡単な設定で実現可能) |
複雑 (設計・構築・運用・管理) |
VM構成は自由度が高い反面、マシンやOSの管理、可用性の向上など、アプリケーション開発以外にかかる工数が膨大になります。
一方、サーバーレスやApp Service(PaaS)構成では、これらの管理をAzureプラットフォーム側に任せることができます。これにより、御社はSaaSアプリケーション開発という最も重要な業務にリソースを集中でき、結果として開発速度が大幅に向上します。
2. ユーザー10万人規模の月額費用について
システムアーキテクチャに大きく依存するので、詳細は是非お問い合わせいただければと思います。
その上で、どの様な考え方でコストが決めるか、と言うとアプリ実行基盤 + その他のシステムのコンポーネントで決まります。
① アプリ実行基盤 (App Service / Functions など)
App Service:
「プラン」(アプリケーションを実行するための一連のコンピューティングリソース)の数と価格レベルに応じた時間単位の課金が基本です。アクセス増などの状況に応じて上位プランに変更したり、台数を増やしたりします。
Functions (従量課金プラン):
関数(アプリケーション)が実行された回数と時間に基づく従量課金。非常に効率的にコンピューティングリソースを利用できますが、状況次第ではVMより高額になる可能性がないこともないです。
② データベース (Azure SQL Database / Azure Cosmos DB など)
システムにリレーショナルデータベースを組み合わせるのであれば、検討したいサービスとしてAzure SQL Databaseがあります。購入モデルやサービスレベルなどに応じた時間単位の課金です。
またグローバル展開やスケーラビリティ、半/非構造化データを発信する場合を考慮するとCosmos DB も検討すべきです。データの読み込みと書き込みの性能を保証する要求ユニット(RU)に基づく時間もしくは消費したRUに基づいたて従量課金されます。
③ ストレージ (Azure Storage)
アプリの永続ストレージとしてマウントしたり、動画や画像などの静的なコンテンツを格納し公開する場合などに使用します。使用するストレージの種類や保存容量、アクセス頻度などに基づく従量課金です。
④ コンテンツ配信 (Azure Front Door )
グローバル展開時のレスポンス速度向上に必須です。主にデータ転送量に応じて課金されます。
④ その他
セキュリティ対策やログ監視、メッセージ処理などにも費用が発生します。
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