
皆さん、こんにちは
SB C&S、技術担当の小川です。
第1回ではNetApp Deployment Engine(NDE)によるNetApp HCI環境のデプロイ前のネットワークの事前準備についてお話させていただきました。今回はノードの事前設定に関してお話しさせていただきます。
関連記事:NetApp HCI 第1回 事前準備:ネットワーク編
NDEは任意の1台のストレージノードから実施します。NDEはPCからストレージノードに対してWebブラウザからアクセスし設定を行います。そのためストレージノードへWebアクセスを行うための事前準備が必要になります。
NDEを実行するとNetApp HCIの環境が自動的にデプロイされます。設定の中にはIPアドレスの自動設定も含まれます。NetApp HCI環境を正しくデプロイするためには、どのコンポーネントにいくつのIPアドレスが必要なのかを事前に把握する必要があります。正しいIPアドレスの把握を怠るとNDEによるデプロイが途中で失敗したり、そもそも実行できなくなることもあります。
なお、今回も執筆時点での最新バージョンであるNDE 1.3.1を対象としています。
IPアドレスの準備 |
NetApp HCIにおけるIPアドレスは本番環境で運用するためのIPアドレスと、NDE実行時のみに利用する一時的な仮IPアドレスの2種類を考慮する必要があります(※ここで設定した仮IPアドレスはNDE実行終了後に自動的に破棄されます)。
仮IPアドレスは本番環境にそのまま流用できません。そのため本番用のIPアドレスとは異なるIPアドレスを必ず設定してください。
NetApp HCIの各コンポーネントで使用するIPアドレスを以下にまとめてみました。
NDE実行のための仮IPアドレス
▶ストレージノード(1台のみ)
・ストレージノードの1Gb Ethernet(マネジメントネットワーク) ×1
NDEの古いバージョンである1.2.1まではコンピューティングノードとストレージノードそれぞれに1Gb Ethernet用と10Gb Ethernet用の仮IPアドレスが必要でした。そのため、1クラスタの最小ノード数であるコンピューティングノード×2、ストレージノード×4という構成でも仮IPアドレスだけで12個のIPアドレスを必要としていました。
NDE1.3.1からは1つのストレージノードの1Gb Ethernet(マネジメントネットワーク)のみ仮IPアドレスを設定することでNDEが実行できるように改善されました。
ストレージノードへは仮IPアドレスとサブネットマスクを設定することでNDEが実行できます。デフォルトゲートウェイの設定も必要となるため事前に準備が必要です。仮IPアドレス設定でのDNSサーバのIPアドレスの設定はオプションになります。
本番環境のIPアドレス
▶ストレージノード (1台あたり)
・IPMI ×1
・マネジメントIPアドレス ×1
・iSCSI IPアドレス ×1
▶コンピューティングノード (1台あたり)
・IPMI ×1
・マネジメントIPアドレス ×1
・iSCSI-A IPアドレス ×1
・iSCSI-B IPアドレス ×1
▶ストレージ クラスタ(1クラスタあたり)
・Cluster MVIP ×1
・Cluster SVIP ×1
・Management node IPアドレス ×1
▶File Service(ONTAP Selectのデプロイ、任意で設定)
・Cluster IPアドレス ×1
・Node IPアドレス ×1
▶その他
・vCenter ServerのIPアドレス ×1
⇒DNSで名前解決出来る場合はFQDNでも可
・プライマリDNSサーバ ×1
・セカンダリDNSサーバ ×1
・プライマリNTPサーバ ×1
⇒DNSで名前解決出来る場合はFQDNでも可
・セカンダリNTPサーバ ×1
⇒DNSで名前解決出来る場合はFQDNでも可
ストレージノードのiSCSI IPアドレスは2つの10G EthernetポートでLink Aggregationを構成するため、設定するIPアドレスは1つとなります。
コンピューティングノードのiSCSI IPアドレスは10G Ethernetのそれぞれのポートは別々のパスとして通信するためAとBの2つ必要になります。
ストレージクラスタのMVIPはストレージクラスタを管理する際にそれぞれのノードにアクセウするのではなくMVIP宛にアクセスすることで一元管理を行います。クラスタ構成後、WebブラウザでMVIPを指定するとElement OSの管理画面が表示されます。
ストレージクラスタのSVIPはコンピューティングノードとストレージクラスタ間でiSCSIセッションを確立するときに使用するIPアドレスです。そのため1つのストレージクラスタで1つ設定します。
Management node(mNode)はvCenter Serverへのプラグインの登録、ストレージノードのElement OSのアップグレード、Active IQによるリモートアラートなどを行う仮想アプライアンスです。mNodeには1つのIPアドレスが必要となります。
File Service(ONTAP Select)で使用するCluster IPとNode IPは仮想的に1つのONTAPのノードで1つのクラスタを構成するため1つずつIPアドレスを設定します。NDE設定時はこの2つのIPアドレスだけ設定しますが、実際にNASを構成する場合はLIFに設定するIPアドレスが別途必要になるためご注意ください。
上記IPアドレスをNetApp HCI最小構成用のパラメータシートにまとめると以下のようになります。
■仮IPアドレス(1Gb Ethernet)
■各ノード
■ストレージクラスタ
■File Service
■vCenter Server
■DNS、NTP
各ノードのIPMIのIPアドレスの設定 |
各ノードのIPMIにIPアドレスを設定することは必須ではありませんが、事前にIPMIのIPアドレスを設定しておくことで以下のメリットがあります。
●リモートコンソールが利用できるため、ノード設定の際に、都度ディスプレイやキーボードの取り付けが不要になる
●ノードの初期化の際に初期設定用のISOファイルをUSBメモリに書きこむ必要がなくなりISOファイルを直接読み込める
IPMIへのIPアドレスの設定はストレージノード、コンピューティングノード共通となります。IPMIのIPアドレスはBIOSから設定するため各ノードはディスプレイとキーボードを接続しノードの電源をONにします。
以下の画面が表示された"Delete"キーを押しセットアップ画面に移行します。
「IPMI」メニューの「BMC Network Configuration」を選択します。
「Update IPMI LAN Configuration」を「Yes」に設定しIPアドレスを設定します。
F4を押し「Save configuration and exit?」と表示されるので「Yes」を選択します。
ストレージノードへの仮IPアドレスの設定 |
NDEを実行する際に本番用のIPアドレスと異なる仮のIPアドレスをノードに設定する必要があります。先にも述べたようにNDE 1.3.1からは1つのストレージノードのみに仮IPアドレスを設定することでNDEを実行できるようになりました。
仮IPアドレスの設定はノードの電源投入後のTerminal User Interface(TUI)で設定します。事前にIPMIのIPアドレスを設定していれば、IPMIのコンソールから設定することができます。
WebブラウザにIPMIのIPアドレスを入力しアクセスします。各ブラウザのプライバシー保護の画面のあとIPMIへのログイン画面が表示されますのでユーザ名とパスワードを入力しログインします。デフォルトのユーザ名/パスワードはADMIN/ADMINとなっています。
「Remote Console Preview」の画面イメージをクリックします。
すると「launch.jnlp」ファイルのダウンロードが実行されます。ダウンロード後、このファイルを実行しコンソール画面を表示します。このファイルを実行するには操作PCに対し事前に「Java Runtime Environment」がインストールされている必要があります。
「launch.jnlp」ファイルを実行するとコンソール画面が表示されます。
「Bond 1G」のIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを入力します。DNSサーバの入力はオプションとなります。「Bond 10G」は何も入力しないでください。
今回は、ノードの事前設定に関してお話させていただきました。前回と合わせて事前準備は完了となります。
次回はお待ちかねのNDEによるNetApp HCIのデプロイについてお話しいたします。
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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)