
みなさん、こんにちは。
短期間でのリリースにNetAppの意気込みを感じます。
そして、新しいモデルとともに発表された「ASA R2システム」というキーワード。
何やらONTAPにも大きなアップデートがあった様子...
今回は、最新のASAシリーズをご紹介するとともにASA R2システムが従来のONTAPと比べ、どんな変化があったのか実機を使って検証していきたいと思います。
本記事以外にもASAシリーズに関するブログを配信しておりますので、ご興味のある方は以下のリンクからアクセスしてみてください。
「NetAppのASAシリーズ関連記事まとめはこちらをクリック」
最新モデルのご紹介 |
NetApp ASAシリーズは、シンプルかつ高性能なオールフラッシュストレージとして、企業のデータ管理を最適化します。
最新モデルでは、さらに進化したパフォーマンス、拡張性、信頼性を提供し、多様なワークロードに対応することが可能になりました。
その中で、TLC SSDを搭載したハイパフォーマンスモデルであるASA Aシリーズから新しいモデルが続々とリリースされています。
ASA Aシリーズ
最新モデルでは、エントリーからハイエンドまで全てのモデルがパワーアップしており、最上位モデルでは最大1200万IOPSものパフォーマンスが得られます。

昨年、ユニファイドストレージであるAFF Aシリーズから最新モデルがリリースされましたが、同様のアップデートがASA Aシリーズでも実施された形となります。
最新モデルの特徴 |
ここからは、ASA Aシリーズの最新モデルでパワーアップされた特徴をご紹介していきたいと思います。
QATによるストレージ効率化機能のオフロード
従来までのモデルでは、アクセス頻度の高いデータ(Hot Data)と低いデータ(Cold Data)をONTAPが識別し、インラインとポストプロセス処理に自動的に分けることで最適化された効率化を行っていました。

最新のモデルでは、Intelが開発したQAT(クイックアシスト・テクノロジー)というCPUの補助機構がストレージ効率化機能をCPUに代わって実行する仕組みに変更されました。
これにより、CPUへの負荷が軽減され、データアクセスなどのパフォーマンスに影響しないデータ管理が可能となり、従来までポストプロセスによって調整していた効率化機能の実行タイミングが全てインラインのみで実行できるようになりました。

※エントリーモデルであるASA A20ではQATがサポートされません。
ミッションクリティカルなワークロードに対応するパフォーマンス
最新モデルではHWも刷新されています。特にCPUが従来のもの(2019年モデル)から大幅にパワーアップしたことで最大で2倍のパフォーマンスを提供することが可能となり、仮想基盤やデータベース、AIなどミッションクリティカルなワークロードにおいても安定したパフォーマンスを発揮することが可能です。
ASA R2システム
さて、本ブログのタイトルにもなっている「ASA R2システム」
なんと最新モデルのASAシリーズ限定でONTAPの仕様が大幅に変更されたことが判明しました。
これまで、ONTAPでは「Aggregate」や「SVM」「FlexVol」といった独自の仮想的なストレージコンポーネントを組み合わせて柔軟なストレージシステムを構築していましたが、ASA R2システムではこれらストレージコンポーネントをユーザーが意識せずに組みあがるようなシンプルな仕組みに生まれ変わりました。
具体的には以下のようなコンポーネントが新たに追加/変更されています。
Storage Available Zone(SAZ)
Storage Available Zone(以下、SAZ)は1つ以上のRAID Groupから構成される単一のストレージプールです。
従来までのAggregateは内部コンポーネントとしてユーザーの管理が不要なものになり、ディスクの所有権(オーナー)という概念もなくなったことで、ストレージの初期セットアップ時にユーザーの介入なく自動作成されるシンプルなものになりました。
また、ストレージにディスクが新しく追加された場合は、自動的にSAZに割り当てられ拡張が行われます。
初期セットアップから拡張まで、全てにおいてシンプル化された新しいストレージプールとなります。
勘違いしやすいポイントとして、SAZ上にFlexAggreという従来までのAggregateに位置するコンポーネントがノード単位で作成されるため、ストレージで作成できるLUNのサイズはSAZの50%(正確には最大128TB)までという制限がかかります。
これは、従来までのONTAPと同じ考え方になりますが、単一ストレージプールだからといって100%のLUNが作成できるわけではないことについてご注意ください。
SAZのメリットは、LUN作成までのストレージコンポーネントが内部管理になったため、ユーザー目線での構築がシンプルになったという点になります。
Storage Unit(SU)
Storage Unit(以下、SU)は、クライアントにマウントされる従来までのLUNやNVMeネームスペースに該当するストレージコンポーネントです。
クライアント側から見ると、いちマウントポイントには変わりないですが、ONTAP側から見ると従来まではLUNを作成するにあたって「Aggregate」や「SVM」、「FlexVol」といったストレージコンポーネントをユーザーが手動で作成する必要があったのに対し、ASA R2システムではSUだけがユーザーの管理対象となり、それ以外のコンポーネントはONTAPによって自動作成されたり、バックグラウンドで管理されていたりと、こちらもSAZと同じくシンプルな形に変わっています。
ネットワーク設定の簡易化
ストレージコンポーネントだけでなく、ネットワークの管理もシンプルになっています。
System Managerのダッシュボードからプロトコルやサブネット(利用ネットワークの範囲)を設定できるようになったことで、初期セットアップからデータアクセス用のネットワーク設定までの手順が簡易化されました。
※従来までと同じように「ネットワーク」-「概要」からネットワーク設定することも可能です。
このようにASA R2システムでは、System Managerでのストレージ管理が今まで以上にシンプルかつ最適化された仕様に変わっています。
昨年開催されたNetApp INSIGHTでも、ストレージを触ったことがないインターン生がわずか1分でLUNのデプロイを実施するデモを公開していたりと「シンプルさ」という部分に強くフォーカスしていると感じました。
昨年のNetApp INSIGHTに関する参加レポートは以下のリンクから参照できます。
「【超速報】NetApp INSIGHT 2024 in Las Vegas 参加レポート」
注意すべき点
ここまで新しいASAシリーズについて色々とご紹介させていただきましたが、導入を検討するにあたって注意点もいくつがございます。
以下については事前にご確認いただき、導入に問題ないか精査いただければと思います。
電源(電圧)の数値
従来までのASAシリーズでは、ほとんどのモデルで100Vに対応していましたが、新しいASAシリーズではエントリーモデルであるASA A20のみが100V対応となり、それ以上のモデルはすべて200V対応となります。
SnapMirrorの宛先
新しいASAシリーズでは、SnapMirror関係を構築する際にプライマリ/セカンダリがともにASA R2システム同士のみをサポートします。
新しいASAシリーズからFASやAFFシリーズに対してSnapMirrorはできないため、セカンダリのみハイブリッドフラッシュにしてコストを抑えるといった組み合わせ方が必要な場合はご注意ください。
その他、新しいASAシリーズでの制限事項については以下のリンクからご確認ください。
「ASA R2システムの機能制限にいてはこちらをクリック」
実際にさわってみよう |
今回はSystem Managerにアクセスし、iSCSIでのLUNを作成するところまで実施してみたいと思います。
- こちらが初期セットアップが完了し、はじめてSystem Managerにアクセスした際のダッシュボードです。まずは、ネットワークの設定を行うため、「プロトコルの設定」をクリックします。
- 「IP」-「IPインターフェイスを設定する」を選択し、「+サブネットを追加する」をクリックします。
- サブネットに関するパラメータを入力し、「追加」をクリックします。
名前:サブネットの名前(任意)
IPアドレス:利用するIPアドレスの範囲
サブネットマスク:利用するサブネットマスク - 作成したサブネットを選択し、「保存」をクリックします。
- 「ネットワーク」-「概要」から作成されたLIFを確認することができます。
- 次にLUNを作成します。
ダッシュボードから「ストレージユニットの追加」をクリックします。 - ストレージユニットに関するパラメータを入力し、「追加」をクリックします。
名前:ストレージユニットの名前(任意)
ユニット数:ストレージユニットの数
ユニットあたりの容量:ストレージユニットの容量
ホストオペレーティングシステム:マウント先のOSの種類を選択
ホストマッピング:マウント先のマッピングパス - ストレージユニットが作成されたことを確認します。
以上でLUNの作成は完了です。
ここから先のホストへのマウントについては従来までの手順と変わりありません。
いかがでしたでしょうか?
従来までのASAならびにONTAPをご利用いただいたことがある方は、LUN作成までの手順が簡略化され、あっという間にデプロイされたことが分かるかと思います。
まとめ |
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
河村 龍 - Ryu Kawamura -