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HPE SimpliVityとは

ストレージ / HCI
2019.10.01

はじめに

この投稿では、HPE SimpliVity についてご紹介いたします。

SimpliVityは、ヒューレット・パッカード エンタープライズ (HPE) 社のHCI製品です。HCIとして分類される製品ですが、HCIという言葉が一般的となる前から開発されていた製品です。開発当初はSimpliVity社の製品でした。そのこともあり、SimpliVityならではの「データ高集約ストレージ&バックアップ機能つきの仮想化基盤」 と呼べるような特徴を持ちます。

製品の特徴

ハードウェア面での特徴

標準的なSimpliVityモデルのハードウェアには、エンタープライズむけのx86サーバである、HPE ProLiantが利用されています。HCIでは特別なハードウェアを用いないことが多いのですが、SimpliVityではFPGAボードを搭載してデータの重複排除/圧縮処理に利用しています。また、サーバに搭載されたRAIDコントローラによるハードウェアRAIDも構成しています。SimpliVityでは、HCIを構成するためにソフトウェアとハードウェアの両方を活用しています。

ソフトウェア/SDS機能の特徴

SimpliVityでは、SDS(Software Defined Storage)による共有ストレージを構成します。これは独自のソフトウェアである「OmniStack」によるもので、OmniStack Virtual Controller(OVC)とよばれるストレージコントローラVMが、すべてのハイパーバイザで起動されます。そしてOVCによって、ホストに接続されたローカルSSDを束ねて共有ストレージを構成します。この仕組みは、Data Virtualization Platform(DVP)と呼ばれています。

SimpliVityでは、ホスト間でネットワーク障害などが発生した際のスプリットブレイン対策として、タイブレーカーの役割を担う「SimpliVity Arbiter」が必要となります。これはWindowsにインストールするアプリケーションであり、SimpliVityクラスターの外部に配置する必要があります。

仮想化基盤としてのハイパーバイザーには、VMware ESXiもしくはMicrosoftのHyper-Vが利用できます。
DVPによる共有ストレージは、ESXiからはNFSデータストアとして、Hyper-VからはSMB共有としてアクセスするため、特にSimpliVityだからといって特別な意識をすることなく、仮想マシンを配置することができます。また、ハイパーバイザーむけストレージ オフロード機能にも対応しており、ESXiであればNAS-VAAIによって仮想マシン クローンなどでSimpliVity側の機能を活用することも可能です。

バックアップ機能を内蔵

SimpliVityは、仮想化基盤自体に仮想マシンのバックアップ機能を内蔵しています。この機能は仮想化基盤の運用に組み込みやすいように実装されており、ESXiの環境であれば、スケジュール設定からバックアップ/リストアの実行まで、vSphere Web Client / vSphere Client から実施できます。

実機によるスクリーンショット

ここまでの説明をふまえて、いくつか弊社の実機検証環境のスクリーンショットでSimpliVityをご紹介します。これはハイパーバイザがESXiの環境です。

SimpliVityによる共有ストレージ領域は、ESXiからはNFSデータストアとして利用されます。
スクリーンショットでは、データストア「SVT-Datastore-02」はSimpliVityのDVPによって作成されたもので、NFS v3 のデータストアとしてマウントされています。「ハードウェア アクセラレーション」が「サポート対象」となっていることから、ESXiのNAS-VAAIがサポートされることも確認できます。

ストレージコントローラーの役割を担う仮想アプライアンス「OVC」は、各ESXiホストに1台ずつ起動されます。ESXiが2台のクラスタに、同台数のOVC(OmniStackVC-〜という仮想マシン)が起動されていることがわかります。

SimpliVityによるデータ容量効率化の結果は、SimpliVityに同梱されているPlug-inにより、vSphere Web Client / vSphere Clientで確認できます。このPlug-inは、SimpliVityを初期セットアップした時点でvCenter Serverに自動インストールされます。

なお、今回のスクリーンショットは、見慣れている方が多いであろうFlash版の「vSphere Web Client」で取得しています。その一方で、最新のvCenter Server 6.7ではHTML5ベースの「vSphere Client」が提供されており、SimpliVityでも対応が進められています。たとえば、前述のSimpliVityの容量確認なども、HTML5ベースのvSphere Clientにて表示することができます。
※前のものとは別タイミングでスクリーンショット取得したため容量表示は異なります。

SimpliVityの機能を利用する、仮想マシンのクローンやスナップショット取得は、(別のUIを利用する必要はなく)vSphere Web Clientから実行することができます。たとえば、仮想マシンのSimpliVityと連携したクローン/スナップショット/バックアップといった操作は、仮想マシンの「All HPE SimpliVity Actions」メニューから実行できます。

SimpliVity内蔵のバックアップ機能も、vSphere Web Client / vSphere Clientから利用できます。スクリーンショットは、SimpliVity機能で取得した仮想マシンのバックアップ一覧を表示しています。

SimpliVityについてイメージを掴んでいただけましたでしょうか。
今後も、SimpliVityについての情報をお伝えできればと思います。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第1技術部
渡辺 剛 - Go Watanabe -

VMware vExpert
Nutanix Technology Champion