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Nutanix Files の可用性/拡張性の特徴とは?

ストレージ / HCI
2019.10.21

Nutanix Filesとは

NutanixはHCIで有名なベンダーですが、近年ではHCIに限らず、エンタープライズ クラウドを実現するための多くのプロダクトを提供しています。この投稿では、そのなかから「Nutanix Files」の特徴について具体的な実装によせて紹介します。
なお、ベースとなるNutanix HCIについての基礎となる説明は割愛しているため、本サイトの別の投稿(Nutanix 「AHV」とは)などをあわせて参照いただければと思います。

Nutanix Filesは、Nutanixによる共有ストレージの一部を、CIFS (SMB)/NFS ファイルサーバーとして利用する機能です。これは、いわゆる「共有フォルダ」を提供するものです。汎用的なファイルサーバや、VDIのユーザー プロファイル配置先として利用できるため、従来のNASアプライアンスの機能をNutanixのHCIに統合することができます。一般的なファイルサービスが持つような容量制限やアクセス制御機能、Self Service Restoreといったファイル単位でのリストア機能にも対応しています。

Nutanix Files(以降では、たんに「Files」とも記載します)は、NutanixのHCI上に展開される製品です。Filesのシンプル、拡張性、可用性、といった特徴は、HCIの特徴をそのまま引き継いでいます。ほかにも、Nutanixの1-Clickアップグレード機能はFilesのソフトウェアも対象としており、HCIのソフトウェアであるAOSや、ハイパーバイザであるAHVなどと同様に、サービスを継続しつつローリング アップグレードできる方式をとっています。

冒頭に掲載した図とおなじものですが、Nutanix Filesのイメージは次のようなものです。

Nutanix Filesの仕組み

ここからは、もうすこし具体的な実装をもとにNutanix Filesの解説をします。なお、Filesはマルチプロトコル対応ですが、ここでは導入例が多いと考えられるSMB(CIFS)プロトコルを利用するケースをもとに説明をします。
また、FilesではActive Directory(AD)やDNSサービスを利用します。ここではADに統合されたDNSを利用する想定で紹介します。

Filesによるファイルサーバは、仮想アプライアンス(仮想マシン)として、HCI上に展開されます。この仮想マシンは「FSVM」と呼ばれます。これらは、NutanixのHCIにおいて管理/ストレージコントローラ機能をもつコンポーネントとして知られる「CVM」とは、別の仮想マシンとして展開されます。FSVMは、Prismで「File Server」を作成することで、自動的に仮想マシンのデプロイやセットアップが実行されます。つまり、ファイルサーバーのベースとなるOSや、ファイルサービスのインストール、設定、チューニングといった作業が不要となります。これは、性能向上のためにFSVMをスケールアウトする場合などにも、同様のことが言えます。

Filesのファイルサービスが、いわゆる「業務データ」や「ユーザ プロファイル」といったファイルを格納するストレージ領域はNutanix HCIの「分散ストレージファブリック」ですが、内部的にはNutanixの別機能である「Nutanix Volumes」が利用されています。Nutanix Volumesとは、Nutanix HCI上に作成した仮想ディスクを、iSCSIボリュームとして提供する機能です。FSVMでは、このiSCSIボリュームをファイルサービスのデータ領域とします。
ちなみにNutanix Volumesでは、NutanixのCVMがiSCSIターゲットを提供することになり、iSCSIイニシエータからはCVM宛にiSCSI接続します。つまり、Filesの場合はFSVMがクライアントであり、iSCSIイニシエータをもちます。

Nutanix Filesの可用性/拡張性の仕組み

ここまでの説明をもとに、Nutanix Filesの可用性/拡張性といった特徴について、もう少し掘り下げていきます。
それでは、クライアントからの接続と、ファイルサービス側の観点から
説明します。

クライアント側から見たNutanix Filesの可用性/拡張性

まずは、ファイルサービスに接続するクライアント側の視点から説明します。
Nutanix Filesのファイルサービスは、複数台のFSVMで提供されます。つまり、クライアント(WindowsのPCや仮想デスクトップなど)からそのファイルサービスが提供する共有フォルダに接続するには、FSVMのもつIPアドレス宛にアクセスすることになります。
しかし、クライアント側で複数のIPアドレスから選択して接続する、ということは不要です。FSVMのIPアドレスは、Nutanix Filesのセットアップ処理のなかでADのDNSに自動登録され、クライアントからは、単一のホスト名(FQDN)にアクセスすることで、すべてのFSVMに分散されます。これは単一のFQDNに対して複数のIPアドレスが名前解決される(FQDNに対して複数のAレコードを登録する)、DNSラウンドロビンによる分散です。

Nutanix Filesで共有フォルダを作成すると、実際は、その共有フォルダはFSVMのいずれかに割り当てられます。そこでDNSラウンドロビンでFSVMに接続したクライアントは、さらに分散ファイルサービス(これはNutanix "DSF"ではなく、Windowsで利用されることの多い "DFS")により、適切なFSVM(目的の共有フォルダを提供しているFSVM)にリダイレクトされることになります。

このようにNutanix Filesでは、クライアント側からのアクセスがDNSラウンドロビンや分散ファイルサービスを利用して、複数のFSVMで負荷分散/冗長化されています。

ファイルサービス側から見たNutanix Filesの可用性/拡張性

つぎに、ファイルサービスを提供するFSVM側の視点から説明します。
FSVMは、可用性担保のため3台が最小構成となっています。FSVMの障害時には、残りのFSVMでサービスを継続でき、障害内容によってはハイパーバイザーのHA機能によりFSVMが自動的に再起動されます。ファイルサービスの性能向上のために、FSVMを増設することもできます。

そして、それらのFSVMのデータ格納先は、前述のとおりNutanix Volumesです。Filesでは、ファイル共有を作成するたびに、Nutanix Volumesによる「Volume Group」が作成され、FSVMにiSCSIボリュームとして接続されます。ここでの「ボリューム」の実体は、Nutanixの分散ストレージファブリックから提供される仮想ディスクなので、必ずデータが2重化(場合によっては3重化)されて保護されています。

iSCSI接続のボリュームを利用していることで、FSVMからVolume GroupへのiSCSI接続は、HCIのすべてのノード(CVM)を利用して分散できます。たとえばFSVMで障害が発生したとしても、別のFSVMがボリュームのデータを引き継ぐことができます。また、仮想マシンの負荷分散で知られるAcropolis Dynamic Scheduling(ADS)はVolume Groupにも機能するため、FSVMや共有フォルダの増減に応じて、HCI全体でのパフォーマンスが最適化されます。

ちなみに図では1台のFSVMからのみCVMに接続しているようにも記載されていますが、実際には各FSVMがCVMに接続をしています。

おわりに

このようにNutanix Filesでは、クライアントからのアクセスとファイル サービス側の両方が、高い可用性/拡張性となる仕組みとなっています。1台のHCIノードやFSVMが障害で停止したとしてもファイルサービスを継続することができ、共有フォルダ追加などに対して拡張性があるプラットフォームを実現します。

Nutanix Files自体のセットアップは、おもに次の3ステップです。Filesでは今回紹介した以外にも様々な技術要素が利用されていますが、それらのほとんどはPrismの画面にしたがって手順をすすめることで内部的にセットアップされるものです。構築/運用などに関わる手順はシンプル化されています。

  1. Nutanix Filesのソフトウェアをダウンロードする。
  2. File Serverを作成する。(内部的にFSVMのデプロイ〜セットアップなどが実行される)
  3. ファイル共有を作成する。(内部的にNutanix VolumesのVolume Groupが作成/接続される)

HCIとあわせて、Nutanix Filesによるファイルサーバの利用についても検討してみてはいかがでしょうか。

なお、Filesの詳細なシステム要件や手順などについては、Nutanix Support Portalのドキュメント「Nutanix Files Guide」を参照して下さい。
※ドキュメントへのリンクは本投稿執筆時点で最新の Nutanix Files 3.5 のものです。
※ドキュメントの参照はMy Nutanixのアカウントが必要が場合があります。

Nutanix技術書籍のご紹介

こちらはニュータニックス・ジャパン合同会社のエンジニアの方々と当社エンジニアチームが共同執筆したものです。Nutanix Filesについても解説(第6章 「Nutanixのストレージサービス」にて)されていますので、ご参考としていただければと思います。

Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
書籍タイトル: Nutanix Enterprise Cloud
クラウド発想のITインフラ技術
著者: SB C&S株式会社
ニュータニックス・ジャパン合同会社 協力
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価格: 3,600円+税
出版社: 翔泳社
詳細情報: 翔泳社のホームページ

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 1課
渡辺 剛