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【Pure Storage】Snap to NFSでFlashArrayをお手軽バックアップ!【機能概要編】

ストレージ / HCI
2020.05.07
こんにちは、SB C&Sの中田です。
今回は、Pure Storageのオールフラッシュストレージ製品であるFlashArrayの機能のひとつ "Snap to NFS" について機能概要編/実践編の2回に分けてご紹介いたします。
機能概要編となる今回は、Snap to NFSという機能のメリット、Snap to NFSの動作基盤"Purity//RUN"、Snap to NFSの動作要件についてご説明いたします。
 
 

データの重要性とバックアップ導入時の検討事項

多くの業務がITシステムに依存し、従来書類として管理されてきたものの多くがデータ化されている現代において、企業におけるデータの重要性はより一層増しています。それに比してデータ消失時の業務への影響も大きくなっており、データを消失してしまえば業務が立ちゆかなくなってしまう、法律の求めるデータ保持要件を満たせなくなってしまうなどの問題が発生します。そのため、各データの消失に備えたバックアップシステムを導入する必要があります。
 
しかし、業務の継続に必要不可欠であるバックアップは、目に見えた費用対効果を出しづらいため予算が回りにくい部分でもあります。
またひとくちにバックアップと言っても、その導入時には「バックアップ対象となるデータの種類」「バックアップ頻度」「バックアップにかけられる時間」「データ復旧までにかけられる時間」「導入・運用にどれくらいの投資ができるか」といった多くの要件をふまえて、導入するソリューションを決定する必要があります。
コストと各種要件のバランスを考えたソリューション選定を行うことが重要です。
 
 

お手軽バックアップを実現する"Snap to NFS"とは?

今回ご紹介するSnap to NFSは、スナップショットをNFSサーバーに保存することでバックアップ運用を可能とするFlashArrayの機能です。
簡単に、かつ他のバックアップソリューションよりも比較的安価に導入可能な機能となっています。
FlashArray上でバックアップを取得し、バックアップデータ保存先のストレージへの送信を行うため、バックアップデータを保存するストレージさえあれば別途バックアップソフト等の購入の必要がなく、シンプルに構成が可能です。
またFlashArrayでは機能毎にライセンスを購入する必要がないため、Snap to NFSも無料で利用することができます。
対応しているターゲットNFSサーバーは幅広く、下記の各種ストレージが利用可能となっています。
・Pure Storage FlashBlade
・サードパーティ製NFSストレージアプライアンス
・汎用Linuxサーバー
 
さらに、データ転送時にはFlashArrayのウリの一つでもある高いデータ削減効果が効いた状態のデータが転送されるため、ストレージ容量や転送帯域幅の面で非常に効率的なバックアップ運用が可能となっています。
 
上記のように簡単に導入可能かつ安価ではあるものの、アプリケーションやOSの静止点でバックアップ取得を行うための連携機能は備わっていません。
そのため、静止点でのバックアップ取得といった要件がなく、比較的安価にバックアップシステムの導入をはじめたいユーザーにおすすめの機能となっています。
 
 

Snap to NFSの動作基盤"Purity//RUN"とは?

Snap to NFSを説明するにあたり、先にSnap to NFSの動作基盤 "Purity//RUN" についてご紹介いたします。
 
FlashArrayのストレージOSであるPurity OSはUbuntuをベースとして動作しており、シャーシ内の2つのコントローラーそれぞれではUbuntuが動作しています。
Purity//RUNはそのUbuntu上にてKVMをベースとして仮想マシンを動作させる機能です。 
 
冗長化されたストレージコントローラー上で仮想マシンを動作させることにより、各仮想マシンはコントローラー間でフェイルオーバーできる仕組みとなっています。
 
そしてこの仮想マシンのことを、FlashArrayでは"アプリケーション(App)"と呼びます。
 
Purity//RUNで動作するアプリケーションを利用した機能と、そのアプリケーションに割り当てられるリソースは下記となります。※1

※1 下記はPurity OS 5.2時点での情報となります。 

スクリーンショット 2020-05-07 12.14.51.png  
 
上記のように仮想マシンを動作させるため一定のリソースを必要とする関係上、FlashArrayのシリーズの中でもエントリーモデルであるFlashArray//M10、//X10 ではPurity//RUNは利用できません。
 
そして表中にもある通り、Snap to NFSはこのPurity//RUNで動作する仮想マシンによって提供される機能です。そのためFlashArray//M10、//X10 ではSnap to NFSは利用できない点にご注意ください。
 
 

Snap to NFSの動作要件

Snap to NFSの動作要件は下記のとおりです。
 
[FlashArray]
  • Purity OS 5.1.x 以降
  • FlashArray X20 もしくは M20 以上のモデル
 
[ターゲットNFSサーバー]
  • NFSv3 またはNFSv4 が利用可能であること
    • NFSv4.1 は現在サポートされていません。
  • Windows NFSサーバーではないこと
  • FlashArrayからマウントポイントに対する読み取り / 書き込み / 実行 が可能であること。
  • レプリケーション用ポートを使用して、NFSストレージへアクセス可能であること。
 
 

まとめ

今回は機能概要編として、Snap to NFSの概要をご紹介いたしました。FlashArray単体で実行でき、ライセンスコストもかからないお手軽バックアップソリューションであること、そしてその仕様についてご理解いただけたのではないでしょうか。
 
次回は実践編として、弊社検証環境にて確認した設定手順などをご説明します。お読みいただければ幸いです。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
中田 浩嗣

VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア