こんにちは。SB C&Sで仮想化製品のプリセールスを担当している真砂です。
前回の記事で紹介させていただいた、NutanixとオムロンUPSを強く連携させるVirtuAttendantの最新アップデート情報がオムロン ソーシアルソリューションズ社から公開されました。
第1回 NutanixとオムロンUPSで構成するシンプルな仮想化基盤の実現
第2回 VirtuAttendantの導入方法と基本設定
第3回 VirtuAttendantとNutanixの強固な連携機能
本記事ではいち早く、今回のアップデート内容を紹介をさせていただきます。
2020年10月 アップデート内容
まず今回のアップデート内容は以下が公開されています。
- Nutanix AOS 5.15/VMware vSphere 7.0への対応
- UPSの冗長構成(1+1、N+1)以外に、複数UPS構成(1+N)にも対応
- 仮想マシンを停止および起動する対象から除外することが可能
- ネットワークカードSC21と連携する設定内容をVirtuAttendantの画面から設定可能
- vCenter ServerやVirtuAttendantを起動するスクリプトの追加を選択可能
- ネットワークカードSC21の死活監視機能を使用せずに、
VirtuAttendantとネットワークカードSC21の連携が可能 - ノード一覧の表示、検索性の向上(種類ごとのタブ表示、およびフィルタ機能を搭載)
- 優先度設定での仮想マシンの順序変更に関する操作性向上
(ドラッグ&ドロップによる順序変更が可能) - vCenter Serverのシャットダウン順序変更が可能。
- 停止テスト/起動テストを実行した後に、テストを中止することが可能
- 停止テスト/起動テストのテスト結果をExcel出力可能
- VirtuAttendant起動時に仮想マシンを起動しない設定が可能
など
このように多くの更新が新バージョンにて行われるようです。
非常に多くの更新が行われるようですが、今回は影響が大きいと想定される以下のアップデート内容に注目しました。
2.UPSの冗長構成(1+1、N+1)以外に、複数UPS構成(1+N)にも対応
4.ネットワークカードSC21と連携する設定内容をVirtuAttendantの画面から設定可能
11.停止テスト/起動テストのテスト結果をExcel出力可能
これらのアップデートについて、オムロン ソーシアルソリューションズ社へ確認した内容をもとに紹介していきます。
UPSの冗長構成(1+1、N+1)以外に、複数UPS構成(1+N)にも対応
これまでは複数台のUPSを必要とする環境では、導入が難しいパターンがありました。
例えば下の図のように、それぞれのUPSが異なるNutanixのノードを保護しているような構成の場合であっても、VirtuAttendantはクラスター全体を保護している冗長化されたUPSと認識してしまい、単体のUPS障害時に停止処理が実施されないという仕様から出る問題に起因していました。
▼現行バージョンでの動作イメージ図
新バージョンでは指定した台数のUPS異常を検知した場合に停止処理を実施できるようになったため、このような構成であっても対応することができます。
▼新バージョンでの動作イメージ図
これによりUPSの冗長構成、または複数台組み合わせた構成のいずれであってもVirtuAttendantで選択・対応が可能になりました。
ネットワークカードSC21と連携する設定内容を
VirtuAttendantの画面から設定可能
VirtuAttendantを利用する場合、オムロンUPSに搭載するネットワークカード「SC21」が必須となります。
Nutanixの起動コマンドなどについてはSC21へ自動的に設定を行いますが、一部の設定についてはSC21のコンソール画面から実施する必要がありました。
▼UPSに搭載するネットワークカード「SC21」の管理コンソール
新バージョンではSC21側の様々な設定をVirtuAttendantから実施できるようになったため、SC21の管理コンソールを操作することなく、ほぼすべての操作をVirtuAttendantから行えるようになりました。
また、UIもSC21を踏襲されたように作られているため、操作感なども変わらず設定を行うことが可能です。
▼新バージョンで追加されるSC21設定項目の画面
さらに復旧時の必要なVirtuAttendantやvCenter Server Applianceの起動スクリプトも自動的に組み込めるようになり、新バージョンではUPS関連の設定に関してはVirtuAttendant側に統合された形になったため、作業時に複数の管理画面を行き来するということがなくなり、より扱いやすくなったと考えています。
停止テスト/起動テストのテスト結果をExcel出力可能
前回の記事でもご紹介したとおり、仮想マシンの起動・停止時間の結果をガントチャート形式の見やすいUIにて表示され、ひと目で全体の所要時間を把握することができました。
新バージョンでは、1クリックでテスト結果をエクセル形式にて出力できるようになりました。
▼新バージョンで追加されるダウンロード
▼ダウンロードしたExcelファイル
これまではテスト結果がWeb画面上でのみ提供されていたため、完成図書などの納品ドキュメントへ流用しづらい部分がありましたが、新バージョンではエクセル形式で出力できるため、任意のフォーマットに合わせて調整などもやりやすく、活用の幅が広がると考えています。
まとめ
今回はメジャーアップデートとなるバージョン2.0.0が提供されることになり、Nutanix & オムロンUPSとVirtuAttendantを組み合わせるメリットがさらに増え、活用の幅が広がったように感じました。
オムロン ソーシアルソリューションズ社の製品ご担当者曰く、今回のアップデート内容は利用者からのフィードバックをもとに機能の追加や改修を行った経緯があるとのことで、仮想化環境におけるUPS導入時の課題を解消出来るアップデート内容が多くあった印象を受けました。
今後も同様のスタンスでアップデートが行われていくと思われますので、さらに機能面や利便性が向上していくことが期待できます。
※本記事で使用している一部画像は、オムロン ソーシアルソリューションズ社HPにて公開されているものを許可を得て掲載しております。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
真砂 暁 - Akira Masago
お客様へより良いシステムのご提供を目標に、インフラ周りのプリセールスエンジニアとして活動。
現在は仮想化製品を担当すべく、日々精進しております。