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vSAN構築経験があるエンジニアがVxRailを触ってみた 〜UPS紹介編〜

ストレージ / HCI
2021.02.15

みなさま、こんにちは。
SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアを担当している、稲葉です。

前回はVxRailならではの機能をご紹介させていただきました。
今回はオムロンUPSを使用したVxRailの安全なシャットダウンについて実際に検証した内容を踏まえつつ、メリットをご紹介していきます。

VxRailでオムロンUPSを使用する3つのメリット

1)外部配置の電源管理サーバー不要

オムロンUPSはUPSに搭載されたネットワークカード(通称SC21)により、外部に電源管理サーバーを配置せずにVxRailの仮想基盤をシャットダウンすることが可能となります。

仮想基盤のUPSは、停電などの電源障害時に仮想基盤を安全に停止するため、シャットダウン信号を送るサーバーを外部に配置することが一般的です。
理由としては、電源管理サーバーが仮想基盤上に配置した場合、稼働しているESXiホストをメンテナンスモードにできず、仮想基盤全体を停止することができないことが挙げられます。

そのため、電源管理サーバーとして外部に1台、UPSの管理ソフトウェアに準拠したサーバーを準備する必要があります。しかしオムロンUPSでは電源管理サーバーがUPSのネットワークカードに内包されているため、「新たに立てる必要がない」というメリットがあります。

VxRailの環境を全て停止させるために、オムロンUPSでは2種類の管理サーバー「VirtuAttendant」と「SC21」を使用します。
VxRail環境にてVirtuAttendantとSC21を配置した場合のイメージ図は以下の通りです。

VxRail-02.png

VirtuAttendantにより仮想マシンが停止され、SC21によりメンテナンスモードの有効化やシャットダウン処理のコマンドが各ESXiホストに発信することで対象の仮想基盤を安全に停止することができます。

  1. VirtuAttendantの主な特徴
    • 仮想アプライアンス
    • 仮想マシンの停止と起動を担当
    • Webブラウザによる管理画面を提供
      VA-01.png
  2. SC21の主な特徴
    • SSH/Telnetによるコマンド発行が可能
    • ESXiホストに対してメンテナンスモード設定やシャットダウンを担当
    • Webブラウザによる管理画面を提供
      SC21-01-01.png

2)vSAN環境の推奨停止手順に対応

VxRailには「クラスターシャットダウン」と呼ばれるVxRail特有のシャットダウン機能が存在します。
「クラスターシャットダウン」は、vCenterやVxRail Managerの停止、クラスターに登録されたESXiホストに対してのメンテナンスモードの有効化、シャットダウンの実行を自動化するだけでなく、次回起動時に実施するメンテナンスモードの無効化やvCenter、VxRail Managerの起動処理も実施してくれるとても便利な機能になりますが、使用には注意が必要です。

<クラスターシャットダウンを使用した停止時の操作と流れ>
VxRail-03.png

「クラスターシャットダウン」は以下<管理用仮想マシン>を除く、全ての仮想マシンが停止している状態で、vSphere Client(HTML5)もしくはRestAPIにて実行することができます。

<管理用仮想マシン>
・vCenter Server Appliance
・vCenter Server Platform Services Controller(PSC)
・VxRail Manager


実際の操作画面に関してはDELL Technologiesの片山さんがわかりやすく紹介されていますのでこちらをご覧ください。


<クラスターシャットダウン使用時の注意点>

VxRailはvSANを採用しているため、VMwareが推奨するクラスターの停止方法が存在します。
VMwareが推奨するvSANの停止方法はKB60424に記載されていますが、VxRailのクラスターシャットダウンにおいて対応しているバージョンが2021年3月時点において限定的です。

Dell TechnologiesのパートナーサイトのKBには、VxRailのバージョン「4.7.520」もしくは「7.0.130」より前のVxRailに関してはKB60424のシャットダウン手順に従うことが推奨事項として記載されています。

VxRail-05.png


それでは具体的にオムロンUPSを使用した場合、どの様に自動シャットダウンを実現させるかを簡単に表したフローが以下の図となります。

オムロンUPSではVirtuAttendantが仮想マシンを停止し、SC21が仮想マシン停止後のシャットダウン処理を担当します。

SC21に設定するスクリプトは「既存から選択」、もしくは「新たに登録」が可能であり、待機時間制御により柔軟なシャットダウンフローを構築することができます。また設定時の値を変更することでVirtuAttendant+SC21を使用した自動起動も可能となります。その結果クラスターシャットダウン機能を使用せず停止と起動の処理を組み立てることができます。

VxRail-06.png

3)1画面による統合管理を実現

VirtuAttendantとSC21を使用するにあたり、それぞれにブラウザ表示の管理画面が存在しますが、複数の画面は運用を煩雑化させる要因となりえます。

VirtuAttendantでは、管理画面からSC21の設定を行うことができるため、そのような運用の煩雑さも解消することができるなど実際の運用者の目線に立った管理画面設計が特徴です。

VA&SC21.png

この他にもVirtuAttendantには以下の様な運用を考慮した便利な機能が豊富に搭載されています。

  • 仮想マシンの自動追加(vCSに追加された仮想マシンをVirtuAttendant上にも自動追加)
  • 仮想マシンのグルーピング(複数台の仮想マシンを同時に停止・起動する)
  • スクリプト登録と実行(停止・起動フロー途中にスクリプトを実行する)
  • シャットダウン/起動処理時のチャート表示(ガントチャート形式でのフローの表示)
  • シャットダウン/起動処理時のレポート出力(エクセル形式でのチャート出力)
  • 複数台のUPSによる冗長構成(1+1、N+1に対応)、など

VirtuAttendantの詳細に関しましてご興味がある方はこちらをご覧ください

まとめ

今回はオムロンUPSを使用したVxRailの電源管理についてご紹介させていただきました。

オムロンUPSは、外部設置の電源管理サーバー不要なシンプルな構成、運用者の目線に立った便利な機能、そしてvSANのシャットダウンに対応できる柔軟性を兼ね備えたUPSと言えるのではないでしょうか。

SB C&Sではシャットダウンおよび起動に関して実際のVxRail環境とオムロンUPSを使用し検証した結果をホワイトペーパーとしてまとめた物を作成しております。こちらのドキュメントを確認いただくことで実際の作業手順や、設計時に考慮すべきポイントを確認することができますので、実際にVxRailの電源管理としてUPSをご検討されている方は、是非弊社営業までご相談ください。

PAPER-01.png

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課

稲葉 直之

静岡出身で大阪に就職職してはや十数年。お茶と日本酒をこよなく愛し、現在は仮想化及びその周辺のプリセールスエンジニアとして日々修行中。