はじめに
こんにちは、SB C&Sの友松です。
この記事では、Nutanix HCIのコアソフトウェアであるAOSのバージョン「5.20」の新機能をいくつかピックアップして紹介します。AOS 5.20は、5.15に続く最新のLTS(Long Term Support)バージョンとして、2021年5月にリリースされました。
AOS 5.15のサポートは2022年5月に終了見込みであり、これから5.20の利用が多くなるとみられますので、今のうちに情報収集されることをおすすめします。
※AOS 5.20には、AOS 5.15以降にリリースされたShort Term Support(STS)バージョンである5.16、5.17、5.18、5.19の新機能が含まれます。この記事は、Nutanixのリリースノートをもとに作成しておりますので、詳細は各リリースノートご確認ください。(My Nutanixアカウントが必要となります)
◇LTSとSTSについては、こちらの記事をご参照ください。
Nutanix AOSのLTS/STSの考え方とサポート期間について
AOS 5.20で追加された主な新機能
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AHVでのUEFIとセキュアブート
AHVとAHV上の仮想マシンにおいて、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)とUEFIのセキュアブート機能がサポートされました。これにより、AHVと仮想マシンをブートローダーへの攻撃などから保護できるようになりました。(AOS 5.16にて追加)
- Life Cycle Manager (LCM) による AHV ホストのアップグレード
AHVホストのアップグレードが、PrismのLife Cycle Manager(LCM)画面での操作に統一されました。これまでAHVのアップグレード操作をしていた「ソフトウェアアップグレード」画面は、現在はLCM画面へリンクされるようになっています。(AOS 5.16にて追加)
- AHVでのマルチGPUのサポートと仮想GPUのライブマイグレーション
複数のvGPUを実行する仮想マシンをデプロイすることができるようになりました。また、vGPUを実行している仮想マシンのライブマイグレーションも可能となりました。(AOS 5.18にて追加)
- ストレージコンテナ間でのvDiskのライブマイグレーション
こちらはNutanixでは長らく待たれていた機能でもあるかと思います。Nutanix AHVでは、ストレージコンテナと呼ばれる論理的なストレージ領域を作成し、仮想マシンのvDISKを配置して使用します。冗長係数(RF)や圧縮といったストレージポリシーもこのストレージコンテナ単位で管理されます。今回の機能追加によって、ストレージコンテナ間で仮想マシンのvDISKのライブマイグレーションが可能となりました。(AOS 5.19にて追加)
- 仮想ネットワーク スイッチの管理
このアップデートによって、アップリンクとして接続する物理NICやボンドモード(チーミングポリシー)の指定などが、Prismからの操作で管理できるようになりました。さらに、AHVの仮想スイッチにVirtual Switch(VS)と呼ばれる新たなオブジェクトが追加されており、クラスタ内の仮想スイッチ設定を一括管理しやすくなりました。(AOS 5.19にて追加)
- Hyper-V 2019 のサポート
Microsoft Hyper-V 2019 が正式にサポートとなりました。また、Hyper-Vでのラック フォールト トレランスもサポートされました。(AOS 5.17にて追加)
- Leap を使用した AHV 同期レプリケーション (ゼロRPO) のサポート
2 つのオンプレ AHV クラスター間で、ゼロRPOの同期レプリケーション保護ポリシーを構成できるようになりました。現在このAHV同期レプリケーションにおいて実行できるのは、手動での試験的なフェールオーバーおよび、計画的なフェールオーバーのみとなっておりますが、今後は自動フェールオーバーにも対応していくようです。(AOS 5.17にて追加/Leapの使用にはPrism Centralが必要)
- X-Play(クロスプレイ)の強化 - Prism Central
X-PlayはPrism Centralが提供する運用の自動化機能で、今後の利活用が期待されるものです。この機能強化では、自動化のトリガーやアクションに新しい項目が追加されており、できることの幅が広がってきております。(AOS 5.17/Prism Central 5.17にて追加)
- AHVでの仮想マシンのOVAサポート - Prism Central
AHVで仮想マシンのOVAアーカイブファイルのエクスポートやインポートがサポートされました。これにより、AHV上の仮想マシンをOVAファイルとして他の環境へ移動したり、他のハイパーバイザーからエクスポートした仮想マシンのOVAファイルをAHV上で仮想マシンとして展開する、といったことが可能となります。(AOS 5.18/pc.2020.8にて追加)
◇今回ご紹介した新機能の一部はこちらの記事でも紹介しております。併せてご確認ください。
Nutanix AOS 5.19 新機能ポイント紹介
Prism Centralの変更点
AOS 5.18ファミリー以降のリリースにて、Prism Centralバージョンの採番形式が変更となりました。これまでは、AOSバージョンの採番形式に合わせて「Prism 5.17(Prism Central 5.17)」といった表記が用いられていましたが、AOS 5.18からは「pc.2020.8」というように年月の表記へ変更となっています。
それに伴い「pc.2020.8」以降は、Prism Centralリリースノートが独立して発行されており、Prism Centralの新機能の情報はこちらにも記載されるようになりました。
またPrism Centralのソフトウェア エディションは、これまで「Prism Starter」「Prism Pro」の2つでしたが、「pc.2020.8」のリリース時に、新たに「Prism Ultimate」が追加されました。
◇Prism Centralのソフトウェアエディションについては、こちらの記事もご参考ください。
【Prism Central ブログ 第1回】 Nutanix -Prism Centralとは-
まとめ
この記事では、2021年5月にリリースされたAOS 5.20(LTS)の新機能やPrism Centralの変更点を紹介しました。前回のAOS 5.15(LTS)以降様々な機能が追加されていますので、メーカーのリリースノートでも詳細を確認されることをおすすめします。
今後もAOSアップデートについて情報を発信していく予定ですので、ぜひまた当ブログへ情報を収集しに来ていただければ幸いです。
◇Nutanixのリリースノートは以下リンクをご参照ください。(My Nutanixアカウントが必要となります)
- ACROPOLIS 5.16 FAMILY RELEASE NOTES
- ACROPOLIS 5.17 FAMILY RELEASE NOTES
- ACROPOLIS 5.18 FAMILY RELEASE NOTES
- ACROPOLIS 5.19 FAMILY RELEASE NOTES
- ACROPOLIS 5.20 FAMILY RELEASE NOTES
- RELEASE NOTES | PRISM CENTRAL PC.2020.8
- RELEASE NOTES | PRISM CENTRAL PC.2020.9
- RELEASE NOTES | PRISM CENTRAL PC.2021.1
- RELEASE NOTES | PRISM CENTRAL PC.2021.3
Nutanixに関する他の記事はこちら
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -
DC運用や留学などの経験を経て2019年にSB C&S入社。好きなことは料理とお酒。嫌いなことは睡眠不足。