vSphere 8.0 検証環境構築はこちら
こんにちは。SB C&Sの湯村と申します。今回から「基礎から学ぶ!vSphere検証環境構築」シリーズの本編をご紹介します。初回となる第1回は、「ESXiのインストール」です。vSphere環境の基盤となるESXiですので、しっかりと学習しましょう。
1. ESXiとは
ESXiは、vSphereの中核となるハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェアです。ESXiをサーバー上にインストールすることで、ESXi上に複数の仮想マシンを稼働させることができます。ハイパーバイザーは、サーバー上に直接仮想化ソフトウェアをインストールすることで仮想化を実装します。本記事では、サーバー上にESXiをインストールする手順を記載しています。
2. 使用する環境
今回使用した環境は以下の通りです。
- ハードウェア:Nested ESXiとして利用する仮想マシン3台
※今回の検証環境は、仮想マシン上にESXiをインストールしています。これはNested ESXiと呼ばれる方式です。本来のESXiは物理サーバー上にインストールするものですが、検証環境としては一般的に利用されます。 - ソフトウェア:VMware ESXi 7.0 Update 3
【参考】https://kb.vmware.com/s/article/86398
また、
コンポーネント | ESXiホスト名 | IPアドレス | CPU数 | メモリ | ローカルディスク |
---|---|---|---|---|---|
ESXi-A1 | esxi-a1.demo.local | 192.168.255.10/24 | 2 | 16GB | 32GB |
ESXi-A2 | esxi-a2.demo.local | 192.168.255.20/24 | 2 | 16GB | 32GB |
ESXi-A3 | esxi-a3.demo.local | 192.168.255.30/24 | 4 | 16GB | 600GB |
下図の赤枠部分を構築していきます。また、これから説明する構築手順では、ESXi-A1に対する手順のみを記載しています。今回のようにESXi-A2、ESXi-A3と複数台ある場合は、それぞれに対して同じ手順を行ってください。
3. ISOイメージファイルのダウンロード
VMwareのソフトウェアは、VMware Customer Connect からダウンロードできます。ESXiをインストールするためのISOイメージ ファイルも、ここからダウンロードします。
※今回は検証が目的ですので、評価版のイメージをダウンロードします。
1. VMware Customer Connectにアクセスします。 |
2. [製品とエンタイトルメント アカウント] の [評価版] をクリックします。 |
3. [評価版を入手] をクリックします。 |
4. VMware vSphereの [評価版の無償ダウンロード] をクリックします。 |
5. [ライセンスとダウンロード] タブから、[登録] をクリックします。 |
6. エンドユーザー使用許諾契約書のページで必要事項を入力し、[無償評価の開始] をクリックします。 |
7. VMware vSphere Hypervisor(ESXi ISO) imageの [手動ダウンロード] をクリックします。 |
4. ESXiのインストール
ダウンロードしたISOイメージをサーバーにマウントし、インストールを行います。
※ここでは1台目の手順のみ記載しています。複数台のESXiホストを構築する場合は、残りのサーバーについても同様にインストールしてください。
1. ダウンロードしたISOイメージをディスクメディア等に焼き付け、サーバーにセットして起動します。しばらくすると以下の画面が表示されるので、操作しないでそのまま待ちます。 |
2. しばらくするとインストーラーが起動するので、[Enterキー] を押します。 |
3. ライセンス規約を確認し、[F11キー] を押します。 |
4. ESXiをインストールするディスクを選択し、[Enterキー] を押します。 |
5. キーボードレイアウトを変更します。
|
6. rootユーザーのパスワードを設定します。
|
7. [F11キー] を押し、インストールを開始します。 |
8. インストールが完了したら [Enterキー] を押してサーバーを再起動します。 |
9. 以下の画面が表示されたら、ESXiのインストールは完了です。続けて、ネットワークの設定を行いますので、[F2キー] を押してください。 |
10. 設定したrootユーザーのパスワードを入力します。
|
11. 管理ネットワークの設定を行います。
|
12. まずはネットワークアダプタの設定を行います。
|
13. 物理NIC(vmnic)を選択します。
|
14. 管理ネットワーク用IPアドレスの設定を行います。
|
15. ESXiの管理ネットワーク用IPアドレスを入力します。
|
16. 続いて、DNSの設定を行います。
|
17. DNSサーバーの情報を入力します。
|
18. [ESCキー]を押します。 |
19. [Yキー] を押して変更を適用します。 |
5. Host Clientによる接続確認
Host Clientは、ESXiホストを直接管理するためのWeb UIです。vCenter Serverが構築済みであればvSphere Clientから複数のESXiホストを一元管理できますが、今回はまだ構築されていない状態なので、Host ClientからESXiホストへの接続確認を行います。
1. ブラウザからHost Clientへアクセスします。
|
2. [esxi-a1.demo.local にアクセスする(安全ではありません)] をクリックします。 |
3. Host Clientへログインします。
|
4. 以下のように、管理画面が表示されたら接続完了です。 |
6. Tips ~ ESXiのインストール要件 ~
ESXiをインストールするためには、ハードウェア要件を事前に確認しておく必要があります。
ハードウェア要件としてはまず、インストール対象のサーバーがサポートされているかどうかを 「VMware Compatibility Guide」で確認します。
対象のサーバーがサポートされていることを確認したら、以下のリソース要件を満たすことを確認してください。ただし、これはESXiをインストールできる最小の要件です。簡易的な検証環境としては問題ないかと思いますが、本番環境の場合はどれだけのリソースが必要になるか、事前にしっかりとサイジングしましょう。
- CPU:2コア以上
- メモリ:4GB以上(本番環境では8GB以上)
- NIC:ギガビット対応のNIC 1つ以上
- ESXiブート専用ディスク:32GB以上(推奨128GB以上)
この中で、ESXiのインストール先(ブート デバイス)については、従来のOSではHDDやSSDを採用していた方々が多いかと思います。
HDDやSSDにOSをインストールするケースでは、障害が発生した際にOS領域とデータ領域を切り離した対応ができませんでした。さらに、OS領域にもデータ領域と同様にディスクを使用するため、OS領域に過剰な容量のディスクを消費してしまい、データ領域として使用できる容量が減ってしまいます。
これらの課題は、サーバーにOS領域専用のディスクがあれば解消されます。現在は、データ領域用のディスクとは別に、OS領域専用ディスクを搭載可能にしたサーバーが多くリリースされています。そこには、ESXiもインストールすることができます。例えば、Dell TechnologiesのPowerEdgeサーバーではBOSS(Boot Optimized Storage Solution)と呼ばれるモジュールがそれに該当します。
また、最近のOS専用領域としては、M.2と呼ばれる規格のSSDカードが使用されています。そして、2枚のM.2 SSDを搭載してRAID1の冗長構成にできるストレージ コントローラーを搭載したサーバーもあります。
現在リリースされているM.2 SSDの容量は、サーバー向けのものであれば少なくても240GB以上あり、ESXiのインストールに十分な容量があります。本番環境でESXiをインストールする際は是非ご検討ください。
今回は、仮想化基盤の基礎となるESXiの構築手順をご紹介しました。次回は、構築したESXiを統合管理するvCenter Server Applianceについてご紹介します。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
湯村 成一 - Seiichi Yumura -
Dell Technologies社製品のプリセールス業務を行うエンジニア。
主にVxRail・Azure Stack HCIといったHCI製品を担当している。