こんにちは。SB C&Sで仮想化製品の技術支援を担当している真砂です。
今回はNutanix Files(以降Files)のバックアップやDRなどの手法について、まとめてみようと思います。
Nutanix Filesの保護について
FilesはNutanixから提供されるファイルサーバーの役割を果たしてくれる機能です。
このFilesを保護、いわゆるバックアップを行う方法はNutanixから様々な手法が用意されています。
ただ、用意されている手法はそれぞれどのようなシチュエーションで利用し、どのように復元するか手順が異なります。
この記事ではシチュエーションごとにどのバックアップ機能を使う必要があるか簡単に整理してみます。
Protection Domainによるバックアップ
NutanixではProtection Domainと呼ばれるスナップショットとレプリケーション機能を利用した純正のバックアップ機能を持っており、この機能を活用することでバックアップ製品を必要とせずNutanix上の仮想マシンを保護することができます。
この機能はFilesでも利用することができるため、仮想マシンと合わせてシンプルなバックアップを実現することができます。
・ポイント
Filesの保護でよく採用される一般的な方法です。
仮想マシンと同じくシンプルな操作でFilesのバックアップを取得でき、レプリケーション先で起動可能なリソースがあればDR構成を組むこともできます。
ただし、DR側で起動させる場合はバックアップからクローンするという形で再展開が必要となるため、30-60分程の時間が掛かりいくつかの操作を手動で行う必要があります。
Self-Service Restoreによるファイルレベルの保護
Files内に存在するファイル単位でリストアを行う場合は、Self-Service Restoreを利用することで実現できます。
Self-Service Restoreを利用すると、Windows VSSのように指定した日時の状態に遡り特定のファイルのみを復元することができます。
・ポイント
この機能はProtection Domainにも同名の機能が存在していますが、Filesで利用できるSelf-Service Restoreは利用方法・設定方法ともに異なります。
これは同一名称であるために誤解を招いているケースが多く、Protection DomainでFilesを保護していればファイルレベルのリストアもできると誤った認識をされている方が多い印象を受けます。
また、リストアポイントが最大50ポイントしか作成できないため、1時間ごとにリストアポイントを作成して1週間前の時点に復元するような短い間隔での長期保存は行えません。
可能な限り長期の復元が必要な場合は、スナップショット間隔を6時間や8時間間隔に指定することで、業務的に必要なリカバリポイントを確保しつつ、ある程度長期間の復元が可能にります。
Smart DRによるDR構成
Smart DRはメインクラスターとDR側クラスターにてより短い間隔でレプリケーションを行い、障害時に素早く切り替えることが可能な機能です。
Protection DomainでもDR側クラスターに切り替えることはできますが、前述の通りDR側クラスターでクローンに伴う再展開の時間が必要なため時間がかかってしまいますが、Smart DRであれば1,2分でDR側クラスターのFilesを利用可能な状態にすることができます。
・ポイント
Smart DRはDR側クラスターでもFilesを常時稼働させ、10分間隔でFilesの共有フォルダ単位でレプリケーションを行います。
DR側クラスターへ切り替える際に1クリックでDNSのレコードを切り替えて、DR側クラスターのFilesを利用可能な状態にすることができます。
Smart DRはPrism Centralから設定・操作を行うため、メインクラスターに障害が発生した場合も操作可能なクラスターでPrism Centralを構成する必要があります。
なお、Smart DRはDR側クラスターで常時Filesを稼働させる必要があるため、Filesのライセンスが両方のクラスターで必要になるため、コストが増加する傾向があります。
まとめ
最近はFilesの知名度も上がり、案件で採用されるケースも徐々に増えてきた印象を持ちます。
それと同時に一部の機能、特にSelf-Service Restoreに関しては誤った認識を持たれているケースが多く後から設定忘れが発覚し、いざという時に復元できないという話を何度かお聞きしたこともあります。
ご紹介した通り、Filesは単純なバックアップやDR、ファイルレベルの保護など様々な機能がNutanix側で用意されており、操作がNutanix内部で完結するためサードパーティ製のバックアップソフトを利用するよりもシンプルに運用することができます。
ただし、それぞれの機能がどのようなシチュエーションで利用でき、どのように設定するかを把握しておくことが重要であると考えています。
また、安価なNASをバックアップ先として使いたい場合やAWSやAzureのクラウドオブジェクトストレージを使いたい場合は、サードパーティ製のバックアップソフトを利用するシチュエーションも出てくるため、これらもうまく使い分けることで提案の幅を広げることも可能です。
このようにFilesの保護には様々な要素を考慮する必要があります。
Filesを導入される際は、バックアップ周りの機能/製品選定・導入方法や注意点などアドバイスさせていただくこともできますので、お気軽に弊社までご相談頂ければと思います。
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
真砂 暁 - Akira Masago
お客様へより良いシステムのご提供を目標に、インフラ周りのプリセールスエンジニアとして活動。
現在は仮想化製品を担当すべく、日々精進しております。