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HYCU Backup & Recovery for Nutanixを用いたクラウドバックアップのメリット

HYCU
2022.03.31

こんにちは。SB C&Sの真砂です。

今回はHYCUを用いたNutanixのクラウドバックアップ機能について紹介します。

※前回までの記事はこちらからどうぞ
第1回 HYCU Backup & Recovery for Nutanixの紹介
第2回 HYCU Backup & Recovery for Nutanixの展開
第3回 HYCU Backup & Recovery for Nutanixでバックアップを設定する
第4回 HYCU Backup & Recovery for Nutanixで仮想マシンをリストアする
第5回 HYCU Backup & Recovery for Nutanixの便利な機能紹介
第6回 HYCU Backup & Recovery for NutanixでFilesのバックアップ

よく用いられるNutanixバックアップについて

まずはじめに、Nutanixでよく活用されるバックアップ方法について説明します。

Nutanixは自身がもつスナップショットとレプリケーションを利用したバックアップ機能、または他社製のバックアップ製品を用いてNASなどにバックアップを取得します。
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バックアップ先の筐体を同じ拠点に設置することが多いですが、耐障害性を考慮した場合は異なる拠点やデータセンターなどにバックアップ先の筐体を設置し、メインサイトが地震や火災によって被害を受けてしまい、データそのものが消滅してしまった状況からの復旧を想定して遠隔地バックアップの構成を取ることもありました。

より安全なバックアップは遠隔地バックアップを用いることですが、遠隔地へのバックアップは以下の点を考慮する必要があります。

  • 別拠点、またはデータセンターへ機器設置などの準備
  • 拠点間のネットワーク接続
  • 運用フェーズでのコスト増


遠隔地バックアップのために別拠点を用意する際、拠点内のネットワークや設置場所の準備が必要です。
データセンターを利用する場合も、各種契約や機器の管理などの対応が必要になります。

また、遠隔地拠点とメインサイトをVPNなどで拠点間ネットワークを構築する必要があり、遠隔地バックアップ環境を設けることで導入フェーズの作業工数が増加してしまいます。
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さらにリリース後の運用フェーズでは、異なる拠点にそれぞれシステムが存在することで障害発生時のトラブルシューティングが複雑になる傾向があり、サーバーやネットワーク機器の管理面でも運用コストが増加する要因になってしまいます。

耐障害性を考慮すると別拠点に遠隔地バックアップを設ける構成は非常に有効な手段ですが、上記のような課題が存在するため予め考慮が必要です。

HYCUのクラウドバックアップについて

昨今、地震など自然災害の懸念から遠隔地、特にパブリッククラウドへバックアップデータを保存したいというご相談が増えており、その際クラウドバックアップと相性の良いHYCUをご紹介する機会が増加しております。

HYCUではバックアップデータの保存先(ターゲット)にAWSやAzure、GCPといったメジャーなパブリッククラウドを利用することができます。
他社製のバックアップ製品でもパブリッククラウドへバックアップが可能ですが、HYCUが優れている点として以下の点が挙げられます。

  • 1次バックアップ先にパブリッククラウドを指定可能
  • 一つのコンポーネントで運用可能
  • バックアップ先の容量制限


よく用いられる他社製のバックアップ製品もパブリッククラウドへのバックアップに対応はしていますが、細かな仕様を見てみると2次バックアップ先にだけ指定できるなどの制限が設けられている場合があります。
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HYCUではメインサイトにバックアップデータ用のNASなどを用意することなく1次バックアップにパブリッククラウドを指定することが可能です。
もちろん2次バックアップにもパブリッククラウドを指定できるため、要件に合わせて柔軟に構成を変更することができます。
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また、他製品ではパブリッククラウドにバックアップを取得する際に、プロキシのような中継地点の役割を担うコンポーネントなどが別途必要になる場合があり、その分追加で構築作業が発生し、さらにCPU,メモリなどのリソースを余計に消費してしまう場合があります。
HYCUではパブリッククラウドへのバックアップを行う際に必要なコンポーネントはバックアップコントローラー1台のみになり、パブリッククラウドだからと言って難しい作業は必要なく余計なリソースや作業工数を増やしてしまうことはありません。

最後に細かな機能になりますが、HYCUではバックアップ先(ターゲット)に保存できる容量の上限値を設定することができます。
クラウドサービスは利用した容量分の課金が必要になるため、予想を超えてデータを保存してしまうと予定外の費用を請求されてしまう場合があります。
この機能を利用することでパブリッククラウドに保存できるデータ容量の上限を予め指定し、予想外の利用を抑制して余計なコストを削減することが可能になります。
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HYCUでパブリッククラウドを利用する設定方法について

パブリッククラウドを利用するにあたり、構築手順はほとんど変わらず従来どおりシンプルに設定が可能です。
異なる点はバックアップ先(ターゲット)を指定する際に、予め作成しておいたパブリッククラウド上のストレージを判別するアクセスキーなどの情報を入力するだけです。
※ここでは、予め作成したAzureのBlobストレージを利用しています。
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残りの作業はこれまでのHYCUと変わらないので、新たな設定方法を習得する必要はなく非常に簡単です。
(HYCUの構築手順についてはページはじめに記載しております過去記事からご覧ください。)

まとめ

昨今、バックアップに求められる要件は単純な機器の故障だけではなく自然災害などを考慮して、遠隔地へバックアップデータの退避を求められるケースが増えています。
しかしながら、単純にもう一つ拠点を準備してバックアップデータを退避する環境では、システム全体を複雑にしてしまい導入や運用のコストが予想外に増大してしまう可能性があります。

このような課題を解決するためにパブリッククラウドとHYCU組み合わせることで、簡単に遠隔地バックアップ環境を実現し自然災害によるデータのロストから復旧可能な環境を整えることが可能になります。
HYCUはパブリッククラウドとの相性はもちろん、過去の記事でも紹介している通りNutanixとも非常に相性が良いため、Nutanix & クラウドバックアップが求められる場合は現状、最も相性の良い製品として候補に上がってくると考えています。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
真砂 暁 - Akira Masago

お客様へより良いシステムのご提供を目標に、インフラ周りのプリセールスエンジニアとして活動。
現在は仮想化製品を担当すべく、日々精進しております。