本記事では、Nutanix社が提供するDBaaSソリューション「Nutanix Database Service」(以下、NDB)について紹介します。
NDBはもともとNutanix Eraという製品名で提供されていましたが、2022年2月にNutanix社の製品ポートフォリオといくつかの製品名が変更されたタイミングでEraもまたNDBへとリブランドしました。
今回はNDBとは一体どういったものなのか、製品の特徴を紹介し、後半では実際にNDB環境を構築してDBを展開/クローン(複製)する場面もあわせて紹介します。
"クラウド化"が進むデータベース市場とNutanixのアプローチ
アプリケーションにおいてデータベース(以下、DB)が重要なコンポーネントであることは言うまでもありません。昨今のアジャイル開発をはじめとしたアプリケーションの開発やビジネススピードの高速化により、日々のDB保守業務に加えて、開発者やアナリストが求めるDBをいち早く提供することを行う必要があります。企業において、DB業務の効率化とスペシャリストの育成/確保は重要な経営課題となっています。
従来、DBの準備にはサーバー機器の用意からOSやソフトウェアのインストールといったインフラ基盤の業務が必要であり、DBの構築といった作業も高度な技術レベルを必要とするものでした。しかし、クラウドによるサービスとしてのDB(DBaaS)の登場によって、管理の手軽さや効率的にDB環境を手にすることが可能になりました。
その反面、サービスとして提供する手前、クラウドで提供できるDBの種類やチューニングの設定範囲が限定的であることや、大事なデータを社外に置くことによるセキュリティリスクも無視できません。
このように両者一長一短の状況下において、クラウドの「管理性」「効率性」と、オンプレミスの「柔軟性」「制御性」をあわせ持つソリューションがNDBです。
NDBは、Nutanix HCI基盤上でDBaaSプラットフォームを提供する製品です。
Nutanix HCIでのサーバー/ハイパーバイザー/ストレージを統合管理するクラウドライクな運用を可能にしつつ、NDBの機能によってDBをワンクリックでオンプレやクラウド上に展開し、バックアップ/リストアやパッチ適用といったDBのライフサイクル全般をGUIやAPI操作によって簡単に行うことが可能になります。
ここからは、NDBの特徴と言える4つの機能について説明します。
ワンクリックプロビジョニング
NDBのGUIを操作し、DBの展開をクリック操作で行うことができます。
DBの種類やパラメータ、仮想マシンのリソース、接続するネットワークを定義した「データベースプロファイル」を選択するだけで、ユーザーから接続可能なDBを自動で展開することができます。
これにより、DB管理者だけではなく、NDBへのアクセス権限を持ったユーザーが必要に応じてOracle RACやSQL Server AlwaysOnのようなクラスタ化されたDBもクリック1つで展開(セルフサービス)することも可能です。
▼こちらがNDBの管理画面です。白を基調としており、雰囲気がPrismと似ていますが、NDB専用のGUIとなります。
▼DBを新たに展開する流れは以下のとおりです。名前やパスワード、SSHログインのための公開鍵を入力する以外は既定のプロファイルから選択するだけの簡単な操作でDBが展開されます。
▼NDBの管理画面には、いたるところに「同等のAPI」というボタンがあり、これをクリックするとそこまでの操作を「JSONデータ」や「スクリプト」で表したものが提供され、同様の操作を何度も繰り返すケースなどの効率化に役立ちます。
▼DBの展開が完了しました。管理画面から接続先情報を確認します。
▼クライアントからDBに接続し、簡単なSQL文を実行してみました。
コピーデータマネージメント(CDM)
NutanixのスナップショットとDBのトランザクションログを用いたNDBの「タイムマシン」機能により、DBのクローン作成を行います。
本番環境DBのクローンを使い、開発テストやレポート、データ分析といった作業を本番環境に影響を与えることなく行うことが可能になります。
▼タイムマシン管理画面から該当DBを選択すると、過去のスナップショット取得履歴からDBのクローンが作成可能です。
データベースプロテクション
NDBのタイムマシン機能によって取得したスナップショットは、DBをバックアップする側面もあります。これを使い、ポイントインタイムリカバリによって、任意の時点への復元が可能となります。
▼計画されたスナップショットだけでなく、即時実行も可能です。
▼現在、使用可能なスナップショット一覧です。計画実行のものには「自動」と表示されています。
ワンクリックパッチ
NDBでは、DBのライフサイクルすべてを管理し、DBのマイナーバージョンへのアップグレードだけでなく、DBがインストールされたLinux OSへのパッチ適用もNDBのGUIからクリック操作で行うことが可能です。
▼DB展開後のメンテナンスも簡単にできてしまいました。
まとめ
NDBは単なるDB自動作成ツールではなく、DBのライフサイクル全般を管理し、複雑で高度な知見を必要とするDBの管理をシンプルにすることで、日々繰り返されるDB管理者の業務を自動化することが可能になります。
NDBによって管理者の業務が効率化された結果、空いた時間を新たなビジネス開発やサービスの検討など企業にとって生産的な業務に注力することこそがNDBの真の目的となります。
Nutanix Test DriveでNDBを体感しよう!
Nutanix製品をWebブラウザから体験できるNutanix Test DriveでNDBの機能をひと通り触ることができます。
はじめての方向けに日本語のシナリオ機能も用意されており、ガイダンスに沿ってNDB管理画面を進めることで今回ご紹介した特徴的な機能にも触れることができますので、ぜひお試しください。
▼Nutanix Test Drive
https://www.nutanix.com/jp/one-platform
▼技術ブログ「『Nutanix ちょっと触ってみたい』を叶える便利ツール Nutanix Test Driveとは?」
https://licensecounter.jp/engineer-voice/blog/articles/20210210_nutanix_test_drive.html
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
長濱 歳也 -Toshiya Nagahama-
◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門