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NetApp INSIGHT 2022 Digital 参加レポート

ストレージ / HCI
2022.11.11

皆さん、こんにちは。

今回は、先日開催されたNetApp INSIGHT 2022 Digitalにて発表された最新情報をお伝えします。

NetAppにて毎年行われるNetApp INSIGHTですが、昨年に引き続き今年もデジタルイベントとして11/1~11/3の3日間にわたり開催されました。

昨年のイベント内容が気になる方はこちらの記事で紹介していますので、是非チェックしてください。

 NetApp INSIGHT 2022 Digital 開催概要            
 

NetApp INSIGHTとはワールドワイドで開催されるNetAppのカンファレンスイベントです。
デジタルでの開催が定着してきた本イベントですが、今年もオンサイトではなくデジタルイベントとしての実施となりました。

デジタルでの開催は、オンサイトに比べてテクニカルセッションを多数用意できることや、オンデマンドコンテンツとして視聴者のタイミングの良い時間帯でチェックできるなど、デジタルイベントならではの特徴があります。

イベントは、昨年から用意された「NetApp TV」という専用プラットフォームで視聴することができます。
「NetApp TV」はイベント期間だけでなく、定期的にNetAppの最新情報が動画コンテンツとして公開されますので、気になる方はこちらからアクセスしてみてください。

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今回のNetApp INSIGHTでは以下のようなセッションがありました。

 ●Vision Keynote:NetAppの有識者が最新情報などを紹介するセッション
 ●Featured Session:最新情報やパートナー対談などの特集セッション
 ●Technical Session:NetAppの各製品をより詳しく知るためのセッション
 ●Customer Technical Session:実際の導入事例や想定されるシナリオを紹介するセッション
 ●
Hands-on Lab:NetAppのリモートラボ環境に接続し製品を体験できるセッション
 ●Get certified prep Session:NetAppの認定資格の対策を行うセッション

昨年に引き続き、Keynoteなどの特別なセッションについては、各国にいる参加者の時差を考慮し、3日間という日程の中で、アメリカ、アジアパシフィック、ヨーロッパの時間に合わせてスケジュール配信される配慮がなされていました。

ここからは、KeynoteとFeatured Sessionの発表内容を紹介します。

 Keynote
 

Keynoteの冒頭は、NetAppのCEOであるGeorge Kurian氏の挨拶から始まります。
今回のイベントテーマは「For the love of cloud」、今年で創立30周年を迎えたNetAppは、クラウドに関連するコンテンツを多数用意し、恋愛のように「真剣」にときには「楽しく」、視聴者に喜んでいただけるよう注力したとのことでした。

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まず、George Kurian氏は、昨年のINSIGHTの振り返りとして、クラウドがビジネスにおいて必須の存在となったことを伝え、今回のINSIGHTでのポイントを以下のように紹介しました。

・クラウドへの移行状況について
・クラウドへの移行をシンプルでセキュアなものにした方法
・NetAppの未来への取り組み

George Kurian氏は、「初期のクラウド普及は終わった」と力強く断言し、クラウドはすでにビジネスにおいてデファクトスタンダードプラットフォームであること、誰もがクラウドの可能性を引き出せる状態にあることを説明し、現在の段階を「進化したクラウド(The evolved cloud)」と表現しました。

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そして、進化したクラウドの特徴を以下のように説明します。

・アーキテクチャや運用はクラウドと完全に統合され、新たなサイロや閉ざされたインフラはなくなる
・セキュアかつ継続的に最適化され、ダイナミックなビジネス環境で着実な成果をもたらす
・パブリッククラウドとデータセンターを有するプライベートクラウドの相互運用を簡単に実現できる
・アプリとデータの整合性がクラウド間で確保されるため、ビジネスロジックが妨げられることなく、独自仕様のクラウド、アプリ、フレームワークにも縛られずに済む
・共通のインフラ管理機能、共通のAPIとオープンソースデータベース、データパイプラインとワークフローがある

また、クラウドへ移行することでデータは分散されるためにデータ管理が複雑になるといった課題については、ONTAPがあればオンプレミスとクラウド上で同じようにデータを管理することができ、セキュリティも担保された状態で移行も簡単にできることを主張しました。

NetAppのクラウドストレージは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといった3大クラウドプロバイダ全てのプラットフォームでネイティブに稼働する唯一のストレージであり、NetAppのクラウド戦略の大きな強みでもあります。

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さらに、クラウドはイノベーションプロセスも加速させるといい、COVII、OpenTextという企業を例に進化したクラウドの現状を紹介しました。

COVIIは義手の制作会社で、IT技術を組み込んだ義手を作ることで、義手の動き、実際の使われ方などのデータを分析し、新たな機能をリモートからアップグレードするといったことが可能になりました。

COVIIのCEOであるSimon Pollard氏は、分析するデータを収集する際、顧客データを扱うのでセキュアにデータを移動・管理する必要があり、NetAppとクラウドの活用により、問題が解決したと説明しています。

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OpenTextは、ビジネスのプロセス管理やERPといった業務システムの連携コンテンツを管理するソフトウェアなどを提供する会社です。

OpenTextのCEOであるMark J. Barrenechea氏は、ほとんどのお客様がマルチクラウドを選択するといい、マルチクラウドに対する運用面、財務面、環境面をシンプルかつ包括的に管理することが重要であると語ります。

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続いてGeorge Kurian氏は、Sustainability/ESGについて言及しました。
「他社と比較して、NetAppでは測定可能かつ達成可能な意義のあるCO2排出量の削減に取り組んでいる」と力強い言葉で主張していたことが印象的でした。
具体的な要素として以下の3つをあげています。

・環境への影響を最小限に抑えるには、オンプレミスのストレージや不要なデータを増やすべきではない
・情報とツールがなければ正しい意思決定はできない
・現実主義であれ

これらは、NetAppのクラウドストレージを利用することや、NetAppのインフラ統合監視ツールであるCloud Insightsを使って現実的なボリュームの利用率、クラウドに移行すべきワークロードの特定をすることで支援可能だと説明していました。

また、ONTAPの圧倒的なデータ効率化機能とNetAppのデータ階層化サービスであるCloud Tieringを利用することで、CO2を大幅に削減できることを強調しました。

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最後に、これから紹介されるコンテンツや進化したクラウドの可能性を再度強調し、George Kurian氏のプレゼンテーションは終了します。

COVVI、OpenTextとの対談は、オンデマンドコンテンツとしてFeatured Sessionで視聴可能になっていますので、興味のある方はNetApp TVにアクセスしてみてください。



ここからは、NetAppのSVP Worldwide Partner OrganizationであるJenni Flinders氏の司会によりイベントが進行します。

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まずはじめのパートでは、NetAppのEVP & Chief Product OfficerであるHarv Bhela氏がNetAppの戦略と新製品について紹介しました。

Harv Bhela氏によると、NetAppには次の3つの戦略的要素があるとのことです。

「ストレージ」・・・ONTAPというユニファイドストレージでありながら、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudといった3大クラウドプロバイダで利用でき、オンプレミスとクラウド間をつなぐことのできるストレージを持っていること
「データサービス」・・・データ保護からAI、MLにいたるまで、オンプレミスとクラウドの両方でシンプルかつ同一な管理手法を提供できるサービスがあること
「アプリケーションサービス」・・・パブリッククラウドのリソースを最適化できること

これによって、NetAppが創業当初から掲げているデータファブリックというビジョンを実現可能なものにしていると説明していました。

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ここでHarv Bhela氏は「多様な場所に存在するデータを管理する新しいツール」として、「NetApp BlueXP」(以下、BlueXP)を発表しました。

●NetApp BlueXP

BlueXPは、ハイブリッド/マルチクラウド環境を一つのコントロールプレーンとAPIセットで管理できるストレージとデータサービスを統合したプラットフォームであり、「Simplicity」「Security」「Savings」「Sustainability」を提供することで、進化したクラウドに命を吹き込むものであると強調しました。

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続いて、BlueXPの制作に携わったGabie Boko氏とRonen Schwartz氏の製品紹介が始まります。

Ronen Schwartz氏は、BlueXPの特長を「お客様の全てのデータ資産を1つの統合された管理環境にまとめること」「管理が非常にシンプルなこと」だと説明しています。

実際にデモ画面を使っての説明が始まりましたが、確かにごちゃごちゃとしたUIではなく、オンプレミスやクラウドにあるNetAppストレージが分かりやすく可視化されており、非常にすっきりしていて操作しやすいように見えます。

例えば、各ストレージ間でレプリケーションの設定を行う場合、ストレージアイコンの上をドラッグ&ドロップするだけ、レプリケーションに必要な設定を開始できるようです。

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さて、NetAppのクラウドサービスをご利用されている方は、ここで何かに気づくかもしれません。

そうです。
この画面、NetAppのクラウドストレージ管理ツールであるCloud Managerに似ていますよね。

「BlueXP = Cloud Manager」となるのか気になるところですが、さらにRonen Schwartz氏からBlueXPの機能について説明がありました。

マルチクラウドに対応するためには、AI/MLの導入が必要不可欠で、BlueXPにはこれらを実現するための統合型のAIOpsが搭載されており、「AIを使った健全性とステータスの監視」「問題を通知するアラート機能」「プロアクティブなガイダンスと修正措置の提示」が可能であるといいます。

また、AI/MLによりユーザおよびデータレベルのアクティビティが常時監視され、異常が発生した際の即時検出、データ保護といったセキュリティ機能も搭載されていると説明しました。

これらは、Cloud InsightsやActive IQの機能ですよね。

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さらにBlueXPには、NetAppが所有するストレージを利用者が指定する場所に設置し、契約容量とサービスレベルに応じて利用可能なStorage as a Service(STaaS)であるNetApp Keystoneが統合され、Digital Wallet機能を使用することで、ニーズの変化に応じてデータサービスのライセンスを簡単に交換することができたり、APIによりBlueXPとAnsibleを連携させるなど、様々な機能が搭載されていると説明しました。

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つまりBlueXPとは、これまでも多くのお客様に利用されてきたNetAppのクラウドサービスを完全に統合し、それぞれの機能を使いやすく連携、アップデートすることによって、データに関連する全てのマネジメントをシンプルにすることができるツールであると理解しました。

Blue XPは無料ですぐに利用することができ、今ならCloud Backupの30日間無料トライアルも可能のようです。
興味のある方はこちらからアクセスしてみてください。



続いてJenni Flinders氏は、企業がクラウドを利用するにあたって直面する重要な課題の1つに「クラウド環境の複雑化への対応」があると述べ、データやストレージの管理だけでなく、クラウドの運用についてもシンプルにする必要があると語りました。

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ここからは、NetAppのVice PresidentであるKevin McGrath氏によるSpot by NetAppの説明に入ります。

SpotはNetAppの子会社であり、クラウドコンピューティングの運用コスト削減に関しての革新的なテクノロジーを持つ企業です。
Kevin McGrath氏は、ストレージ管理の簡素化はNetAppのソリューションで行えるが、Spotはコンピューティング管理の簡素化を実現することができるといいます。

ここでは、Spot ElastigroupやSpot Ocean、Spot Ecoなどの既存ソリューションとともに新たなソリューションについての発表がありました。

●Spot Storage

Spot Storageは、ストレージにアタッチされている仮想マシンやコンテナが要求する性能や容量に合わせて自動的にストレージを最適化するサービスです。
クラウド環境を監視して、無駄に消費されているストレージリソースを特定、現実的な推奨構成および設定を実施することで、迅速なコスト削減が実現可能となります。

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●Spot Connect

Spot Connectは、ワークフローの自動化サービスです。
こちらのサービスはまだ発表段階のため、詳細情報は公表されませんでしたが、クラウド上のインフラを他のシステムにドラッグ&ドロップするだけで接続できるという機能があるようです。

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●CloudCheckr

CloudCheckrは、クラウド利用にかかるコストを分析、管理するためのサービスです。
クライアント用アプリケーションやストレージ容量など、どこに無駄コストが消費されているかを瞬時に判断し、最適な提案を管理者へ実施します。

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●Instaclustr

Instaclustrは、オープンソースのデータアプリケーション管理を自動化するサービスです。
現在のクラウドアプリケーションは、多くのオープンソース データベースやワークフローソリューションに依存している傾向にありますが、これらの展開/運用の自動化や継続的な最適化、監視、セキュリティを組み合わせた機能をパブリックまたはプライベートクラウド上で「as a Service」として提供します。

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続いてJenni Flinders氏から、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudとの事例からパートナーシップの強さについて触れ、各ストレージプロバイダが提供するマネージドストレージが、VMware Cloudのデータストアとして利用できるようになったことについて、業界初の共同開発が新たなレベルに突入したと強調しました。

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最後にNetAppのPresidentであるCésar Cernuda氏により、NetAppがビジネスにおける戦略的パートナーに選ばれる理由を「全てのパブリッククラウドとオンプレミスのデータを一貫して管理できるONTAPの存在が重要である」と語り、Keynoteが終了しました。

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 Featured Session
 

今回のINSIGHTでは、Keynoteは別にFeatured Sessionという特集枠で、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudのスペシャリストと対談を実施していました。

●Ahead of the cloud:AWS

AWSとの対談では、あらゆる企業がクラウドの利点に気付き始めたが、クラウドを利用するお客様の問題は、「何をクラウド化するか」ではなく、「何をいかに速くクラウド化できるか」だといいます。

FSx for NetApp ONTAPは、AWSネイティブなユーザがONTAPの高性能なストレージ機能を迅速に利用することができ、AWSの使いやすさや即応性、拡張性などのメリットも同時に受けることができるサービスだと強調しました。

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●Ahead of the cloud:Microsoft Azure

Microsoft Azureとの対談では、NetAppと25年間に渡って協業してきたことに触れ、データストレージとデータ管理の分野において、お客様に真の価値を提供してきたことを自負しました。

また、Azure NetApp FilesがSAPの厳しい認定を受けるほど、ハイパフォーマンスかつ低レイテンシであり、ワークロードやピーク時間に応じて、パフォーマンスをシームレスに調整できることが強みであると主張しました。

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●Ahead of the cloud:Google Cloud

Google Cloudとの対談では、共同開発おける最も重要なことは、お客様の声に耳を傾けることだといい、それこそが仕事を前へ進める原動力だと語りました。

また、Google Cloud VMware Engine(GCVE)を採用する企業が増えてきており、VMwareをクラウドに移行してGoogle Cloudの実績のあるセキュリティなど、多くのサービスが利用できること、それに加えてCloud Volumes Service for Google Cloudをデータストアとして利用し、エンタープライズクラスのパフォーマンスを提供できることに自信を見せました。

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 Hands-On Lab


Hands-On Labでは、INSIGHTで発表されたばかりのBlueXPや、FSx for NetApp ONTAPなどのマネージドストレージまで用意されており、非常に充実したラボになっていました。

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 NetApp INSIGHT 2022 Digital まとめ         
 

今回のINSIGHTは、Keynoteの冒頭にGeorge Kurian氏が言った「初期のクラウド普及は終わった」という言葉とともに、クラウドの活用は当たり前で、いかに速く、いかに簡単に、いかに低コストで利用するかといったように、より現実的な利用方法の開発に取り組む企業の思いを感じるイベントでした。

また、クラウド活用と同じレベルで「セキュリティ」や「Sustainability/ESG」といった分野への投資が目立ってきていることも感じ、世界の情勢と一緒にIT技術も進化しているように思いました。

ものすごいスピードで進化するIT業界ですが、来年はどんなトレンドが生まれているのか楽しみに
して、次のイベントを待ちたいと思います。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
河村 龍 - Ryu Kawamura -

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第3技術部 2課
笠原 規裕

2018年入社。
西日本エリアにて仮想化製品のプリセールスエンジニアに従事。
最近では仮想基盤のストレージに焦点を当てた検証を粛々と実施。