こんにちは。SB C&Sの山田と申します。
本記事のシリーズではVMware by Broadcomの新しいライセンスポートフォリオの1つである「VMware vSphere Foundation(VVF)」のライセンス検証を紹介しておりますが、今回はvSANのトライアルライセンスの使用方法をご紹介いたします。
なお、当社で行ったvSphere Foundationの調査・検証は、以下リンク先の記事にまとめております。
VMware新ライセンスの実態! vSphere Foundation 調査レポート記事一覧
※本ブログでご紹介している内容は、ブログ作成時に調査・検証した情報に基づいています。今後の製品アップデートやライセンスプログラムの変更によって、記載の情報が古い内容となってしまう場合がございますので予めご了承ください。
概要
通常、VVFでvSANを使用する場合はvSAN AddOnライセンスを購入する必要があります。vSAN AddOnライセンスは1TiB単位のライセンスとなっており、vSANのキャパシティ(物理ディスクの総容量)分を購入する必要があります。
ですが、VVFではトライアルの扱いでコアあたり100GiB分のvSANがデフォルトでバンドルされています。今回はこのトライアル分のvSANを使用してみます。弊社では48コア分のVVFライセンスを購入しているため、vSANのトライアルのキャパシティは約4.68TiB(4,800GiB)を上限として想定しています。
なお、注意点ですがvSAN AddOnを購入する場合、トライアルのコアあたり100GiB分は加味されません。vSANの全体のキャパシティ(物理ディスクの総容量)分を購入する必要があります。
※本記事ではVVFのvSphereライセンスを適用する内容が含まれていますが、こちらの概要や手順については、以下の記事をご確認ください。
検証環境
今回行う検証ですが、vSphere8.0U2b環境を使用します。検証環境は以下のイメージ図の構成です。
- ESXiホスト数:合計4台(Nested仮想マシン)
- vSphere クラスタのESXiホスト数:3台
- ESXiホストのCPU:4Core/1ソケット
- ESXiバージョン:8.0U2b
- vCenter Serverバージョン:8.0U2b
- 適用されているライセンスキー:永続(Perpetual)ライセンス
- ESXi:vSphere 8 Enterprise Plus
- vCenter Server:vCenter Server 8 Standard
- vSANデータストア容量:2.64TB(vSANクラスタ作成後)
今回の検証環境は、vCenter Serverが稼働しているESXiホストとvSANクラスタ内のESXiホストは別々となります。vCenter ServerにはVVFのvSphereライセンス、ESXiホストにはCPU単位のvSphereの永続(Perpetual)ライセンスが適用されています。
作業前の状態では、ESXiホストに適用しているCPU単位のvSphere永続(Perpetual)ライセンスは、以前から使用しているESXiホストを想定しています。New PortfolioライセンスであるVVFライセンスを適用したvCenter Serverで、vSphere永続(Perpetual)ライセンスが適用されているESXiホストの管理が可能です。今回はこちらのケースを想定して検証を始めていきます。
検証内容
vSANクラスタ作成
vSphereクラスタをvSANクラスタにします。以下のイメージ図のように2.64TBのvSANデータストア環境を作成します。
検証環境のバージョンを確認しておきます。
vCenter Serverのバージョンは下記の通り8.0U2b(8.0.2.00200)です。
ESXiのバージョンも下記の通り8.0U2b(8.0.2.2330554)です。
vSANクラスタを作成します。vSphereクラスタをvSANクラスタにします。
※vSANクラスタの作成手順は割愛します。
vSANクラスタが作成されました。今回の検証環境では2.64TBのvSANデータストアを使用するため、トライアルライセンスが利用できます。(48コア分のVVFライセンスを購入しているため約4.68TiBまでトライアルが可能な想定)
ライセンスを確認してみます。評価モードのライセンスがCPU単位適用されており、有効期限が60日間となっていました。VVFのvSANトライアルライセンスが適用されている想定とは異なる結果となりました。
vCenter ServerにはVVFのvSphereライセンス、ESXiホストにはCPU単位のvSphereの永続(Perpetual)ライセンスが適用されているケースでは、VVFのvSANトライアルライセンスが使用できないと想定されます。
ESXiホストにVVFのvSphereライセンスを適用
次に、ESXiホストにVVFのvSphereライセンスを適用し、ライセンスの適用状況に変化があるかを確認します。
vSANクラスタ内のESXiホスト3台にVVFのvSphereライセンスを割り当てるため、ライセンス管理画面から対象のESXiホストを選択し、[ライセンス割り当て]をクリックします。
VVFのvSphereライセンスを選択します。VVFのライセンスはキャパシティがコア単位になっていることが確認できます。[OK]をクリックします。
再度、vSANクラスタのライセンス適用状況を確認してみます。評価モードのライセンスがCPU単位適用されておりますが、有効期限が2074年となっていました。
先ほどのvCenter ServerにはVVFのvSphereライセンス、ESXiホストにはCPU単位のvSphereの永続(Perpetual)ライセンスを適用しているケースとは異なる結果でした。
まとめ
今回の検証では、vCenter ServerとESXiの両方がバージョン8.0U2bであるvSphere環境のケースにおいて、VVFのvSphereライセンスを適用すると有効期限が2074年となり、ほぼ無期限に近い形での評価利用が可能であることがわかりました。
この有効期限が2074年に設定される動作がVVFのvSANトライアルライセンスの仕様であるかどうかをメーカーに確認したところ、同様の回答を得られました。
従って調査結果から、VVFにバンドルされるvSAN Enterprise (100 GiB / Core)は、vSANクラスタ作成時にデフォルトで適用される評価ライセンスを利用する形になることが明らかになりました。
また、メーカーから共有された注意点として、現在の仕様上、VVFにバンドルされている容量を超えるvSAN環境が技術的に構成できてしまうことが指摘されています。契約したライセンスの容量を超過するとライセンス違反となるため、購入した100GiB / Core分の容量内でのご利用をお願いいたします。
容量を超過した場合、以下のような警告が表示されるようです。本番環境でこの警告が表示された場合は、vSAN AddOnの購入が必要な環境として判断できるかと思います。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
山田 和良 - Kazuyoshi Yamada -
VMware vExpert