SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

【セミナー告知あり】Nutanix .NEXT 2024 Day2 の速報をお届け

ストレージ / HCI
2024.05.23

※本投稿で紹介される内容は、発表当時のものであり将来のアップデート内容をお約束するものではありません。

こんにちは。SB C&Sの長濱と友松です。

DAY1の速報に引き続き、DAY2の速報もお届けいたします。今年も昨年に引き続き「Run Everywhere」というキーワードが使われております。特に今回は昨今の生成AIビジネスの盛り上がりから、AIインフラとしての情報発信が多く見受けられました。

それでは、DAY2 の速報をダイジェストでご覧ください。

DAY2 Morning Keynoteのダイジェスト

プロローグ

まず始めにNutanixSVPLee Caswell氏と、同社で同じくSVPThomas Cornely氏が登壇しました。

2人は昨今の仮想化界隈の混乱を引き合いに、顧客が新しいワークロードやアプリケーションへの影響を軽減する方法について説明しました。

ガートナーの調査によれば、企業のCIOの優先事項は、「サイバー/情報セキュリティ」、「ビジネスインテリジェンス/データ分析」、「クラウドプラットフォーム」、「AIML」、「アプリケーションモダナイゼーション」であった。

従来では、それぞれインフラを分離する必要があったが、Nutanixでは、ファイル・ブロック・オブジェクト・仮想マシン・コンテナを、1つのプラットフォーム上にシンプルに統合する。サイロ化を回避しつつ、様々な課題を解決に導くことこそが、開発者にとって求められるかたちとなる。と語りました。

1_thomas.jpg

1_CIO.jpg

1_OneP.jpg

また、今日のNutanixソフトウェアがインストールされた環境の内、70%AHVが動いており、1000を超えるNutanix Ready認定ソリューションが存在しています。既存システムからNutanix AHVへの乗り換えに不安なお客様にとっては大変心強い実績情報になると思われます。

1_AHVjpg.jpg

既存ハードウェア導入への取り組み

Nutanix AHVの誕生からこれまでの10年間の変遷を振り返り、すでにお客様環境に存在するハードウェアに対する、導入の簡素化にも取り組むことになりました。これはDay1のキーノートでCEOのRajiv Ramaswami氏からも語られていました。

1_InnovationP.jpg

2_ReHW1.jpg

今後は、既存サーバーの再利用や、大規模環境にむけたブレードサーバーのサポートなどもサポート対象としていく計画のようです。

取り組みの1つとして、VMware vSAN Ready Nodeへの、Nutanix HCIの導入を目指すとのことです。

サーバーについては、「AHV on Any Server」としてCiscoのブレードサーバーなどもサポート対象となると説明されていました。

既存IPストレージの再利用として「NCP for Dell PowerFlex」があらためて説明されました。内容につきましてはDay1の記事をご覧ください。

現時点では、Nutanix専用アプライアンスモデルやNutanix社の認定構成などインストールできるサーバーは限定的ですが、時間をかけて徐々に互換性を拡大していくものと思われます。


2_ReHW_vSAN.jpg

ahv-on-any-server-cisco.png

ncp-for-dell-powerflex.png

NCIおよびNCMアップデート

ここからは純粋なNutanix機能アップデートの紹介に話が戻ります。
まずは、ヨーロッパ圏で人気の高いNutanixクラスター間のデータ同期・災害対策を行うAHVメトロアベイラビリティのアップデートです。

今回、メトロアベイラビリティによる2サイト間でのデータ同期だけでなく、3つ目のサイトへのAsync DRによる非同期レプリケーションに対応しました。これによりアプリケーションの可用性がさらに向上します。

3_Metro.jpg

続いて、エンタープライズ クラウドプラットフォームにむけた、機能拡張や新機能の紹介です。これらの一部は、先日リリースされたAOS 6.8時点ですでに提供を開始されています。

Enterpriseレベルの管理

  • Infrastructure as Code (IaC) に取り組むためにAPI v4をサポート
  • きめ細かいRBACの設定

サイバー攻撃からの保護/回復

  • 複数人による承認を必要とするスナップショット削除要求 (セキュアスナップショット)
  • 次世代のFlow Network Security

パフォーマンスと拡張性の向上

  • 持続的な書き込みIOのパフォーマンス向上
  • 300TBを超えるフラッシュデバイス搭載 (Dense) ノードのサポート

AOS 6.8は、従来のSTSよりサポート期間の長いeSTSとしてリリースされており、本ブログ執筆時点では20258月までサポートされる予定となっています。

AOS 6.8 (eSTS) Release Notes
Release Notes | Prism Central pc.2024.1

4_aos68.jpg

ここで、Automation Co-Pilotについての実機デモが行われました。

Automation Co-Pilotは、Self-Service(旧:Calm)によるアプリケーション展開の自動化を補助する機能であり、チャットで指示することでSelf-Service独自言語(Calm DSL)によるコードが生成されます。つまり、利用者がゼロからコードを書かずとも、やりたいことを指示するだけでコード化して実行できるようになる機能です。

デモでは、「1つのvCPU1GBのメモリを持つLinuxのApache Webサーバーを作成」といった指示すると、数秒後にはそれを実装するコードが生成されていました。これにより、難しく捉えられがちなInfrastructure as Code (IaC) による管理が容易になります。

5_auto-cop.jpg

5_auto-cop2.jpg

Power Consumption Monitoring および Power Consumption Calculator

カーボンニュートラルの観点からNutanixの消費電力をリアルタイムで監視したり、予測を見ることが可能になります。

6_power.jpg

NC2 on AWSアップデート

NC2 on AWSワークロード用にFlow Virtual Networkingが選択できるようになりました。

これまではネイティブAWSのネットワークを使ってワークロードを起動していましたが、FVNの実装によって更にNutanixでのシンプルな統合管理とNutanix (FVN) 間の連携が可能になります。

7_FVN.jpg

NC2 on AWSのノード (ベアメタルインスタンス) AWSElastic Block Store (EBS) を追加できるようになりました。ストレージヘビーなワークロードに向けてノードを追加することなく必要なストレージ容量のみ追加提供することが可能になります。

8_EBS.jpg

ここでまた実機デモの時間です。

Multicloud Snapshot Technology (MST) にて、S3に保管されたスナップショットデータから仮想マシンリストア操作を見ることができました。

ご覧のようにPrism Central内のProtection PolicyにてRPOの定義とAWS S3にスナップショットデータを保管していることが画面から読み取れます。

Protection Policy画面で定義しているところを見ると、この機能はNutanix Disaster Recovery (旧:Leap) 相当のライセンス要件が必要になるのでは?と予想しています。

この後、デモではオンプレミス環境で擬似的な障害が起こりましたが、NC2 on AWSを展開してS3内スナップショットから仮想マシンをフェイルオーバーしていました。

9_MST PP.jpg

9_MST FO.jpg

NUSアップデート
AIワークロード用にNutanixユニファイドストレージ (NFS / Block / S3) の容量およびパフォーマンス向上のため、550TBを超えるオールNVMeを搭載した高過密 (Dense) ノードをサポートすると共にノードあたり毎秒10GBRead IO処理が期待できます。 10_FilesPerf.jpg

非構造化データに対するランサムウェア攻撃と生成AI観点でのアップデートです。

Nutanix Data Lensのアップデートでは、検出機能強化により被害発生から20分以内の回復が可能になります。

また、Nutanixのデータサービス以外の非構造化データへの機能実装が発表され、まずはAWS S3内のデータをData Lendsで監視、保護できるようになるとのことでした。

11_FilesRamsom_0.jpg

11_FilesRamsom.jpg

最新のユニファイドストレージイノベーション

Hybrid MultiCloud対応

  • ネイティブAWSにてNutanix Files (FSVM) の展開を可能になります。
  • Nutanix ObjectsのバケットからAWS S3バケットへのレプリケーションが可能になります。

エンタープライズワークロード対応

  • VDIユーザープロファイルの展開
  • ファイルサーバーシェアレベルのフェイルオーバー

シンプル性

  • Nutanix CentralによるすべてのNutanix環境の統合管理 (現時点ではSaaS型での提供ですが、いずれオンプレ版もリリースされるとの噂)
  • オブジェクト可視化サポート
12_NUSup.jpg

Nutanix社が昨年末に買収したD2iQ、新たにリリースしたNKPについて

Kubernetesが広く採用される中で、エンジニアのスキル不足やセキュリティリスク、管理の複雑さといった課題があります。そこでNutanixは、Day2オペレーションまわりの強化をコンセプトとしたD2iQ(D2iQ Kubernetes Platform)を買収しました。

これはNutanixに統合され、デプロイ、セキュリティ対応、管理、アップグレード機能をシンプルに備えたCNCF準拠のKubernetesのプラットフォームである、Nutanix Kubernetes Platform (NKP) として新たに発表されました。

Nutanix Announces Nutanix Kubernetes® Platform to Remove Cloud Native Complexity to Speed Innovation Across the Enterprise

13_NKP1.jpg

13_NKP2.jpgのサムネイル画像

13_NKP3.jpg

13_NKP4.jpg

ここで実機デモとなり、実際のNKP画面操作が紹介されました。

NCI、AWSAzure横断でKubernetesクラスタを管理し、コンテナレベルでのセキュリティリスクを一元的に把握できます。また、管理者がチャットウインドウにPodのエラーメッセージについて質問することで、生成AIによって推奨手順となる一連のコマンドやドキュメントのリンクが提案され、容易に課題解決できる様子を見ることができました。

13_NKP demo1.jpg

13_NKP demo2.jpg

Nutanix Data Services for Kubernetes(NDK)とNKP

ここからはデータに着目してKubernetesの話が展開されます。

データ部分のサポートが乏しかったKubernetesに、コンテナストレージインターフェース(CSI)が開発され、現在ではコンテナにストレージをアタッチするための業界標準となっています。(Nutanix用のCSIも開発されています)

しかしプラットフォームのエンジニアはNutanixのデータ保護、災害復旧、データ移行の専門家ではありませんが、Kubernetes API には詳しく、それで環境をコントロールすることを好みます。

IMG_1254.jpg

そこで、NutanixはNutanix Data Services for Kubernetes(NDK)というKubernetes環境向けのデータ管理サービスを昨年発表し、今年の3月にはGAとなりました。

https://www.nutanix.com/jp/blog/announcing-the-general-availability-of-nutanix-data-services-for-kubernetes

これにより、Kubernetesでのアプリとデータを単一のプラットフォームで管理できるようになります。

 

IMG_1255.jpg

このようにNutanix環境では、ストレージやデータサービスが充実してきたわけですが、NKPでは、それらも含めてKubernetes環境をより包括的に管理するための一貫した運用モデルをKubernetesに拡張します。

複数のクラウドのKubernetes環境のフリート管理、デプロイ、セキュリティ、アップグレードが単一のプラットフォームで行えるようになり、中央集約型のコンソールから単一の管理画面で運用ことで、組織内でよく見られるクラスタ乱立を解消できます。

IMG_1258.jpg

クラウドネイティブAOS
続いてCVMがコンテナでポッド化されるという発表がありました。 IMG_1259.jpg
これまでのようにNutanixノード上で仮想マシン(CVM)として稼働するだけでなく、クラウドストレージを消費し、あらゆるKubernetes上でAOSを稼働できるようになるようです。 IMG_1261.jpg

これはCloud Native AOSと呼ばれます。

ユースケースとしては、Cloud Native AOSをベースとしたNutanix Data Services for Kubernetes(NDK)によるデータ保護やデータ管理機能を、あらゆるハイパースケーラーやKubernetes環境間で実現し、例えばクラウドの障害に直面した際も、データアクセスをそのまま維持できるようにするといったことが挙げられます。

https://www.nutanix.com/jp/blog/nutanix-widens-coverage-for-cloud-native-users-with-expanded-project-beacon

IMG_1262.jpg
Cloud Native AOSは、アーリーアクセスによる提供が予定されており、AWS EKSから利用可能になるようです。 IMG_1263.jpg
これらを踏まえ、Nutanixは、Nutanix Centralによって管理プレーンの統合化を進め、Project Beaconの一環としてNKPやNDKでクラウドネイティブなデータサービスを拡張し、さらにCloud Native AOSによって、マルチクラウド環境でインフラを意識しない真のデータのモビリティを実現する「One Platform」を表現した図が公開されていました。 IMG_1264.jpg

今後のビジョンと製品デモ
ここからは、Keynoteセッションでの名コンビであるManosiz氏とLaura氏が今後のビジョンや製品デモを行います。 IMG_1266.jpg

モダンアプリケーションをあらゆる場所で実行する際のポイントとなる4つの要素として

①仮想化されたハイブリッド環境から、クラウドネイティブなマルチクラウドへ

②IaaSからPaaSへ

③ストレージ管理からデータ管理へ

④AIによる強化

が挙げられており、1つ目はここまでのセッションで十分に紹介されているため、残り3つの内容をデモを交えて紹介していました。

IMG_1267.jpg

まず「IaaS to PaaS」ですが、これはクラウド自体で起こった非常に自然な進化だとといいます。

AWSも、約20年前に登場した当初はEBSやS3などのインフラサービスのみでしたが、現在はPaaSを構成するための様々なサービスが提供されています。

IMG_1268.jpg
Nutanixは、Enterprise PaaSを提供するユーザ向けにステートフルな状態を保持するための、スナップショットやクローン、レプリケーション・DRといったストレージ機能をオンプレミスで提供してきたわけですが、そこからパブリッククラウドに持っていき、一貫した経験を得たい場合、AOSをパブリッククラウドに持っていく必要があります。 IMG_1270.jpg

そこから、Cloud Native AOSが発表されたわけですが、パブリッククラウド上のAOSを使ったデモが実演されました。

NutanixのAOSストレージでPVCをPostgreSQL用に作成して、ステートフルなクラウドネイティブアプリケーションを再現し、NDKでAWSの別のゾーンにレプリケーションしたのち、リカバリポイントからフェイルオーバーしている様子が見られました。

スクリーンショット 2024-05-23 083100.png

スクリーンショット 2024-05-23 083127.png

スクリーンショット 2024-05-23 083156.png

続いてデータ管理の話に移ります。 IMG_1287.jpg
Nutanixで提供されているグローバルデータ管理プレーンのData Lensでは、マルチクラスターのグローバルネームスペースやポリシー機能が提供さています。 IMG_1289.jpg
その後、Data Lensのデモが実演され、クラウドストレージへの階層化ポリシーや、データごとにポリシーを使い分けている様子、また不要なアクセス権のモニタリングおよび通知機能などが紹介されました。

スクリーンショット 2024-05-23 085707.png

スクリーンショット 2024-05-23 085729.png

最後にAIの強化についての話です。

IMG_1299.jpg

GPT-in-a-Box 2.0で新たに提供される、Nutanix AI Inference Endpoint(AI推論エンドポイント)が紹介されました。

Nutanix AI Inference Endpointは、AIによる推論やモデル管理のGUI操作が可能であり、ロールベース アクセス制御、監査、ダークサイトのサポートなども備えたターンキー ソリューションです。

このインタフェースを用いることで、Nutanix環境で生成AIアプリケーションを実行、管理、保護できます。また、ここでデプロイされるモデルはOpenAIとの互換性があり、変更なく他のオンプレミスやクラウドでも利用可能となります。

1_zentai.jpg

1_syousai.jpg

Laura氏のデモでは、実際にNutanix AI Inference Endpointにログインし、GUIでのモデルの統合管理や、推論APIエンドポイントのリクエストが可視化されたボード、実行環境となるKubernetesクラスタの表示、RBACによる管理者とユーザそれぞれの画面などが紹介されました。

この GUI では、NVIDIA のモデル カタログや、Hugging Face Hub からモデルをダウンロードできます。デモでは、Hugging Face Model HubからのAIモデルのダウンロード、新たな生成AIアプリケーションをデプロイし、チャットアプリケーションから利用する流れが実演されました。

最後にMano氏は今後の展望について、ファイルの速度を上げることや、GPUダイレクトのようなインフラストラクチャ機能を追加する予定だと語りました。
Run Everywhere」のコンセプトのもとクラウドネイティブアプリケーションを確実にどこでもデプロイできることを目指し、このビジョンが成功するように皆さんと協力していくことを楽しみにしていると語り、会場からは大きな拍手を浴びて公演を終えました。

2_gui.jpg

2_GUI2.jpg

次回のお知らせ

イベントの最後には、毎度おなじみ次回の.NEXTの開催地が発表されますが、次回の .NEXT 2025 はアメリカの東海岸のどこかになりそう、とのことです。近いうちに詳細が決まるようです。お楽しみに。

IMG_1467.jpgのサムネイル画像

今回のイベントで発表された内容の詳細について、SB C&S主催のフィードバックセミナーにて皆さまに直接お伝えしたいと思います。

ダウンロード.jpg

今回は、東京、福岡、大阪の3拠点で実施します。お申し込みは以下から行うことが可能です。

Nutanix .NEXT2024 フィードバックセミナーお申し込みはコチラ

日程

  • 6/6(木)東京開催
  • 6/10(月)福岡開催
  • 6/13(木)大阪開催

他のおすすめ記事はこちら

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用、MBA留学などの経験を経て、2019年にSB C&S入社。若いうちに技術を習得しておきたいとの想いから、日々HCIや仮想化製品をいじり回している。ちなみに好きな食べ物はささみ。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課

長濱 歳也 -Toshiya Nagahama-

◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門