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Nutanix .NEXT 2024 Day1 の速報をお届け

ストレージ / HCI
2024.05.22

※本投稿で紹介される内容は、発表当時のものであり将来のアップデート内容をお約束するものではありません。

こんにちは。SB C&Sの長濱と友松です。
この記事ではNutanix .NEXT 2024 Day1の速報をお伝えさせていただきます。

開催地と会場の周辺

.NEXT 2024のイベント期間は5/21~5/23の3日間で、今回はなんとスペインのバルセロナでの開催となりました。

我々SB C&Sメンバーは開催の2日前にバルセロナへ入り、会場周辺や有名なスポットを調査してきました。なお、日本からバルセロナへは、フランクフルト経由で約17時間のフライトで時差は日本から7時間遅れになります。

今の時期のバルセロナは温暖な気候が心地よく、到着後も晴天でとても有意義な時間を過ごすことができました。

バルセロナの街並み
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ガウディの未完成作品として有名なサグラダ・ファミリア
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その他ガウディが手掛けた建築物

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カサバトリョ

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グエル公園

そして今回の.NEXTの会場は「Fira Gran Via」というヨーロッパでも最大級のイベント施設で行われました。

会場の外観
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受付の様子
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General Session会場
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ソリューションEXPO会場
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Nutanixグッズの販売所
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General Session : Opening Keynoteのダイジェスト

モダンアプリケーションの将来予測と昨今エンタープライズAIを検討する上での課題

Day 1 Opening Keynoteのメインを務めるのはNutanixCEOのRajiv Ramaswami氏です。

Rajiv氏は、アプリケーションモダナイゼーションとエンタープライズAIの台頭について語り、今日稼働するアプリケーションの多くは仮想マシンベースで実行されていることを述べ、2030年にはコンテナベースのモダンアプリケーションがあらゆる場所で実行され、今後4年間でアプリケーションの数が2倍になると予想しました。

AIについては、現状ではパブリッククラウドで利用している話が数多くありますが、エンタープライズAIの普及に伴い、ビジネスを継続的に運営しながら日々上昇するクラウドコストやセキュリティ、コンプライアンス、人材の確保/訓練といった課題を考慮しなければなりません。同時に、組織のデジタルトランスフォーメーションを進めるためのさまざまな意思決定も必要であると述べました。

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プラットフォームの新プログラム

Rajiv氏は続けてもう1つ大きな問題があると述べました。それは、Broadcom社によるVMware社の買収が招く混乱とリスクについてです。

Nutanixは、今後も変わらずエンジニアリングカンパニーであり、技術革新とお客様の成功に焦点を当てビジネスを継続することをRajiv氏は宣言しました。

これまでNutanixのプラットフォームは主要なハードウェアベンダー全てをサポートし、お客様にハードウェアの選択肢を提供してきましたが、幅広く意見を聞いたところ、(保守契約が残る)既存ハードウェアを再利用したいという声が多く聞かれたそうです。

そこで今回、既存のハードウェアの再利用を簡素化する新しいプログラムの開始が発表されました。

同一のクラスター内でコンピュートノードとストレージノードを別々にスケールすることができれば、データベースなどのコア単位でライセンスされるアプリケーションのコスト削減が期待できます。これまではNutanixアプライアンスモデルの組み合わせでのみ可能としていましたが、それ以外の既存サーバーを用いたコンピュートノードの実装が可能になる模様です。

この動きはすでに始まっており、既存のCisco UCSブレードサーバーの認定を開始し、今後さらに広がる予定だそうです。

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次に、Dell社とのパートナーシップの拡大について発表されました。Dell社とは2014年からパートナーシップを築いてきましたが、今回新たに2つの発表がありました。

1つ目は、Dell PowerEdgeサーバー組み合わせたアプライアンスを再び販売することです。Dell社による包括的な販売およびサービス(サポート)を提供するとのことですので、以前のように、「DellハードウェアとNutanixソフトウェア」の両方に対してDellによる一括サポート提供していたXC(OEM)モデルが復活するかもしれません。

Rajiv氏からはこの新アプライアンスに相応しい名称として「"NX-Rail"はどうか?」と問い、会場ではドッと笑いが起きていました。

2つ目は、Nutanix社提供ハイパーバイザーであるAHVが、外部(他社)ストレージに対応することが発表されました。

まずは、Nutanix HCIと同様にSoftware-Defined-Storage(SDS)をアプライアンスとして提供するDell PowerFlexのハイパーバイザーとしてAHVがサポートされるようですが、今後は既存のストレージをNutanix AHVのストレージリソース(3-Tier)として再利用できるようになるかもしれません。

Nutanix and Dell Technologies Collaborate on New Joint Solutions for Hybrid Multicloud

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昨年の.NEXT2023発表内容アップデート

昨年の.NEXT 2023で発表された内容の進展について触れられました。

1つ目はNutanix Centralがリリースされたことについてです。
これはクラウド提供の統合管理プレーンであり、全てのNutanix環境の可視性と管理機能を提供します。
複数のクラウド、パブリッククラウド、プライベートデータセンター、エッジを単一のGUIで統一的に管理することを可能にします。

Nutanix、クラウドからエッジの管理ソリューション「Nutanix Central」を発表

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もう1つの発表は、Multicloud Snapshot Technology(MST)でした。

これはNutanix HCIで取得したスナップショットをS3互換バケットに保存するものであり、まずはAWS S3で始め、どこにでもそのスナップショットから復元することができます。

これによりスナップショットデータをクラウドで管理し、バックアップ環境のハードウェア資産を持たない運用が可能になります。NC2 on AWSをDRサイトとして設計することが、正常稼働時のコストを最小限に抑えた企業のBCP対策に有効的な手段となりえます。

こちらは数ヶ月以内にGAされる見込みだそうです

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Project Beaconアップデート

こちらも、昨年発表されていたProject Beaconのアップデートに関する内容です。

お客様のビジネスがより発展するためにはアプリケーションのスピードとアジリティが重要であり、開発者が一度アプリケーションを構築した後、それを変更せずともどこでも実行できるようにするという大胆なビジョンとして、昨年Project Beaconが発表されました。

この度、よりエンタープライズクラスのアプリケーションを提供できるようProject Beaconの拡張として3つの主要コンポーネントが説明されました。

①Kubernetesマネージメント

これはマルチクラウドKubernetesプラットフォームで、Kubernetesの管理を提供するものです。

②インフラストラクチャデータサービス

ストレージサービスは複数のクラウドで同じ方法で利用可能です。

③プラットフォームデータサービス

これは昨年発表したNDBをはじめとした機能の提供を行います。

これらは完全なソリューションとして提供しますが、Nutanixのスタイルに沿って選択の自由と柔軟性を提供し、ロックインはありません。Red Hatとのパートナーシップにより、OpenShiftを利用することも可能です。

これにより、モダンアプリケーションを構築し、実行するために必要なすべてが揃います。

そして、2023年にNutanixが買収したD2iQをとりいれた、Nutanix Kubernetes Platform(NKP)も発表されました。

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Project Beaconには、モダンアプリケーションに必要なデータサービスも含まれます。

アプリケーションには永続的なストレージが必要になりますが、エンタープライズ向けに求められるようなレジリエンシーの課題に対し、NutanixのAOSをクラウドネイティブ環境で実行できるようになります。

これにより、作成されたアプリケーションはコンテナの特性によりプラットフォームを問わず起動できるだけでなく、エンタープライズ級のファイルサーバー機能もクラウドネイティブに提供することが可能になります。

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生成AI関連アップデート

続いて、最もモダンなアプリケーションの代表として生成AIの話題に移ります。
これは、特にセキュリティやガバナンス統制を重要視するエンタープライズで使用できる生成AIを指します。

昨今、お客様が自らモデルを展開し、エンタープライズAIソリューション構築に関心が集まる中で、主要な4つのユースケースとして、不正データの検出、Co-Pilot、検索と分析、ドキュメント要約が挙げられます。

大規模言語モデルのトレーニングにはパブリッククラウドが適していると言われがちですが、重要な点はデータとAIのロケーション(距離)です。例えば製造業など全国の各工場で生成されたデータを瞬時に分析して判断するようなケースではオンプレミスが必要となるケースが出てきます。

Nutanix社は2023年8月にAI基盤を構築するためのソリューションとしてGPT-in-a-Boxを発表しています。

ここでは、実際にGPT-in-a-Boxを利用している通信事業社の方が登壇し、多くのお客様がパブリッククラウドを検討する中でGPT-in-a-Boxの採用に至った経緯として、重要な衛星通信を安全に取り扱うため、データの機密性と分類を重要視した点や管理の容易性を挙げていました。

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GPT-in-a-Box 2.0 デモ

ここからはデモパートに入ります。Nutanix社は現在、AIパートナーエコシステムの構築を進めていますが、その中でも、今回はNVIDIA社やHugging Face社とのパートナーシップについて紹介されてました。

NVIDIA NIMマイクロサービスやHugging Faceの LLMライブラリをNutanixのAIプラットフォームと統合することで、AI モデルの導入を簡素化し、より効果的かつ効率的に運用できるようになります。

Nutanix and NVIDIA Collaborate to Accelerate Enterprise AI Adoption

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そしてここでの本題である「GPT-in-a-Box 2.0」が発表されました。この「2.0」では、AIモデルのインポートやAPI エンドポイント作成、ユーザーアクセスコントロールなどが管理できる統合ユーザーインターフェースが提供され、Nutanix FilesとObjects、および NVIDIA Tensor Core GPU が統合されます。

https://ir.nutanix.com/news-releases/news-release-details/nutanix-accelerates-enterprise-adoption-generative-ai

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その後、Nutanix社のLaura Jordana氏が登場し、GPT-in-a-Box 2.0のデモが始まります。 IMG_1080.jpg
実際のデモでは、今回発表されたNutanix Kubernetes Platform(NKP)の画面にて、オンプレミスやクラウドにおけるKubernetesクラスターの、統合管理や可視化機能などについて紹介がありました。 スクリーンショット 2024-05-22 013331.png
NKP Applicationとして用意された、GPT-in-a-Box 2.0のダッシュボードの様子なども紹介していました。RBACの機能により、エンドユーザはアクセス許可されたものか、自分が作成したもののみが利用可能です。

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さらに、今回はMetaのLlama 3モデルをカタログからインポートして、NVIDIA NIMによる推論エンドポイントを展開し、アプリケーションから接続している様子も実演されていました。

このような機能によって、企業内で生成AIワークロードを簡単に展開および実行できるようになるようです。

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NVIDIA社との対談

Nutanix社のTarkan Maner氏がNVIDIA社のJustin Boitano氏を招き、両社がどのように協力してエンタープライズ向けに導入のシンプルさを実現しているかをお話しされました。

NVIDIA社の歴史や現在に至るまでの顧客やパートナー企業との関わり方なども語られました。

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Day1の速報は以上となります。

Day2ではより具体的な新機能情報などが出てくると思いますので、Day2の記事 もぜひご確認いただければ幸いです。

今回のイベントで発表された内容の詳細について、SB C&S主催のフィードバックセミナーにて皆さまに直接お伝えしたいと思います。

今回は、東京、福岡、大阪の3拠点で実施します。お申し込みは以下から行うことが可能です。

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日程

  • 6/6(木)東京開催
  • 6/10(月)福岡開催
  • 6/13(木)大阪開催

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
友松 桂吾 - Keigo Tomomatsu -

DC運用や留学などの経験を経て2019年にSB C&S入社。好きなことは料理とお酒。嫌いなことは睡眠不足。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課

長濱 歳也 -Toshiya Nagahama-

◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門