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VMware vSphere 8.0 Update 3 新機能のご紹介

VMware
2024.07.17


こんにちは。SB C&Sの大塚と申します。
今回は2024年6月25日にリリースされた、vSphere 8.0 Update 3にて追加された新機能をご紹介いたします。
※今後のリリースを予定していると発表されている機能の紹介も含んでおり、今後内容が変更される可能性もありますのであらかじめご了承ください。

本記事ではvSphere 8.0 Update 3の新機能について、下記内容をお伝えします。

  1. Live Patch
  2. vSphere with GPU
  3. 組み込みvCLS
  4. メモリ階層化(Tech Preview)

vSphere7.0サポート終了について

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まず初めに、vSphere 8.0 Update 3の新機能ではありませんが、重要な情報としてvSphere 7.0サポート終了時期についてお伝えします。

2024年4月24日以降の新規契約からTechnical Supportの提供が終了となりました。vSphere 7.0のGeneral Supportの提供終了日が2025年4月2日となっておりますので、この日をもって新規バグの修正や、新規セキュリティパッチのリリース、マイナーアップグレードへの対応等が全て終了となります。
よって、現在vSphere 7.0を使用されている方は、vSphere 8.0へのアップデートが必要となります。アップデートに伴うハードウェアリプレイスなど各種準備が必要となることが想定されますので、お早めに計画いただくことを推奨いたします。
vSphere 8.0へのアップデートについては、2023年6月時点の情報ですが下記ブログ記事・セミナー動画にて解説しておりますので、本記事と合わせて是非ご覧ください。最新情報については随時本ブログサイトにて発信予定になりますのでお待ち頂ければと思います。

VMware テクニカル講座特別編 vSphere 8.0 アップデート対策


Live Patch

概要

vSphere 8.0からvSphere Lifecycle Managerが機能強化され、クラスタ全体での迅速なアップデートが可能になっています。

特にライフサイクル管理の視点で注目したい機能として、vSphere 8.0 Update 3ではvSphere Live Patchが新たに導入されています。vSphere Live Patchは、ESXiホストにパッチを適用する際のダウンタイムを短縮、および排除することが可能となる機能です。
従来では、パッチ適用の際にはESXiホストをメンテナンスモードへする必要がありました。vSphere 8.0からは事前にESXiのアップデートイメージをステージングしておくことによって、メンテナンスモードに滞在する時間を大幅に短縮できるようになっています。しかし、最終的にはメンテナンスモードへ切り替える必要があり、ダウンタイムが必ず発生していました。
今回リリースされたvSphere Live Patchでは、パッチ更新を行いたいESXiホストから仮想マシンを移行したり、ESXiホストをメンテナンスモードへ切り替えることなく、パッチ適用を行うことができるようになりました。

仕組み

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Live Patchが実行されると、ESXiホストが部分メンテナンスモードと呼ばれる状態へ切り替わります。部分メンテナンスモードは、Live Patchが実行される際に自動的に開始されるモードとなっています。この状態では既に起動している仮想マシンは継続して使用できますが、仮想マシンの新規作成やvMotionなどはできません。
部分メンテナンスモードへ切り替わると新しいmount revisionがロードされ、これに対してパッチが適用されます。仮想マシンでは、このパッチが適用されたmount revisionを使用するために fast-suspend-resume(FSR:高速サスペンド/レジューム)が実行されます。このFSRと呼ばれる機能は、仮想マシンの仮想ハードウェアにて使用できるHot-add機能にて既に利用されているものになります。

注意点

Live Patchは全てのパッチで使用できるものではありません。Live Patchとしてマークされた特定のパッチのみ使用可能です。また、サポートされているESXiバージョンが必要となります。Live Patchとの互換性があるバージョンを実行していないESXiホストがある場合でもパッチを適用可能ですが、その場合はメンテナンスモードを必要とする既存のパッチ適用となります。


vSphere with GPU

vSphere 8.0 Update 3では、GPUに関する機能アップデートが行われましたのでいくつか紹介いたします。

GPUプロファイル

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vSphere 8.0 Update 1にて、1つの物理GPU上のvGPUに対して機械学習、コンピュート、グラフィックスなどの異なるアプリケーションタイプを割り当てることができるようになり、物理GPUリソースの使用率を高めることが可能となりました。

vSphere 8.0 Update 3ではこれに加え、異なるメモリサイズを選択することができるようになりました。例えば16GBのコンピューティングと4GBのグラフィックスを備えたvGPUプロファイルを1つの物理GPU上で同時に実行することができます。

GPUリソースモニタリング

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vSphere Clientのクラスタ内のサマリタブに新しいタイルが追加され、現在使用されているGPUリソースの概要、クラスタ内で使用可能な物理GPUデバイスの合計が表示されるようになりました。GPUリソースの概要にはGPUコンピューティングと、GPUメモリの使用率がそれぞれ確認できます。

vGPU仮想マシンのDRS対応

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vGPUを設定した仮想マシンのDRSが可能となりました。クラスタ内のDRS設定から「パススルー仮想マシンのDRS自動化」にチェックを入れることで有効化できます。これにより、ホストをメンテナンスする際にvGPU仮想マシンを自動退避することができ、クラスタのライフサイクル管理をより効率化することができるようになりました。


組み込みvCLS

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vSphere 8.0 Update 3ではvSphere Cluster Serviceが新しくなりました。新しいvCLSは組み込みvCLSと呼ばれ、ストレージのフットプリントがなく、ホストのメモリ上で実行されるようになりました。これによりストレージ容量を消費することなく、Storage vMotionが実行されることもありません。また、従来のvCLSではvCenter ServerからOVFデプロイされていましたが、組み込みvCLSではESXi内に仮想マシンが組み込まれ、ホストが直接デプロイする形式へ変更されました。
組み込みvCLSを実行しているホストがメンテナンスモードになると、ホストが組み込みvCLSを自動的にスピンダウンさせ、クラスタ内の別のホストが新しいvCLSを自動的にデプロイします。また、組み込みvCLSのクラスタ内における展開台数は最大2台となっており、従来のvCLSの展開台数である3台から減少しました。


メモリ階層化(テクニカルプレビュー)

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vSphere 8.0 Update 3のテクニカルプレビューにて、ESXiホスト上にあるNVMeデバイスを階層化メモリとして使用できるメモリ階層化機能がリリースされます。メモリ階層化は、仮想マシンのメモリ割り当てをNVMeデバイス、またはホストのDRAMにすることができ、ストレージのパフォーマンスを最適化しながらより多くのワ―クロードを実行できるようになります。詳細はKB95944を参照ください。こちらの機能はテクニカルプレビューとなりますので、今後のリリースに期待しましょう。


おわりに

今回はvSphere 8.0 Update 3にてリリースされた新機能をご紹介させていただきました。vSphere7.0サポート終了に伴いアップグレードを検討している方や、vSphere 8.0の最新機能に関心のある方にとって有益な情報になっておりますと幸いです。

なお、本記事にてご紹介しきれなかったその他の機能や詳細については、下記リリースノートをご確認ください。
VMware ESXi 8.0 Update 3 リリース ノート
VMware vCenter Server 8.0 Update 3 リリース ノート

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -

VMware vExpert