SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアとして活動している、平田と申します。
前回の記事では、VMware Live Recoveryの概要やVMware Live Site Recovery利用時のコンポーネントなどについてご紹介いたしました。
VMware Live Recoveryのご紹介 ~VLSRとSRMの違いを解説~
今回は、VMware Site Recovery Managerの後継製品である、VMware Live RecoveryのVMware Live Site Recoveryのライセンス適用方法についてご紹介いたします。
はじめに
VMware Live Site Recovery(VLSR)はVMware Site Recovery Manager(SRM)の後継製品として提供されており、基本的には従来製品と同じ機能を有しており、使い勝手や必要なスキルは変わらずにご利用いただけます。
しかしながら、ライセンス面では大きく変化されており、ライセンス適用の方法については下記の通りに変化がありました。
<VMware Live Site Recovery(VLSR)のライセンス適用方法>
●オフラインライセンスキーを適用する方式
または
●VMware Cloud Servicesのアカウントと紐付ける方式
上記の様に、VLSRでは従来のSRMとライセンス適用方法が異なります。
本記事では"オフラインライセンスキーを適用する方式"「オフライン アクティベーション」と
"VMware Cloud Servicesのアカウントと紐付ける方式"「オンライン アクティベーション」のそれぞれの手順についてご紹介していきます。
※オフライン アクティベーションは、リリース9.0.2以降の機能になります
VMware Live Site Recoveryのアクティベーション
VLSRの構成
ご説明にあたり、下記の構成が組まれている前提になります。
- 保護サイトおよびリカバリサイト
- vSphere環境(vCenter Server、ESXiなど)
- vSphere Replication
- インターネット接続環境(DNS、プロキシサーバーなど)
- VLSRにおいてデプロイする仮想アプライアンスはSRMと呼称されております
- VMware Site Recovery Managerの略称と混在するため、本記事ではVLSRにてデプロイする仮想アプライアンスを"SRM(VLSR版)"と記載しております
- インターネット(クラウドサービス)
- VMware Live Recovery Global Console(VMware Cloud Services)
※本手順では、各コンソールUIを操作するため、画像の右上に操作するUIのアイコンを配置しております。
アクティベーションまでの流れ
上記の構成から、SRM(VLSR版)のデプロイ及びvCenter Serverとの関連付け(保護サイト、リカバリサイトの双方で実施)を行い、その後オフライン アクティベーションとオンライン アクティベーションによって手順が変わってきます。
・オフライン アクティベーションの場合
VMware Live Recovery Global Consoleから、オフラインライセンス用のライセンスキーをユーザー自身で発行する必要があります。
①保護サイトとリカバリサイトのSRM(VLSR版)間でサイトペアリング
②SRM(VLSR版)からオフラインライセンス変更要求キーを生成
③VMware Live Recovery Global Consoleからオフラインライセンスキーを発行
④SRM(VLSR版)にオフラインライセンスキーを適用
⑤確認
・オンライン アクティベーションの場合
SRMをVMware Live Recovery Global Consoleに接続し、そこからアクティベーションを行います。
①SRM(VLSR版)をVMware Live Recovery Global Consoleに接続
②SRM(VLSR版)から保護サイトとリカバリサイトでサイトペアリング
③VMware Live Recovery Global Consoleからアクティベーション
④確認
参考ドキュメント
本記事ではご紹介しきれない詳細条件や手順についてはVMware Live Recoveryのドキュメントをご確認ください
◆SaaS Tenant Hold and Release process(VLR注文後のVMware Cloud Servicesテナントの利用開始操作)
https://knowledge.broadcom.com/external/article/366761/saas-tenant-hold-and-release-process.html
◆Get Started with VMware Live Recovery
https://docs.vmware.com/en/VMware-Live-Recovery/services/vmware-live-recovery/GUID-F07B1C57-2495-4A39-9316-2E94129E260F.html
◆Setting Up VMware Live Site Recovery
https://docs.vmware.com/en/VMware-Live-Recovery/services/vmware-live-recovery/GUID-123C5A16-6F1B-4D49-A479-D8BBDE6D3EB2.html
◆Network Ports for VMware Live Site Recovery
https://docs.vmware.com/en/VMware-Live-Site-Recovery/9.0/vmware-live-site-recovery/GUID-499D3C83-B8FD-4D4C-AE3D-19F518A13C98.html
SRM(VLSR版)のデプロイ及びvCenter Serverとの関連付け
オフライン/オンライン アクティベーションの共通作業になります。SRM(VLSR版)のデプロイ方法は、VMware Live Recovery Global ConsoleのDeploymentにある"SET UP"から確認できます。デプロイの手順概要はここで確認することができ、各項目についてのドキュメントのリンクが用意されております。
SRM(VLSR版)のOVAが含まれるISOファイルをダウンロードし、vSphere環境にデプロイします。vCenter ServerにはOVFテンプレートからデプロイするため、従来のSRMと変わらないデプロイ方法になります。必要なパラメータをセットしてデプロイします。
デプロイ後、SRMアプライアンスの管理画面からvCenter Serverとの関連付けを行います。
保護サイト、リカバリサイトの両方で同様に行い、SRM(VLSR版)のデプロイが完了すると下記の構成になります。
VLSRのオフライン アクティベーション
前項にある流れでオフライン アクティベーションを行います。
①保護サイトとリカバリサイトのSRM(VLSR版)間でサイトペアリング
②SRM(VLSR版)からオフラインライセンス変更要求キーを生成
上記の画面を開いた状態で次の手順に進みます。
③VMware Live Recovery Global Consoleからオフラインライセンスキーを発行
"SET UP OFFLINE"もしくは"Create offline license key"のいずれかから"Create offline license key"の画面に進みます
④SRM(VLSR版)にオフラインライセンスキーを適用
"②"の最後に開いた状態の画面に戻ります。
有効化することでオフライン アクティベーションが完了になります。
⑤確認
VMware Live Recovery Global ConsoleのDeploymentに適用状況が表示されます。
オフラインライセンス用にライセンスを分割したため、残った数を別途利用することが可能になります。
以上で、VLSRのオフライン アクティベーションは完了です。SRMが直接インターネットへ通信できない環境でも、この方式を用いることでVLSRを利用することができます。
VLSRのオンライン アクティベーション
次にオンライン アクティベーションの手順をご紹介いたします。前項にある流れでオンライン アクティベーションを行います。
①SRM(VLSR版)をVMware Live Recovery Global Consoleに接続
この時点では、アクティベートは完了しておらず、まだ評価版ライセンスのままになっております。
保護サイト、リカバリサイト双方のSRM(VLSR版)で同様に行います。
③SRM(VLSR版)から保護サイトとリカバリサイトでサイトペアリング
④VMware Live Recovery Global Consoleからアクティベーション
④確認
VMware Live Recovery Global Consoleでの確認は済んでいるため、vSphere ClientからSRM(VLSR)のライセンスを確認します。
以上で、VLSRのオンライン アクティベーションは完了です。
おわりに
今回はVMware Live Site Recoveryのライセンス適用について紹介しました。
VMware Live Site Recoveryには、2つのライセンス適用方法があり、オフライン アクティベーションとオンライン アクティベーションが用意されてます。
オンライン アクティベーションはVMware Live Recovery Global Consoleからライセンスの一元管理ができる一方で、SRMがクラウドサービスとの接続が必要になります。クラウドサービスへの接続が不可な環境では、オフライン アクティベーションで対応することができます。
オフライン アクティベーションはライセンスキーを入力する方法になりますが、従来のSRMのようにメーカーから発行されたライセンスキーを入力する方法でなく、ユーザー自身でオフラインライセンスキーを発行してSRMに適用することになりますので、適用手順について注意してください。
VMware新ライセンスの実態! vSphere Foundation 調査レポート記事一覧
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
平田 裕介 - Yusuke Hirata -
VMware vExpert
NW機器メーカ、SIerでインフラエンジニアの経歴を経て、SB C&Sに入社。
SIer時代にサーバ仮想化と出会い、人生が大きく変わる。