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これからの業務自動化の話をしよう。─「作り込む自動化」と「察して動く自動化」

AI
2025.08.29

※生成AIが作成した画像です

 

こんにちは、山崎です。

この記事ではタイトルの通り、「これからの業務自動化」についてお話できればと思います。今、私が考える主観な部分もあるかもしれませんが、「こんな意見もあるんだな~」くらいにゆるく読んでみてください。

ちなみに、タイトルは某有名小説のパクリです。オマージュです。

さて、RPA/ローコード開発で APIコネクタをそこはかとなく使ってきた私にとって、
LLM 時代の新星 MCP(Model Context Protocol)Function Calling の登場には衝撃を受けました。

「え? APIコネクタを組む時代は終わるの?」

そんな疑問を抱えつつ調べていくうちに、
MCP は APIコネクタの置き換えではなく、まったく異なる哲学で動く仕組みだと気づきます。

この記事では、「APIコネクタ/RPA」と「MCP/Function Calling」が どのように棲み分け、どう連携し得るのか を整理してみます。

 


目次

  1. 出発点──API コネクタは「なぜ(why)」生まれたか
  2. 新潮流──AI は API と「どう(How)」向き合おうとしているか
  3. 本質の比較──「決め打ちの自動化」と「察して動く自動化」
  4. 実務での使い分けガイド
  5. 来るべき未来──AI エージェント × 多様な実行エンジン
  6. まとめ

1. 出発点──API コネクタは「なぜ(Why)」生まれたか

業務アプリやクラウドサービスは、それぞれ独自仕様のAPIを持っていて、認証方法もエラー処理もバージョン差異もバラバラです。

これを開発者が毎回ゼロから実装するのは、専門知識と開発工数がかかります。また組織としてもガバナンスを効かせにくいという課題があります。

この課題を解決するために生まれたのがAPIコネクタです。複雑なAPI呼び出しを誰でも安全かつ即座に利用できる標準化インターフェースとして提供されます。

  • 価値

    • ベンダー保証の 信頼性

    • 管理画面で制御できる 統制・ガバナンス

    • 専門知識ゼロでも触れる 開発生産性

  • 代償

    • コネクタが用意されるまで「待つ」必要がある

    • 仕様外の操作はカスタム開発が必要

 

APIコネクタのキーワードは、決め打ち・堅牢・高速導入です。

 

2. 新潮流──AI は API と「どう(How)」向き合おうとしているか

MCP(Model Context Protocol)

  • AIモデルが外部ツールへ安全かつ統一的にアクセスできるようにするための標準仕様です。
  • モデルが必要に応じてツールを選び、呼び出すための共通ルールを提供します。

  • ユーザは ツールを登録するだけ
    モデルが対話の文脈から 自律的にツールを選択・実行します。

Function Calling

  • AIモデルに「利用可能な関数とパラメータ仕様」を宣言します。

  • 会話中に必要になったタイミングで、モデルが〈関数名+引数〉を JSON で返し、外部ツールやAPIがそれを実行します。
  • その実行結果が、 会話の中に自然に溶け込む形で使用されます。

  • これによりユーザーは、「どの関数をどう呼び出すか」ではなく、「何をしたいか」だけを伝えればよくなります。

 

新潮流のキーワードは、自律・柔軟・コンテキスト駆動です。

 

3. 本質の比較──「決め打ちの自動化」と「察して動く自動化」

観点 API コネクタ / RPA
(決め打ち)
MCP / Function Calling
(察して動く)
主役は誰? 人間の開発者
フローを設計・固定
AI モデル
会話内容から即興判断
設計工数 大きい
(GUIでもフロー設計は必須)
小さい
ツール登録後はモデルが解釈
実行の予測性 100 % 再現
テスト済みフローを踏襲
確率的
プロンプトやモデル更新で揺れる
ガバナンス 監査ログ・権限管理を 製品側が標準装備 実装者が自作(署名/RBAC 等)
どんな時に使う? 基幹系・責任所在が厳格なプロセス かゆい所へのスポット連携

「作り込む安心感」と 「察して動く俊敏さ」はトレードオフです。どちらもメリットデメリットがあるので、適切に使い分ける必要があります。

 

4. 実務での使い分けガイド

シナリオ 何がベスト? 理由
Salesforce から月次売上を取得し、社内 BI へ投入 API コネクタ 認可制御・可用性 SLA が必須
ローカル PC 上の Excel マクロを単発で呼びたい MCP を介した接続 軽量にローカル資産へアクセス
対話型 BOT が状況に応じて外部 API を選択 Function Calling 会話コンテキストに基づく即興 API 選択
API が存在しないレガシー画面を確実に更新 RPA(UiPath 等) 同じ操作を100 %再現可能

   

5. 来るべき未来──AI エージェント × 多様な実行エンジン

  • AIエージェント
    • 目標を自然言語で受け取り、最適な手段をリアルタイムで決定します。

  • Function Calling

    • 「どのツールを」「どの引数で」呼び出すのかをモデルが生成。

  • 実行エンジンの役割分担:

    • API コネクタ:基幹システム連携の主力

    • MCP 接続:ローカルやニッチツールとのブリッジ

    • RPA:API の無い世界を確実に自動化

 

AI が監督し、各実行エンジンが専門ポジションを担う感じです。

 

6. まとめ

さて、冒頭の私の疑問に話を戻しましょう。

「え? APIコネクタを組む時代は終わるの?」

確かに、一部の領域ではわざわざフローを設計しなくてもよくなりそうですね。とはいえ、使う場所がなくなる訳ではない。というのが私の答えです。

  • API コネクタ/RPA → 「決めておけば 100 % 同じ動き」という 安心・統制 の象徴として企業の大事な基幹システム周りで使われ続ける。

  • MCP/Function Calling → 「決めなくても文脈で察して動く」という 柔軟性・スピード の象徴として、軽量な業務やちょっとした手元作業を便利にしていく動きでこれから躍進する。

どちらが優れているかではなく、「安心」と 「俊敏」をどう配合するかが設計者の腕の見せ所なのではないでしょうか。

AI エージェント時代の自動化アーキテクチャを制するのは、両方の特性を理解して使い分けられるアーキテクトなのかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部
先端技術統括部
DXコンサルティング部 デジタルイノベーション課
山崎 佐代子