
みなさまこんにちは、SB C&S 中田です。
今年もアメリカのラスベガスにて、Everpure(旧称Pure Storage)の年次イベント "Pure Accelerate" が開催されました。
毎度のことながら私も現地に赴きイベントに参加してきましたので、発表された情報や現地の様子を本記事を通じてみなさまにお伝えしたいと思います!
1. 開催概要 |
本イベントは現地時間にて2026年6月16日~18日までの3日間、ラスベガスのホテル「Resorts World Las Vegas」にて開催されました。
昨年までと同様、空港や街中、ホテルなどいたるところでEverpureの広告を見かけることができました。
空港のBaggage Claimにも 私はちゃんとオレンジのスーツケースです笑
イベント初日はパートナー向けの発表、2日目と3日目はパートナー・エンドユーザーを含めた全体向けにブース展示や各種セッション、パーティー等が行われるという例年同様の形となります。
パートナー向けセッションについてはNDAのためお伝えすることはできませんので、今回もKeynoteの内容、およびそれらを展示会場やBreakoutセッションの内容で補足したものをご紹介したいと思います。
なお、今年は(コロナ禍を除く)Pure Accelerate史上初のオンラインでの配信が実施されました。下記にてDay1およびDay2のKeynoteを見ることができますので、より詳細に内容を確認したい方は下記よりご覧ください。
Day1 Keynote
https://www.youtube.com/watch?v=CT6FmaqIEfk
Day2 Keynote
https://www.youtube.com/watch?v=s02wXb1Alu0
2. Keynoteと発表内容について |
以下では基調講演の内容についてご紹介します。
Day1
CMO Lynn Lucas氏によるオープニングから今年のAccelerateはスタートしました。
今年のテーマは
"The New Data Dynamic"
です。昨年のEnterprise Data Cloud(EDC)構想からさらに一歩進み、AI時代におけるデータ管理そのものをどう変えるかが主題となりました。
また今年度の社名変更についても触れ「私たちは単なるストレージ会社ではなく、お客様のデータ管理を支援する会社です」と、社名から "Storage" の文字が消えた理由について述べました。
オープニング後早速登場したのが、CEO Charles Giancarlo氏でした。
Charles氏はまず、好調な業績について話しました。第一四半期に10億ドルの売上を初めて達成したとのことです。
またEDCの中核を担う新機能"Fusion"の利用顧客が爆発的に増加していることについても触れました。Fusionについては以前ブログにてまとめておりますので気になる方はご覧ください。
一方で、半導体をはじめとする価格上昇とそれに伴う製品価格上昇についても触れました。
製品製造コストは300%以上も上昇していること、これに圧迫されEverpureの利益率は過去最低となっていることを挙げ、苦渋の決断として製品価格を上げざるを得なかったこととともに、パートナーとともにこの困難な局面を乗り越える意思を強調しました。
その後、Everpureのワールドシェアの拡大等について触れたのち「今日はストレージの話ではなくデータの話をしたい」と述べ、本題へと入ります。
Charles氏は、ERP時代からSaaS時代を経て、現在はAI Agent時代へ移行している、と説明しました。しかし企業のデータはSalesforce, ServiceNow, SAP, Workdayなどのアプリケーションごとに分断されています。
そこでEverpureが提唱するキーワードが "Data Primacy" です。
これまでのアプリケーション中心の世界ではなく、データ中心の世界に移行することにより、「AIの精度向上」「データサイロの解消」「データに付随する情報精度の向上」「データコピーの削減」といったメリットが得られます。
そのためにEverpureが提供する基盤が、パフォーマンスレベルやプロトコルの異なるストレージをまとめた "Unified Data Plane"であり、これを統合管理するのがFusionを基盤とした "Intelligent Control Plane" です。
そして、これらの最上位レイヤーとして位置するのが "Universal Data Intelligence" です。これについては新製品が絡んでくるため後述します。
そして、Everpureだけでなく業界全体としての今後の課題は「データの保つ力を最大限に引き出せるように支援することだ」として「We unlock your data」と締めました。
つづいて、Everpure CROのPatrick S. Finn氏とFiserv CTOのPete Kavicchia氏の対談がありました。
対談の中では
"Data is no longer the cost-driving byproduct. It is the revenue-driving product."
(データはもはやコストとして扱われる副産物ではなく、収益を生み出す製品そのものである)
"The winners won't necessarily have the best models. They'll have the best foundational data sets to ensure accuracy. Accuracy is the key."
(勝者になるのは、必ずしも最高のAIモデルを持つ企業ではありません。正確性を担保できる、最も優れた基盤データを持つ企業です。重要なのは正確性です。)
と語られ、Charles氏のメッセージを強調しました。
次に登壇したのは、Product ManagementのVP Chadd Kenney氏でした。
Chadd氏は新製品、新機能などの発表を行いました。
ひとつめが、FlashArray//XL190向けの「Purity Turbo」です。
Purity TurboはPassiveコントローラを利用し、OracleやRAGなどの一時的な性能ピークに対応する仕組みです。
Deep Diveセッションでは、AI時代に重要となるIOPS/Watt, IOPS/RU, TB/RUを強く意識した設計であることも説明されました。
次に発表されたのが「Evergreen//One Overdrive」です。
Evergreen//Oneは従来から25%の容量バッファを持っていましたが、Overdriveでは性能もバースト利用可能になります。
Evergreen//One for AIによる帯域幅のSLAも含めて考えると、サブスクとしてのストレージ利用でも、AI学習などを前提とした基盤を整えている印象を受けました。
クラウド関連では「Everpure Cloud Azure Native for Azure VMs」が発表されました。
これは、Azure VM向けのストレージサービスとして、Purity//FAをAzure上で利用可能とするものです。Managed Diskでは性能や拡張性等の要件を満たせない場合に、高性能ストレージを利用する選択肢となりそうです。
また、昨年発表したFlashBlade//EXAのメタデータ処理性能の向上や、最近のアップデートとして「マルチテナント機能」「QoS機能」「セキュリティ強化」などを追加していることをアナウンスしました。
さらに、Purity//FAの新機能として「ActiveCluster for File」も発表されました。
これは、FA Fileで同期レプリケーションが利用できるようになるという新機能です。
デモとして、Santa Claraサイト障害からMountain Viewサイトへのフェイルオーバーが披露されました。
ただし、本機能はサイト間でArrayがActive-Passiveで動作し、障害時にはVIPがPassive側に移動する形をとるとのことです。そのため、RPO=0であってもRTO≠0である(10秒程度)とのことでした。
また、Fusionそのものも大きく進化しており、Compliance Monitoring, Autonomous Rebalancingなどが発表されました。
Deep Diveセッションではそれぞれ以下のように説明されています。
Compliance Monitoring(Fusion Compliance)
Fusionが環境全体のポリシーや設定状態を継続的に監視し、コンプライアンス違反や設定逸脱を自動検出する機能です。違反を見つけるだけでなく、修正案の提示や自動修復まで視野に入れているようです。
Autonomous Rebalancing
Fusionが容量・性能・SLA情報をもとにワークロードを適切なアレイへ移動し、運用者による手動リバランスを削減する機能です。管理者が個別にアレイ間の移行を計画しなくても、フリート全体を自律的に最適化することを目指しています。
次に登壇したのは、1touchの元CEOであり、現在はEverpureのData Management GM Ashish Gupta氏です。
1touchは、2026年にEverpureが買収契約を交わした会社です。この1touchの製品をもとに今回発表された製品が 「Everpure Data Intelligence」 です。
Data IntelligenceはDiscover, Classify, Contextualizeを行うことで、AI学習前の段階においてデータの意味を付与し、データ同士の関係性を把握し、AIに必要なコンテキストを生成する役割を担います。そしてこれは、先述の "Universal Data Intelligence" の中核を担うものとして位置づけられています。
次に登壇したのは、Customer EngineeringのVP Shawn Rosemarin氏とNVIDIA Networking SVPのKevin Deiering氏です。
Shawn氏は、NVIDIAとの共同開発によってできた新製品 「Everpure Data Stream」 を発表しました。
Data StreamはIngest, Curate, Index, VectorizeといったAI活用に必要なデータの準備を自動化し、AI Ready Dataを生成する、としています。
なお、Data IntelligenceはEverpureストレージに限定されず、企業内のさまざまなデータソースを対象としていることがDeep Diveセッションにて説明されました。またData Streamについても、特定のストレージ基盤に依存せずデータを取り込みAI活用へつなげる構想が示されており、これらは他社とは異なるアプローチとして今後の差別化要素になっていくものと思います。
上記発表ののち、EverpureのRob Lee氏をモデレーターとしてNVIDIA / Crusoeによるパネルディスカッションが行われ、AI導入の課題についての議論を通じて、データの重要性について語られました。

Day2
Day2は、Day1でCharles Giancarlo氏が語ったData PrimacyやEnterprise Data Cloudというビジョンを、
「どう実現するのか」
という観点で説明する一日でした。
オープニングではLynn Lucas氏とNiki Armstrong氏が登壇し、Day1がWhy、Day2がHowであると説明します。

その流れを受けて登壇したNirav Sheth氏は "Enterprise Data Cloud Success Blueprint" について語りました。

これは新製品ではなく、企業がデータ基盤をモダナイズしていくための方法論です。リスク低減、効率化、俊敏性向上という観点から現状を評価し、ロードマップを策定していくアプローチが紹介されました。
続いて行われたGreg Muscarella氏(Everpure)、Joel Jackson氏(Red Hat)、Eric Grabill氏(CSX)による対談では、VMware後の仮想化基盤がテーマとなりました。

CSXでは既に約80%のアプリケーションをOpenShiftへ移行済みであり、残るVMもOpenShift Virtualizationへ統合していく方針が説明されました。VM、コンテナ、AIワークロードを単一のプラットフォームで運用するという考え方は、現在の市場トレンドを象徴しているように感じます。
その後の顧客セッションでは、St. Elizabeth HealthcareのCharles Sheppard氏が登壇しました。

100回以上のハードウェア更新と150回以上のPurityアップデートを無停止で実施してきた実績が紹介され、シンプルな運用やEvergreenの価値を語りました。
その後、創業者兼CVOの John "Coz" Colgrove氏が登壇しました。

Coz氏は、Pure StorageからEverpureへ名称変更した背景について改めて説明し、今後はストレージそのものだけではなく、データを理解し管理することへより大きく投資していくと語りました。Data Intelligenceによって企業が持つデータの所在や重複、リスクを把握できるようになり、AIの進化によってそれが現実的に実現可能になったという説明は、Day1で語られたData Primacyを補完する内容だったと思います。
最後には特別ゲストとしてアメリカの元アメフト選手で現俳優のTerry Crews氏が登壇しました。

技術セッションではありませんでしたが、「Relearn」「Recovery」「Reinvention」といったキーワードを通じて、自身の経験を交えながら変化を受け入れることの重要性を語りました。企業のデータ変革とは直接関係ないものの、Accelerate全体のテーマである「変化への適応」と重なるメッセージだったように感じます。
Day2全体を通して見ると、Day1で示されたData PrimacyやEnterprise Data Cloudという構想を、実際の運用や導入プロセスに落とし込むためのセッションだったと言えるでしょう。特にCoz氏の話からは、Everpureが今後5〜10年かけて「ストレージ企業」から「データ管理企業」へ進化していこうとしていることが改めて伝わってきました。
Keynoteの内容は以上となります。
3. その他のブース等について |
Expo(展示会場)
展示会場では例年通りEverpureのブースの他各スポンサーの出展があり、賑わっていました。
特に今回の目玉である「Data Intelligence」ブースについては、説明を訊きに来る人が絶えない印象でした。
一方でハードウェア展示については新規のものはなく、ある種新鮮さを感じる部分でもありました。
4. まとめ |
私はEverpureを担当し始めて7年ほどが経ちますが、今年のEverpureは節目の年だったのではないかなと感じました。
そのもっとも大きな点として「Accelerateでハードウェア関連の新規発表がほとんどなかった」ことが挙げられます。とくにCoz氏がKeynoteでハードウェアの話に殆ど触れない、というのは個人的にかなり衝撃を受けました。
もちろんEverpureはハードウェアメーカーを辞めたわけではなく、今年は半導体の高騰といった原因もあるようですが、Keynoteの内容にもあるように、ストレージ企業といった枠組みを超えて「データ管理企業」へと変革していることの象徴であるように感じました。
また、Data Intelligence + Data Streamは、AI Readyのデータを準備する製品であり、自社製品しかサポートしないことでよりEverpureのストレージの価値を高めることができます。
しかし実際には「自社製品以外の各種環境にも対応していく(方針)」であることから、ここにも単なるストレージメーカーではないこと、そして自分たちの製品への自信を感じられました。
レポートは以上となります、お読みいただきありがとうございました。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術統括部 第1技術部 2課
中田 浩嗣 - Hirotsugu Nakata -
VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア
