本投稿は、Nutanix AHV移行法について紹介しています。
vol.3ではNutanix社から提供される移行ツール「Nutanix Move」についてとセットアップ手順について紹介します。
本シリーズの投稿についてはこちら
Nutanix AHV移行法vol.1~準備編~
Nutanix AHV移行法vol.2~仮想ディスクファイルのエクスポート~
Nutanix AHV移行法vol.3~ニアゼロダウンタイム Nutanix Move セットアップ~
Nutanix AHV移行法vol.4~ニアゼロダウンタイム Nutanix Move 操作~
Nutanix Moveとは
Nutanix社から様々な仮想化環境からAHVへの移行を実現する仮想アプライアンスとして提供されており、無償での利用が可能です。
当初は、Xtract for VMsという名前でリリースされていましたが、バージョン3.0から現在の Nutanix Moveとなり、VMware vSphereだけでなく、Microsoft Hyper-V、Amazon EC2からの移行をサポートするまでに進化しました。
そして、タイトルにもあるとおりAHVへの移行を非常に短いダウンタイムで行うことが可能です。
また、従来の移行方法では手作業で行っていたVirtIOドライバーのインストール、データの移動、ファイル形式の変換、仮想マシン作成、仮想マシン起動がNutanix Moveでは自動化されるため、移行にかかる手間も少ないです。
このように、移行するために非常に便利な機能を揃えているため、Nutanix Moveは最もお薦めできるAHV移行法といえます。
Nutanix MoveのRelease NotesやUser Guide、バイナリファイルは以下、Nutanix Support Portalの[ Nutanix Move (formerly known as Xtract) ]ページから取得します。
https://portal.nutanix.com/#/page/nutanix-move
※Nutanix Support Portalへのログインが必要です
Nutanix Moveセットアップ要件
既存の仮想化環境(VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、Amazon EC2)によっては、要件が異なりますので必ずUser Guideをご確認ください。
Nutanix Moveによる移行は、既存のVMware vSphere環境からNutanix Moveの仮想アプライアンス(Move VM)を経由してNutanix AHVへ、ハイパーバイザーの管理ネットワークを通じて行われます。よって、大前提として両者のネットワーク通信が必要となります。
Move VMのインバウンド/アウトバウンド ポート要件は、User Guide内にある[Firewall Port Requirements]を確認します。
■Move 3.2.0 バージョン互換性
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
AOS |
5.5.x / 5.6.x / 5.8.x / 5.9.x / 5.10.x / 5.11 |
ESXiホスト |
5.1 / 5.5 / 6.0 / 6.5 / 6.7 |
vCenter Server |
5.5 / 6.0 / 6.5 / 6.7 |
Hyper-V |
Windows Server 2012 / 2012 R2 / 2016 |
Nutanix Moveセットアップ手順<Move バージョン 3.2.0>
ここからはMove VMのセットアップ手順を紹介します。
管理ネットワークにアクセス可能な管理端末を用意した上で実施します。
- Nutanix Support Portalから、Nutanix Moveバンドルをダウンロードし、管理端末に格納します。
https://portal.nutanix.com/#/page/nutanix-move - 手順1でダウンロードしたmove-***.zip(***はMove バージョン)を解凍します。
- 管理端末上で、CLI(コマンドプロンプト/ターミナル)を起動します。
- 手順2で解凍されたファイルを指定し、以下のとおりコマンドを実行します。
①[binary_name] -c [cluster_virtual_ip_address]
・[binary_name]
管理端末のOSにより、指定するファイルが異なります。
Windows:cli-windows-amd64-***.exe
Mac:cli-darwin-amd64-***
Linux:cli-linux-amd64-***
***はMove バージョン
・[cluster_virtual_ip_address]
Nutanix AHVクラスターのFQDNもしくはIPアドレスを指定します。
②AHVクラスターの管理ユーザーIDを求められるため、[admin]を入力し、実行します。
③続いて、パスワードを入力し、実行します。
- Move VMデプロイのため、以下のとおりコマンドを実行します。
①deploy-vm vm-container [storage_container] vm-network [virtual_machine_network]
・[storage_container]
Move VMが使用するストレージコンテナを指定します。
指定するストレージコンテナは予め作成しておきます。
・[virtual_machine_network]
Move VMが使用する仮想ネットワークを指定します。
指定する仮想ネットワークは予め作成しておきます。
②(DHCPサーバーが無い場合)Move VMを削除するか聞かれるため、[N]を入力し、実行します。
- (DHCPサーバーが無い場合)Move VMに対し、IPアドレスを設定します。
①Nutanix AHV環境のPrism Elementにログインします。
②Prismの仮想マシン一覧を表示します。
手順5で作成した仮想マシン[Nutanix Move]を選択します。
③[Launch Console]からコンソール画面を起動します。
ログインユーザーID[admin]、パスワード[nutanix/4u]を入力し、実行した後、新たなパスワードを設定します。
④以下の案内に従い、設定情報を入力し、実行します。
・Do you want to configure static IPv4 address? (y/N)
[y]を入力し、実行します。
・Enter Static IPv4 Address
Move VMに設定するIPアドレスを入力し、実行します。
・Enter Netmask
Move VMに設定するサブネットマスクを入力し、実行します。
・Enter Gateway IP Address
Move VMに設定するゲートウェイIPアドレスを入力し、実行します。
・Enter DNS Server 1 IP Address
プライマリDNSとなるIPアドレスを入力し、実行します。
・Enter DNS Server 2 IP Address
セカンダリDNSとなるIPアドレスを入力し、実行します。
※設定内容を変更したい場合、[rs]コマンドでログインし直した後、[configure-static-ip]コマンドを実行することで再設定が可能です。 - Prismの仮想マシン一覧に戻り、仮想マシン[Nutanix Move]にIPアドレスが設定されていることを確認します。
- Webブラウザーから、Move VM(https://IPアドレス)にアクセスします。
初回アクセス時のみ、「EULAへの同意」、「nutanixアカウントのパスワード設定」を行うと、Move画面が表示されます。
セットアップ手順は以上となります。
今回は読者のみなさまにMoveセットアップが簡単にできることをご理解いただくため、最も手順の少ないCLI方式で説明しましたが、この他にもPrism Elemet操作によるGUI方式もありますので、是非User Guideを確認してみてください。
次回は、Nutanix Moveの操作についてです。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
長濱 歳也 -Toshiya Nagahama-
◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門