本投稿は、Nutanix AHV移行法について紹介しています。
vol.4では前回セットアップを行った「Nutanix Move」を使い、VMware vSphere環境からの移行操作をやってみたいと思います。
本シリーズの投稿についてはこちら
Nutanix AHV移行法vol.1~準備編~
Nutanix AHV移行法vol.2~仮想ディスクファイルのエクスポート~
Nutanix AHV移行法vol.3~ニアゼロダウンタイム Nutanix Move セットアップ~
Nutanix AHV移行法vol.4~ニアゼロダウンタイム Nutanix Move 操作~
Nutanix Moveでの移行の流れ
移行操作を説明する前に、これから行うのか流れについて説明したいと思います。
- 移行元/移行先の登録
- マイグレーションプランの作成
- データ転送(シーディング)
- カットオーバー
1. 移行元/移行先の登録
移行元となる仮想化環境および移行先とするNutanixクラスター環境を登録します。
移行元には複数の異なるハイパーバイザーを登録することも可能です。
2. マイグレーションプランの作成
マイグレーションプランを作成し、移行対象の仮想マシンを指定します。
マイグレーションプランにはいくつかのオプション設定があります。仮想マシンの移行要件に沿って、マイグレーションプランを分けて作成することも可能です。
また、仮想マシンが多い場合や、システム単位で移行のタイミングを分けたいケースなどにも有効です。
3. データ転送(シーディング)
Nutanixストレージコンテナへ、仮想マシンデータの転送を行います。
初回の転送にかかる時間は仮想ディスクファイルのサイズにより長くなりますが、次回以降は10分間隔で差分データのみを転送することで最新に近い状態を保ちつつ、カットオーバーの指示を待ちます。
4. カットオーバー(切り替え)
移行元で起動する仮想マシンをシャットダウンし、AHV上に移行した仮想マシンを起動します。
シャットダウン後、前回からの差分データが転送されるため、カットオーバーによるデータロスは発生しません。
操作手順<Move バージョン 3.2.0>
それでは、いよいよNutanix MoveのWeb UIを操作し、VMware vSphere環境からNutanix AHVへ仮想マシンを移行してみましょう。
- 管理端末のWebブラウザーから、Move VMのWeb UI(http://IPアドレス)へログインします。
- 移行元となる仮想化環境を登録します。
①Source Environments配下にある、[+ Add Source]をクリックします。
②プルダウン[Source Environment Type]にて、移行元環境のタイプを選択し、[Add]で次へ進みます。
ここでは検証用として起動している[VMware ESXi]を選択しています。
③移行元の詳細情報を入力し、[Add]で次へ進みます。・Souce Name
移行元環境の表示名(任意)を入力します。
・vCenter Server or standalone ESX host
移行元のvCenter ServerのFQDNもしくはIPアドレスを入力します。
Move 3.2.0から、ESXiホスト単体の指定も可能です。
・User Name
vCenter Server SSO 管理者アカウントを入力します。
・Password
管理者アカウントのパスワードを入力します。④Source Environments配下に、移行元環境情報が確認できたことを確認します。
-
移行先となるNutanix AHV環境を登録します。
①Target Environments配下にある、[+ Add Target]をクリックします。
②移行先の詳細情報を入力し、[Add]で次へ進みます。
・Target Name
移行先環境の表示名(任意)を入力します。
・Nutanix Environment
Prism ElementのFQDNもしくはIPアドレスを入力します。
・User Name
[admin]を入力します。
・Password
パスワードを入力します。③Source Environments配下に、移行元環境情報が確認できたことを確認します。
-
マイグレーションプランの作成
①マイグレーションプラン名(任意)を入力し、[Proceed]で次へ進みます。
②移行元/移行先情報を入力し、[Next]で次へ進みます。・Select a Source
移行元環境を選択します。・Select a Target
移行先環境を選択します。・Target Container
移行する仮想マシンの格納先ストレージコンテナを選択します。
③移行対象の仮想マシンを選択し、[Next]で次へ進みます。
Move側で移行が不可能と判断された仮想マシンにはその理由がアイコンから参照可能です。その対処が完了したら[Refresh]をクリックで最新情報が確認できます。④仮想マシンの準備設定について、以下を設定し、[Next]で次へ進みます。
移行元のハイパーバイザーにより、要件が異なる場合があります。
User Guideにある以下のセクションをご確認ください。
CREATING A MIGRATION PLAN FOR ESXI MIGRATION
CREATING A MIGRATION PLAN FOR HYPER-V MIGRATION
CREATING A MIGRATION PLAN FOR AWS MIGRATION・Preparation Mode
Automatic(自動)、Manual(手動)から選択します。
仮想マシン毎にAutomaticとManualを分けて指定したい場合、[Override individual VM settings]から行えます。分けた場合、Preparation ModeはMixed(自動/手動 混在)に変わります。・Credentials for Source VMs
移行対象のWindows VMs/Linux VMsに対する認証情報を入力します。
仮想マシン毎にアカウントとパスワードを分けて指定したい場合、[Override individual VM settings]から行います。
Linux VMsの場合、パスワード認証の代わりに公開鍵認証が行えます。行う場合、[Use Private (PEM) file to authenticate]にチェックを入れた後、.PEMファイルをアップロードします。Windows VMs
User Name:Administrator
Password:(Administratorパスワード)Linux VMs
User Name:root
Password:(rootパスワード)
・Retain MAC Addresses from the Source VMs
移行元仮想マシンのvNICで使用しているMACアドレスを引き継ぎたい場合、チェックします。
複数のvNICを持つ仮想マシンを移行する場合、このチェックが無いと移行先のvNICに正しくIPアドレスがマッピングされません。・Bypass Guest Operations on Source VMs
データの移行のみを行う場合、チェックします。
本機能は、ESXiからAHVへの移行でのみ有効です。
MoveによるVirtIOドライバーのインストールは行わないため、事前のインストールが必要です。
⑤仮想ネットワークのマッピングを選択し、[Next]で次へ進みます。・Schedule Data Seeding
シーディングの開始日時を指定したい場合、チェックします。
⑥サマリーの内容を確認し、[Save and Start]でシーディングを開始します。
⑤で[Schedule Data Seeding]を有効にした場合、[Save]をクリックし、開始日時まで待ちます。 -
シーディング(データ転送)
シーディングが完了するのを待ちます。
完了すると、[Migration Status]がReady to Cutoverと表示され、[Details]にカットオーバー時の推定ダウンタイムが表示されます。 -
カットオーバー(切り替え)
①Moveダッシュボード画面からマイグレーションプランの[Status]をクリックします。
②カットオーバーしたい仮想マシンをチェックし、[Cutover]をクリックします。
案内を確認し、[Continue]をクリックするとカットオーバーが開始されます。
③カットオーバー完了後、Prismの仮想マシン一覧にて、移行した仮想マシンが起動していることを確認します。各仮想マシンにログインし、問題が無いことを確認します。
必要に応じてネットワークアダプター周りの設定確認(IP/MACアドレス等)を行います。
Moveによるすべての移行が完了しましたら、アンインストール手順を参考にMove VMの削除およびMoveが設定したNFSホワイトリストからIPアドレスの削除を行います。
まとめ
Nutanix AHV移行vol.3、vol.4にてNutanix Moveのセットアップおよび操作を続けて紹介しました。
シンプルで直感的なGUIにより操作も簡単。豊富なオプションにより様々な仮想マシンの移行ケースにも柔軟に対応。そして、カットオーバーによりあっという間に仮想マシンを移行。という点に共感いただけましたら幸いです。
以上です。
ご覧いただきありがとうございました。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 3課
長濱 歳也 -Toshiya Nagahama-
◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門