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【超基礎】そもそも企業のITインフラとなるストレージとは

ストレージ / HCI
2020.02.10

こんにちは。SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアをしている笠原です。

今回はITインフラに欠かせないストレージという概念からストレージの大まかな中身について、「ただのデータが入っている箱なのに、どうして色々と考えて選ぶ必要があるのか」「そもそもサーバーやPCに内蔵ストレージが入っているのに、わざわざ外部ストレージを使う必要はあるのだろうか」といったよく囁かれる疑問を解決すべく、今更聞けない所から解説してみます。

そもそもストレージとは

コンピューターによって生成されたデータを保存する装置です。ストレージという言葉だけですと有形無形問わず、かなり広い範囲をのものを指すことになります。

個人でも使うような身近な所ですと、カメラに入れるようなSDカード、USBフラッシュメモリ、PCやスマホの内蔵SSDやオンライン上のGoogleドライブなどもストレージと言えます。

デバイスなど.png

ITインフラとなるストレージとは

企業向けのIT基盤となったところでデータの保存先であること変わりはありません。ではなぜその保存先に対して深く考えるのか?という問いの答えとしては、企業が扱うデータの性質として

  • データは絶対に消えないようにする
  • データへのアクセスを常に安定して高速に行う
  • 大量のデータを保存する
  • セキュリティを万全にする
  • 溜めてあるデータを有効活用する

といったことが求められる場合が多いからです。高速なデータアクセスを止めずにデータ保護するためにバックアップをどう取るか、大量のデータをコストを抑えつつアクセス速度もなるべく落とさず保存するためにどういった仕組みを取るか、データへのアクセス権をどうするかといったことを考える必要があります。

ですので企業のITインフラに使うストレージと言うものは個人で使うものとは全く異なるものとなります。

実際、Engineer Voice内のストレージカテゴリを見てもUSBメモリなどについての記事はなく、下図ような形の筐体がよく登場します。

図4.jpg

※以下、ストレージという言葉はこの筐体全体を指す言葉として進めます

では、「この外部ストレージがあると何ができ、中には何が入っていて、どんな形で稼働していて、どんな用途に使われているのか。」といったところについて基本的な部分を順番にご紹介していきます。

ストレージができること

ストレージは、PCやサーバーなど外部のコンピューターに対して、データの保存領域を提供します。ストレージ自体もコンピューターであり、データを保存するというサービスをクライアントへ提供するので、ストレージサーバー」であると考えると分かりやすいかもしれません。ファイルサーバーもストレージの一種です。

図2.png

このストレージが外部に存在することによってサーバー・PCの内蔵ストレージだけではできない大量のデータの保存、複数のサーバー・PCでのデータの共有、ハードウェア障害時のデータへの継続的なアクセスなどを行うことができます

超基礎編としては細かい話になるので流し読みしていただいても問題ありませんが、企業で利用される高機能なストレージ製品では他にも以下のような機能が搭載されています。

  • 筐体の中に入っているディスクをまとめて1つの大きなディスクのように扱い(RAIDやプール)、そこから(LUNやフォルダという単位で)データの保存領域を区切り、区切った単位ごとに外部のクライアントに保存領域を提供する機能
  • データアクセスを制限する機能
  • 筐体の状態を診断する機能
  • データを小さくし、限られたディスクの中により多くのデータを保存する機能(圧縮や重複排除)
  • クライアントに提供したデータ保存領域ではなく、実際にデータを保存した量に基づいてディスクの容量が消費される機能(シンプロビジョニング)
  • いつでもその状態に戻せるようにある時点の状態を一瞬で保持し、さらに容量はその後の変更分しか消費しないという機能(スナップショット)
  • 別のストレージにデータを複製する機能(レプリケーション)

既にたくさん挙げてしまいましたが、他にも様々な機能があります。

ストレージの中身

次にこの筐体の中に何が入っているか大まかにご紹介します。

・ディスク
実際にデータの保存されるパーツです。具体的にはHDDやSSDのことです。ストレージの前面に並べて入れることが多いです。ドライブ、ストレージデバイスなどとも呼ばれます。下はHDDの画像です。

図5.jpg

・コントローラー
「ストレージOSを稼働させ、全体を管理する」「ディスクへのIO(書き込み、読み込み)を処理する」「RAID(ディスクのグループ化)を組む」「その他機能を実行する」など様々な役割を担っています。コントローラーの物理的な中身にはさらにCPU、キャッシュ、NICなど様々なパーツで構成されています。コントローラーはストレージ筐体の背面に搭載されていることが多いです。

図6.png

これら以外にもいくつかのパーツによって構成されています。
重要な役割を担うストレージのパーツ(コントローラー、ディスク、電源ユニット、ファンなど)やストレージに接続するネットワークなどがありますが、ほとんどの場合、どれか1つ壊れても稼働できるように冗長化します。

ストレージの設定と接続形態

ストレージの管理・設定はコントローラー内で動いているストレージOSのUIに管理端末やコンソール経由で接続して操作します。
導入時にはデータにアクセスできるようにディスクの管理やデータの保存領域、アクセス権などを設定し、データアクセスを許可するサーバー・PCと接続します。

ストレージの接続形態には、直接1つのコンピューターと接続するDASや、スイッチを介して複数のコンピューターと接続するSAN(ブロックというアクセス単位)やNAS(ファイルというアクセス単位)といった接続形態があります。

1つのストレージで複数の接続形態を実現出来るストレージも存在します。

図3.png

それぞれの接続方法については以下の記事をご参照ください。

NAS(Network attatched Storage)とは
SAN(Storage Area Network)とは

ストレージの用途

最後にストレージの用途についていくつかご紹介します。

・ファイルサーバーとして
ファイルをストレージに集約すると、例えば複数のPC間でファイルの共有ができるようになることや、PCの障害時や紛失時にファイルの耐障害性やセキュリティ性が強化されるといったメリットがあります。また、ファイルサーバーはVDI環境でのユーザープロファイル領域にも使われます。ストレージをファイルサーバーとして使用するには、はじめからファイルを共有できるように作られたファイルストレージを使用するか、ファイル共有のできるサーバーと接続して構成します。

・データベースサーバーのデータ格納先として
データベースサーバーは高速なデータアクセスを必要とし、データの堅牢性が求められますので、外部ストレージにデータを保存しておくことが一般的です。また、SAN接続で共有ストレージとして用意し、サーバーをクラスタ化することによってサーバー障害時にも他のサーバーから継続的にデータへアクセスすることができます。

・アプリケーションサーバーのデータ保存先として
Webサーバーや基幹業務システムなど、高速なデータアクセスやデータの堅牢性、大量のデータの保存やクラスタ化が必要とされるサーバーにも外部ストレージが使われます。

・仮想基盤の仮想マシンデータ格納先として
仮想環境では上に紹介したサーバーが集約され、仮想マシンデータを大量に保存するので外部ストレージが使われることが一般的です。また、共有ストレージを使用し、仮想マシンのデータの格納先にすることで、仮想マシンの耐障害性が向上し、ライブマイグレーションといったことができるようになります。

・バックアップやアーカイブのデータの保存先として
ストレージ障害やユーザーの操作ミスに備えてバックアップデータを保存する先ももちろんストレージとなります。また、アーカイブデータの保存先としても使われます。

・解析データの格納先として
ログやAIの学習データを大容量で高速なストレージに保存し、解析できるように使われます。


まとめ

ストレージ製品がデータを保存するだけにとどまらず、様々な状況を想定して作りこまれているということをご理解いただけたかと思います。

ここ数年でかつてないほどデータが増え続け、企業の最も重要な資産はデータだといわれるこの時代、そのデータへアクセスするためのストレージは益々重要になってくるはずです。

C&S Engineer Voiceでは、仮想基盤の共有ストレージやセカンダリーストレージなど、様々な用途に合わせたエンタープライズ向けストレージや、その使い方を紹介していますのでご覧ください。

他にもストレージの選定や使用方法で疑問点がございましたらSB C&Sまでご相談下さい。

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著者紹介

SB C&S株式会社
C&S Engineer Voice運営事務局

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