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【Pure Storage】Pure//Accelerate Digital 2021 イベントレポート

ストレージ / HCI
2021.05.25

こんにちは。SB C&S Pure Storage技術担当の中田です。

現在、Pure Storageの年次イベントPure//Accelerateが開催されています。本記事では、Keynoteの内容とイベントの様子を皆様にお届けいたします。

 

 Pure//Accelerate Digital 2021 開催概要

Pure//AccelerateはPure Storageが本社を構えるアメリカで年次開催されているイベントです。今年もまだまだ新型コロナウイルスの流行が続いていることから、昨年同様オンラインイベントとして開催されています。

 

今年は日本時間の5月13日(木)〜6月11日(金)までの開催予定となっています。

本オンラインイベント内では、以下のような様々なイベントが開催されています。

  • Keynote(基調講演) : 新情報の発表や事例紹介などが行われるセッション
  • Trending(ブレイクアウトセッション) : Pure Storageやその協賛企業による、より詳細な情報を入手できるセッション
  • Get Swag : セッションを視聴することでポイントを貯め、Pure Storageのロゴの入った各種景品と交換できるイベント

 

最初の2日間である13,14日にKeynoteが配信されました。

 

 5/13 Keynote

初日のKeynoteは、Pure StorageのCMO(Chief Marketing Officer)であるJason Rose氏の司会で進みました。

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Jason Rose氏の紹介で最初に登壇したのは、PureStorageのCEOであるCharles Giancarlo氏でした。

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Charles Giancarlo氏は、新型コロナウィルスが世界で猛威を振るったことによりオンラインサービスの需要は今後もますます増えていく、と冒頭語りました。またこのような世界情勢によってオンラインサービスにおける「拡張性」「オンデマンドサービスに対する可用性」「セキュリティの必要性」「アプリケーションとインフラの自動化」はより必要性を増しており、これらに対応するには「Modern Data Experience」が必要である、と昨年に引き続きその重要性を強調しました。

※Modern Data Experience : Pure Storageが提供する「サービスとしてのストレージ」のアプローチによって、インフラ管理の複雑さやコストを低減しながらデータを利活用する提案を指します。詳細は下記を御覧ください。

https://blog.purestorage.com/ja/modern-data-experience-japan-press-conference-2019/

 

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また同氏は「Modern Data Experience」を進めるには古いインフラの刷新およびアプリケーションの統合が必要であり簡単なことではない、とした上でPure Storageの提唱する「Modern Data Experience」の進め方について以下の3ステップから成り立つ、と説明しました。

 

Step1 : Modern Data Infrastructure

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オンプレミス/クラウドの両面において、全てのデータレイヤーをコードやポリシーで管理でき、極力人の手を介在させないインフラの導入。

 

Step2 : Modern Customer Experience

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使った分だけお金を払う、サブスクリプションモデルの導入。

 

Step3 : Modern Application

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マイクロサービスとして動作するビジネスアプリケーションの導入。

 

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そしてこれらのModern Data Experienceのステップを進めていく上で「データ管理の統合」「データの俊敏性と移植性」「Kubernetesによる自動化されたインフラ管理」といった機能をPure1が提供している、と改めてPure Storage製品群におけるPure1の価値を強調しました。

 

続いて、NASAのCDO(Chief Data Officer)であるRon Thomson氏とCharles Giancarlo氏の対談が行われました。

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Ron Thomson氏は、宇宙探索から衛星の保守まで全てにおける中核に「データ」がある、とまず現代におけるデータの重要性について話しました。

その上で、Pure Storage製品のコードやポリシーによる極力人の手を介さないデータ管理手法によってより創造的な仕事に集中することができ、航空宇宙開発をより「Accelerate(加速)」していくことができる、とModern Data Experienceの価値について語りました。

 

次は、オンラインゲーミングプラットフォームの運営・製作を行う会社「Roblox」のSenior SRE ManagerであるCharles Zaffery氏と、Pure StorageのChief ArchitectであるRob Lee氏の対談が行われました。

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Charles Zaffery氏は、自社のプラットフォーム運営において高性能で信頼性の高いプラットフォームの構築がいかに困難かを説明しました。そして自社のコンテナプラットフォームにPure StorageのPortworxを導入したことで、オンプレでもクラウド上でも場所を問わず柔軟にアクセスできる高い可用性を持ったデータベースを構築でき、またその煩雑な管理の問題を克服できたと語りました。

Portworxは2020年10月にPure Storageが買収した、Kubernetesのコンテナ環境に対して各種データサービスを提供する製品です。詳細は下記をご覧ください。

https://portworx.com/

続いては、Gartner社のResearcher VPであるJulia Palmer氏とPure StorageのStrategy VPであるMatt Kixmoeller氏の対談が行われました。

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Julia Palmer氏は、モダンなアプリケーションに対してはモダンなストレージが必要であること、そしてサービスとしてそれを享受することができる、というPure Storageの提唱するところのStorage as a Serviceの重要性を強調しました。

またランサムウェアのような脅威に対してはバックアップからの迅速な復旧が何より重要であり、そのバックアップの保存先としてフラッシュを選択することで迅速な復旧を可能とできる、とバックアップ先としてのオールフラッシュストレージの価値について語りました。

 

以上で1日目のKeynoteは終了しました。

 
 

 5/14 Keynote

2日目であるこの日のKeynoteもCMO, Jason Rose氏の進行でスタートしました。

 

最初はAegis SciencesのCIO(Chief Information Officer)であるTim Ryan氏(右)とPure StorageのCIOであるCathy Southwick氏(左)による、カスタマーケースに対する対談セッションでした。

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Aegis Sciencesは化学的な検査サービス等を提供する会社であり、今回の新型コロナウィルスの検査に対しても大きな役割を果たしています。

同社は他ベンダーのストレージをサポートライフサイクルの切れるタイミングで切り替え、現在ストレージとしてPure Storage製品を採用しています。それについて同氏は「NPSの高さ」が最初に注目するきっかけになった、と振り返りました。

※NPS : Net Promoter Score 顧客推奨度という指標で「友人にどれくらい勧められるか」という考え方に基づく数値指標。

 

また数値だけでなく自身のつてを使い様々な企業のCIOに話を聞き、Pure Storageに対する多くの好意的な意見を聞き、また技術的観点からの検討を重ねた結果、最終的にPure Storageの利用に至った、とのことでした。

そしてPure Storageを採用した結果、他社との差別化要素でもあったEvergreenモデルに特に満足している、と語りました。

 

続いては、Pure Storageの創設者でありCTOでもあるJohn "Coz" Colgrove氏と、司会進行を行っているCMO, Jason Rose氏のセッションでした。

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John "Coz" Colgrove氏はModern Data Experienceについて、深い知識がなくても誰もが使えるよう「シンプルで機能的であること」そしてストレージの買い替え時のデータ移行をなくすことができる「Evergreenモデル」の2つが重要である、と語りました。

また昨今のコンテナ技術について同氏は「現在環境に対するニーズには多種多様なものがあり、それらを並列して動作させるコンテナ技術にはかつてないほどの規模で環境の管理が必要とされる」とし、それに対して「Portworxはそのようなかつてないほどの規模のコンテナ環境に対してでも管理を提供する」と、Portworxの製品としての立ち位置を説明しました。

 

続いては、Pure StorageのVP Worldwide Systems EngineeringであるShawn Rosemarin氏から2つの発表がありました。

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 ひとつ目がPure StorageとPortworxの統合による「Portworx Enterprise」です。

Pure StorageがPortworxを買収してから初めての製品リリースが近日行われます。これによりPortworxはクラウドやオンプレといった場所に縛られず、またブロックでもファイルでも利用できること、そしてPure1との統合により、FlashArrayやFlashBlade上ではなく3rd Partyのクラウド上で動作している場合でもPure1上でその動作を確認することが可能となる、と説明しました。

Portworxの買収以降Pure Storageとの機能的な統合はこれが初であり、今後の動向が気になるところです。

  ふたつ目が「Pure1 Digital Experience」と題されたPure1の新機能の追加です。これはPure1からサービスの注文ができるようになる機能のようです。

従来までのPure1は管理・可視化に特化したサービスでしたので、これは新しい方向性と言えるかと思います。

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Shawn Rosemarin氏の紹介で登場したのは、Pure StorageのVP/GM Cloud NativeであるMurli Thirumale氏でした。

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同氏は、Portworxを用いてサービスカタログを提供することの重要性について「as-a-Serviceとして提供することで、インフラの煩雑な管理に追われる時間を低減し、アプリケーションの開発に専念できる」と語りました。

 

続いて登壇したのは、Pure StorageのVP/GM Digital Technology Services GroupであるPrakash Darji氏でした。

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同氏は「Pure1の情報は人々の意思決定を加速できる」と語りました。

 

またPure1の各種機能紹介の中で、Pure1の新機能として「外部の脅威に対するアセスメント機能」を紹介していました。ランサムウェアなどに対するストレージの保護状態を監視できる機能のようです。

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そして最後に司会進行のJason Rose氏が改めて登壇し、「Modern Data Experienceを進める3つのステップ(Modern Data Experience/Modern Data Infrastructure/Modern Data Application)を経てas-a-Serviceとして提供することで、皆様の提供するサービスをも近代化することができます。」と締めました。

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 Trending(ブレイクアウトセッション)

本イベントはひと月にわたり開催されますが、期間中各週ごとにテーマが設けられており、テーマに沿った内容のセッションが配信される形となっています。

  • Week1 : Cloud, Virtualization and Kubernetes
  • Week2 : Modern Data Protection & Security
  • Week3 : Data Analytics
  • Week4 : Business Application
  • Week5 : Basecamp

 

一度配信されたオンデマンドセッションはイベント期間内であればいつでも視聴可能です。

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気になったセッションをいくつか紹介いたします。

 

● Use Case Study into Business Value of Cloud Block Store

Pure Storageの提供するクラウドインスタンスであるCloud Block Storeに関するユースケースの紹介や、Pure Storage製品の詳細な解説がなされたセッション

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● How Kubernetes Changes the Storage Landscape and What You Need to Do About it

Kubernetesのコンテナ環境におけるストレージの役割に関するセッション

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 Get Swag

セッションの視聴だけでなく、イベント参加者を楽しませる企画も行われています。セッションを視聴するとポイントが溜まっていき、ノベルティなど各種景品との交換ができます。

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 Superhero Photobooth

今回のイベントのテーマのひとつ「スーパーヒーロー」になぞらえ、Pure Storageのスーパーヒーローに自身の写真を合成できるブースも展開されていました。

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 まとめ

今年の発表内容では、Pure Storageの今後の方向性が印象的でした。

これまではフラッシュストレージを中心としたハイブリッドクラウドのビジネスを提供していく印象が強く感じられました。しかしながら、Portworxが加わることによりコンテナ環境までを包括し、フラッシュストレージ中心のビジネスからよりデータ利用を意識したas-a-Serviceを提供していくという方向性を感じました。

 

本イベントは現在も開催中ですので、ぜひ下記からご登録、ご視聴ください。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
中田 浩嗣

VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア