みなさんこんにちは。 Portworxの機能を連載形式でご紹介しております。
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入門編 コンテナ環境と「データ」を考える
第1回 PX-Storeによるボリュームの提供(初級編)
第2回 PX-Storeによるボリュームの提供(応用編)
第3回 ボリュームのスナップショット
第4回 PX-Autopilotによるボリューム・ストレージの自動拡張
第5回 PX-SecureによるRBACとOwnership
第6回 PX-Migrateによるアプリケーションとデータの移行
第7回 PX-DRによる災害対策
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連載第6回でPX-Migrateによってアプリケーションやデータを別のKubernetesクラスターへ移行する様子をご紹介しました。 PX-Migrateのユースケースとしてクラウドへのリフト&シフトや開発環境からの昇格を挙げましたが、災害対策として遠隔地にある別のクラスターに対して継続的にレプリケーションを行いたいというご要望もあるかと思います。 今回はレプリケーションの機能を有する「PX-DR」についてご紹介いたします。
PX-DRとは
PX-DRはディザスタリカバリ(DR)を目的として、アプリケーションやデータを継続的にレプリケーションする機能です。 メーカーサイトのFull Feature ListによるとPX-DRの機能として同期(Synchronous)レプリケーションと非同期(Asynchronous)レプリケーションが挙げられています。まずはこの違いを簡単に整理しておきましょう。
同期レプリケーションは同じMetropolitan Area Network (MAN)内にノードが存在しているような場合(レイテンシーが10ms未満)に利用することができます。ノードが異なる地域に配置されている環境など、高レイテンシーが見込まれる場合は非同期レプリケーションを選択しましょう。
なお、Portworx Docsでは同期レプリケーションによるDRは"Metro DR"と表記されている場合があります。
※レプリケーションを実行するにはPX-DRのライセンスが必要です。 メーカーサイトに記載の通りPortworx Enterpriseのトライアルには含まれていない点にご注意ください。
レプリケーション方式とPortworxの構成
レプリケーション方式として同期 / 非同期のどちらを採用するかによってPortworxの構成が変わります。
同期レプリケーション(Metro DR)の場合
2つのKubernetesクラスターが存在しその間で同期レプリケーションを行う場合、両KubernetesクラスターでひとつのPortworxクラスター(ストレッチクラスター)を形成します。
また、KVDB(Key-Valueストア)の配置も変わります。Portworxはメタデータを格納するためのKVDBを必要とし、通常はPortworxインストール時にビルトインでPortworxクラスター内部にKVDBを配置することができます。(内部KVDBの詳細についてはこちらをご参照ください。) しかしながらMetro DR構成の場合、Portworxの内部KVDBはサポートされません。 従ってPortworxクラスターの外部にKVDBを配置するような構成にします。
非同期レプリケーション(Asynchronous DR)の場合
非同期レプリケーションを行う場合はKubernetesクラスターごとにそれぞれPortworxクラスターを構成します。 また、データをレプリケーションするためにObject Storeと呼ばれるS3ストレージ(Amazon S3、Azure Blobなど)が必要です。
なお、非同期レプリケーションではSource Cluster側で作成したスケジュールに基づいてデータが送信されます。
実際にストレッチクラスターを構成するには...
同期レプリケーション(Metro DR)の場合、前述の通りPortworxを「ストレッチクラスター」とする必要があり、KVDBの配置も変わります。 この度、ストレッチクラスターの構成方法をご紹介する資料「Portworxストレッチクラスターセットアップガイド」をリリースいたしました。
下記フォームにて資料を入手いただけます。(「Portworxストレッチクラスターセットアップガイド」を選択ください。)
資料ダウンロードフォーム(ストレージ/HCI)
https://licensecounter.jp/engineer-voice/download/form_hcistorage.html
2つのサイトをまたがったPortworxクラスターを構成するにあたり、データセンターの障害やネットワークパーティションに備えタイブレーカーを導入したいというご要望もあるかと思います。本手順書では「Witnessノード」と呼ばれるタイブレーカーの構成も含めてご紹介しています。ぜひご一読頂ければ幸いです。
※ サービスや製品の仕様ならびに動作に関しては、予告なく改変される場合があります。
※ 本ブログにおける記載はPortworxバージョン2.12の情報に基づいています。 異なるバージョンにおけるサポート範囲 / 仕様変更等についてはメーカードキュメントをご確認ください。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 4課
中原 佳澄