皆さまこんにちは、SB C&S 中田です。
6月14〜16日まで、Pure Storageの年次イベント「Pure//Accelerate 2023」がラスベガスにて開催されておりました。我々SB C&Sも現地に赴き新情報を入手してきましたので、今回はイベントの様子と合わせ新情報を皆さまにお届けしようと思います。ぜひ最後までお読みください!
開催概要
Pure//Accelerate 2023は、現地時間にて6月14 - 16日の全3日間に渡って、ラスベガスのホテル「Resort World Las Vegas」にて開催されました。
会場は、ホテル2階のカンファレンスルームを利用して行われ、セッション会場や展示会場、商談エリアなどが設けられております。
▲ 会場ホテルの壁面にも「Pure Storage」の文字が浮かび、その勢いを感じました。
また夜にはナイトクラブを貸し切っての懇親会も行われ、オレンジに染まった会場は大いに盛り上がっておりました。
さて、そんな今回のイベントのテーマは「LEVEL UP」です。
一体何を「LEVEL UP」するのか、セッションの内容を通じてお届けできればと思います。
【Keynote_Day1 (現地時間14日)】
初日に行われたKeynoteセッションは、マーケティング最高責任者のMatt Burr氏による挨拶で始まりました(余談ですがPure Storageのイベントでは、Matt氏がオープニングや進行を務めるのが予定調和です)。
Matt氏は登場早々、「I would argue that the future isn't flash. The Flash is now.(フラッシュは未来ではなく、今だ!)」というメッセージを語りました。また、自身のオレンジのTシャツに書かれた「※I GOT 99 PROBLEMS... BUT A DISK AIN'T ONE 」の文字を見せつけ「ディスクベースのストレージの終わりの日は近い」と語りました。開幕から怒涛のフラッシュ推しです。
※これは「99 Problems」というヒップホップのリリック由来の文章で「毎日たくさんの問題を抱えているのに、ディスクをそのうちの問題の一つとして悩むなんて馬鹿馬鹿しい」的な意味かと思われます(私見です)。
続いて登場したのは、CEOであるCharlie Giancarlo氏でした。
同氏は、レコードとCDやDVDとNetflixといった技術革新による様々な媒体の衰勢を引き合いに、HDDの衰退とフラッシュデバイスの隆盛について語りました。そして
「5 年後の 2028 年までに、新しいハードディスクは販売されなくなると確信しています」
と発言し、会場は大いに沸きました。
またフラッシュデバイスの優位点として、信頼性や省スペースのほか、電力消費がディスクの5分の1であること、それによる環境メリットについても語り、環境への配慮と成長を両立させる企業にとって、この差は大きな差別化要因たりうる、と述べました。
続いて登場したのは、FlashArrayのゼネラルマネージャーであるShawn Hansen氏です。
同氏は2つの大きな発表をしました。1つ目が、FlashArrayの次世代モデルである「FlashArray//XR4」と「FlashArray//CR4」です。これらは、従来のR3と比較し40パーセントパフォーマンスが上がっている、と同氏は語ります(この詳細については、ブレイクアウトセッションや公式サイトからの情報をもとに後述にて補足します)。
そして2つ目が、FlashArrayの新シリーズとなる「FlashArray//E」です。また、FlashArray//EはFlashBladeの容量重視のシリーズ「FlashBlade//E」と対になる存在として、より容量に重きを置いた、QLCデバイスを利用したモデルです。同氏はこれについて「この新しい E ファミリは、ディスク市場を永遠に変えるでしょう」と語りました(この詳細についても、ブレイクアウトセッションや公式サイトからの情報をもとに後述にて補足します)。
また、FlashArray//Eに今後搭載されるデバイスとして、新たなDFM(FlashArrayやFlashBladeに搭載されている、Pure Storage独自の容量デバイス)である75TB DFMを発表しました。従来のモデルと比べ一気に容量の大きくなったQLCフラッシュデバイスの登場は、ここまでのMatt氏とCharlie氏による、ディスクの終わりについての伏線を回収した形となっています。
▲ 右手に持っているのが75TB DFMです!
またDay1 Keynoteの最後には、NBAのレジェンドShaquille O'Neal氏が登場し、Matt氏とCharlie氏を交えて対談を行いました。レジェンドのユーモラスなトークによって、熱気と笑いに包まれながらDay1のKeynoteは終了しました。
【Keynote_Day2 (現地時間15日)】
2日目のKeynoteは、CLOのNiki Armstrong氏の挨拶からスタートしました。
その後、創業者の1人であるJohn 'Coz' Colgrove 氏と、FlashBlade ゼネラルマネージャーの Amy Fowler 氏がステージに上がり、Pure Storageが目指すところについて対談を行いました。
Colgrove氏は前日に発表のあった75TB DFMについて言及し、来年には150TB、再来年には300TBのDFMを展開すると述べた上で「ディスクとフラッシュの格差は年々拡大するだろう」と語りました。
▲ Colgrove氏が手にしているのがDFM。これが数百TBという容量になる未来がすぐであると、同氏は言います。
続いて登壇したのは、最高製品責任者であるAjay Singh氏でした。
同氏は、クラウド運用モデル(as-a-Service)の進化について「ほとんどの人は、CapEx と OpEx、またはサブスクリプションの有無が問題であると考えているが、真に重要なのはSLAの背後にあるサービスの維持と管理である」とし「Pure StorageのFusionであれば、Cloud Block Storeも含めたストレージのマネージドサービスを提供できる」と語りました。
次に登壇したのは、最高技術責任者のRob Leeです。
同氏は、AI分野でのストレージ利用について「エネルギー効率とスペース効率、そして廃棄物の削減はAI分野が急速に発展しているからこそ考えなければならない問題である」とした上で「FlashBladeはこの分野におけるリーダー的存在の製品である」と、FlashBladeのEvergreen型利用モデルが、環境問題への取り組みにおいて一歩先をゆく存在であることを強調しました。
最後に登壇したのは、カスタマーエンジニアリング担当兼副社長であるShawn Rosemarin氏です。
同氏は「(VHSやDVDと同様に)すべての優れたテクノロジーと同様に、回転するハードドライブがフラッシュにバトンを渡す時が来ました」と、改めて初日のCEOの話に触れつつ、ディスクストレージ時代の終わりとオールフラッシュへの移行についてを語り、Keynoteを締めました。
【新製品についての補足】
展示会場には、75TB DFMこそ展示されていなかったものの、FlashArray//XR4、//CR4、そしてFlashArray//Eが展示されていました。
▲ ベゼルも、従来の六角形が並んだものからデザインが変わっていることが見て取れます。
XR4とCR4については、パフォーマンスが大きく上がっていることがセッション内では強調されていましたが、展示会場にて見てみると背面ポートの構成が変わっていることが見て取れます。また話によると、64Gb FCおよび100Gb Ethにも対応しているとのことで、ネットワーク部分の進化も感じました。
XR4およびCR4については下記ブログでもそのほか情報公開されていますのでぜひご確認ください。
https://blog.purestorage.com/purely-technical/xcr4-technical/
またFlashArray//Eについては、QLCデバイスを用いており容量としては最小1PB〜最大4PBまでとのことです。まだ容量モデル等の情報については発表されていませんが、今後同じQLCデバイスのFlashArray//Cシリーズとどう棲み分けていくのかに個人的には注目したいと思います。
【まとめ】
今回のPure//Accelerateでは、フラッシュストレージ業界をリードするPure Storageの技術力と思想を強く感じました。
Pure Storageはフラッシュ業界のリーダーとしてガートナーのマジッククアドラントでも連続でリーダーとして位置付けられていますが、それは技術力あってのものです。ドライブあたり75TBに容量を集約するというのはその最たる例ですが、同時に技術的な部分を極力ユーザーに見せず、完成品としての製品だけを見せるPure Storageには、創業から変わらない一貫した「シンプル」の思想を改めて強く感じました。
また、新製品については、75TBがあの大きさのフラッシュデバイスに収まる、という事実に「ついにここまできたか・・・」と驚きを覚えると同時に、Colgrove氏の言った「ディスクとフラッシュの格差は年々拡大するだろう」という言葉には、本当に世の中からHDDの販売がなくなる未来は近いのでは、という予感を感じさせました。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。
イベントレポートのほかにも各種資料や記事を書いておりますので、下部のリンクから足を運んでいただけますと幸いです!
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
中田 浩嗣 - Hirotsugu Nakata -
VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア