はじめに
こんにちは!SB C&Sの吉水です。本記事では「若手SEと学ぶ!Nutanixの基本機能」シリーズの一つとして、ライブマイグレーションをご紹介します。ライブマイグレーションは仮想基盤の運用に不可欠な機能となりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ライブマイグレーションとは?
仮想マシンを起動状態のまま、あるホストから別のホストに移動させる機能のことです。
(VMware ESXiのvMotionに相当)
ライブマイグレーションの主な利用用途
- メンテナンスのためにサーバーを停止したいが、仮想マシンは継続稼働させたい
- ホストリソースの負荷を調整するために仮想マシンを移動したい
- ソフトウェアやハードウェアの更新を無停止で行いたい
例えばメモリ増設などでホストを停止する必要がある場合、ライブマイグレーションを使用して仮想マシンを別のホストに移すことで、メンテナンス中もサービスを継続できるといった機能です。
ライブマイグレーションの手動実行
それでは、実機でのライブマイグレーションの実行方法をお見せします。
まずは、Prismの仮想マシン一覧画面に移ります。 今回のマイグレーション対象の仮想マシンはノード1で稼働しています。
対象の仮想マシンを右クリックして「Migrate」を押下します。
「Migrate VM」画面では移動先のホストを指定することが可能です。今回はノード2を選択して「Migrate」を押下します。
「Migrate」を実行してしばらくすると、仮想マシンがノード2にマイグレーションされます。このように、仮想マシンのマイグレーションはクリック操作で簡単に行うことができます。
ライブマイグレーションのユースケース紹介
次に、運用時のユースケースとして、AHV をメンテナンスモードに移行した場合のライブマイグレーションの動作をご紹介します。
ホストをメンテナンスモードに入れると、対象ホスト上の仮想マシンは一括で他ホストに移動します。これによりサーバーを安全に停止し、メモリ増設などの作業が実施可能になります。
それでは、メンテナンスモードの実機操作をお見せします。まずは、Prismの仮想マシン一覧画面に移動します。 今回は1台目のホストをメンテナンスモードにしますので、対象ノードで起動している仮想マシンを確認しておきます。
次にハードウェア画面に移り、1台目のホストを選択して右クリックし、「Enter Maintenance Mode」を押下します。
説明を読み、「Enter Maintenance Mode」を押下します。
ホストがメンテナンスモードに入ると、仮想マシンは別のホストにライブマイグレーションされます。ちなみに、CVMは自動停止されます。これにより、ホスト上に仮想マシンが起動していない状態となるため、サーバーを停止してメンテナンス作業を行うことができます。
続いて、メンテナンス作業が終わった後の操作として、同様の手順でメンテナンスモードを解除します。
メンテナンスモードを解除すると、CVMは自動起動します。また、仮想マシンはライブマイグレーションにより元のホストに戻され、メンテナンス適用前の配置に復帰する仕組みになっています。これでメンテナンスモードの紹介は以上になります。
なお、今回はメンテナンスモードを例として取り挙げましたが、ライブマイグレーションは他の機能でも内部的に使用されています。例えば、ADS(Acropolis Dynamic Scheduler)というクラスター内の各ホストのリソースを平準化する機能やLCM(Life Cycle Management)によるソフトウェアアップグレードを行う際も、仮想マシンのサービスを止めない仕組みとしてライブマイグレーションが自動実行されます。
まとめ
本記事ではライブマイグレーションの概要と操作手順、使用例をご紹介しました。ライブマイグレーションを使用することで仮想マシンは無停止でホスト間を移動でき、メンテナンス中でも継続してサービスを提供できることがお分かりいただけたかと思います。
なお、ライブマイグレーションを活用した運用機能のうち、LCMのアップグレード機能については今後の連載の中でご紹介する予定ですので、引き続きの投稿をお待ちください。
参考リンク
ライブマイグレーションに関する詳細情報は、下記ドキュメントからご確認ください。
Nutanixの構築入門記事はこちら
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
吉水 崚 - Ryo Yoshimizu -