こんにちは。SBC&Sの大塚です。
本記事は、仮想基盤のコスト最適化を検討されている方に向けて活用いただけるアセスメントツールをご紹介するものとなっております。
本記事ではDell Live Opticsについて、概要とデプロイ方法、ツールを使うことで確認できる情報などをお伝えしていきます。その他のツールについては、それぞれの記事にてお伝えしていきますので合わせてご覧ください。
製品概要・特徴
Dell Live Opticsは、Dellから無償で提供されている仮想基盤アセスメントツールです。Windows・Linuxが稼働しているPC等から、ソフトウェアを実行することで利用できます。実行すると、vSphereなどのワ―クロード情報や、各ストレージの利用状況などのデータが取得されます。
取得されたデータはオンライン上で分析され、ウェブ上のコンソールから視覚的に確認可能となります。もちろん、取得されたデータはレポートとしてPPT・PDF・XML形式で出力することもできますので、報告書等に活用いただけます。
また、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなどの各パブリッククラウドソリューションの価格比較を行うこともできます。
構築の流れ
Dell Live Opticsは、データを収集する方法としては下記の3つの方法があります。
- HTTPSを使用して、Dellのデータセンターへリアルタイムにデータを送信します。
- Live Opticsが作成するSIOKITファイルへ収集データを保存し、手動でLive Optics Web Serviceへアップロードする手法です。外部インターネットへ接続ができない環境などは、こちらを使用することでデータのアップロードが可能です。
- 対象のインベントリ情報のみを収集し、ローカルのExcelファイルに書き込みます。Live Optics Web Serviceにはデータは送信されず、パフォーマンス データは収集されません。
各々の環境状況に合わせて柔軟に選択することが可能です。本ブログ記事では[1]の手順についてご紹介します。
利用を開始する際は、以下のよう流れで環境を準備します。
- アカウントの準備
Live Opticsを利用するためにアカウント登録を行います - ツールのダウンロード
Live Opticsをダウンロードします - ツールの実行
Live Opticsを実行し、データ収集を行います
構成イメージ・ネットワーク要件
Live Opticsは、データを収集する元の環境が既に持っているパフォーマンスデータをリアルタイムで収集します。そのため、データ収集元の仮想環境に対して、パフォーマンス影響を与える心配は基本的にございません。また、Live Opticsのツールを実行するPC環境で必要とされるコンピューティングリソースは少なく、標準的なPC環境で動作が可能です。
vSphere環境との接続、Live Opticsのクラウドサービスとの接続には、HTTPS/SSLプロトコル経由にて通信を行われ、基本的に443ポートが使用されます。またLive OpticsはvCenter Serverを接続しデータを収集するため、vCenter Serverがない環境ではご利用いただけませんのでご注意ください。
構築手順
ここからはLive Opticsの構築手順をご紹介します。今回当社検証環境で利用した製品のバージョンは以下です。
- ESXiバージョン:8.0 Update 3
- vCenter Serverバージョン:8.0 Update 3
- Live Opticsのバージョン:25.3.12.178
ここからは構築手順をご紹介します。また、こちらでご紹介する情報は記事公開時点の情報となり、将来的に手順が異なる可能性がございますのでご了承ください。
アカウントの準備
まずはhttps://www.liveoptics.com/にアクセスします。Live Opticsには下記の2つのエディションがありますが、本記事ではCorporate Editionを選択した場合の手順について説明していきます。
- Corporate Edition
このエディションではLive Opticsの全ての機能が利用できます。利用するにはメールアドレスや企業情報などの登録が必要です。 - Personal Edition
こちらはメールアドレスの登録は必要ありませんが、Live Opticsの利用できる機能に制限がかかります。
登録する情報を入力します。24時間以内にメールが届きますので、アカウントのパスワードを作成してアカウント登録を完了させます。
※2024年11月以降では、上記アカウントと合わせてdell.comのアカウントが必要になります。詳細は以下KBをご参照ください。
https://www.dell.com/support/kbdoc/en-us/000228915/live-optics-changes-to-live-optics-sign-in
ツールのダウンロード
Live Opticsにログインするとダッシュボードが表示されます。このダッシュボード上からCollectorのダウンロードを行っていきます。「Download Collector」をクリックします。
自分の環境に合わせてWindowsまたはLinuxを選択します。選択後、Collectorをダウンロードします。
ツールの実行
ダウンロードファイルからLive Opticsのアプリケーションを実行します。
Live Opticsコレクターが起動します。「はい、同意します」を選択してEULA契約に同意します。
「アカウント情報」にて登録した情報を確認します。問題なければ「はい、問題ありません」をクリックします。
Collectorを自動更新するか選択します。また、カスタマー改善プログラムに参加するか聞かれます。デフォルトでチェックがついているため、参加しない方はチェックを外す必要があります。選択した後、「Next」をクリックします。
Live OpticsのHomeが表示されます。左側のパネルからデータ収集元のカテゴリを選択します。以下の5つの製品カテゴリから選択することができ、各カテゴリにはデータ収集オプションがいくつか用意されています。
- Server&Cloud
Windows、Linux、Unix系OS、そしてVMware vCenterなどのハイパーバイザープラットフォーム上のローカルおよびリモートホストに接続し、データを収集できます。 - File
非構造化データをスキャンし、ストレージの増加、データのアーカイブ、圧縮、重複排除などの発生可能性に関する推測情報を確認できます。 - Storage
ストレージのインベントリ構成、パフォーマンス履歴などの詳細を表示します。 - Data Protection
バックアップソフトウェアのデータ保護の構成、ポリシー、保護対象のフロントエンド容量などの情報を確認できます。 - Workloads
OracleデータベースとSQL Serverデータベース、容量レポート、パフォーマンスメトリックの概要を確認できます。
今回はvCenter Serverのデータを収集するため、「Server&Cloud」を選択し、Optical Primeに進みます。
データ収集元のvCenter Serverとの接続方法を選択します。今回は推奨されているHTTPSを使用した方法でデータを収集します。
ポータル上に作成されるプロジェクト名を入力します。入力したら「次へ」をクリックします。
ネットワーク接続が切れた際のバックアップとして、SIOKITファイルが自動的に作成されます。ファイルの保存先を選択して「次へ」をクリックします。
vCenter Serverへ接続します。「リモートサーバーを追加」を選択します。
「VMware vCenter Serverへの接続」を選択します。「Include VM Performance data」のチェックを入れると、仮想マシンのパフォーマンスデータも収集します。
vCenter ServerのURLを入力して「接続」をクリックします。ログイン資格情報を求められますので入力して接続を完了させます。
スキャンするクラスターとデータセンターを選択して「了解」をクリックします。
vCenter Serverの追加が完了したら、右下の継続時間を選択します。これはデータを収集する期間となっており、今回の設定では最短4時間、最長7日を選択することができます。今回の検証では4時間分のデータを収集します。「キャプチャの開始」をクリックするとデータ収集が開始されます。
データ収集が完了すると下記の画面になります。「Live Opticsウェブアプリケーション」のハイパーリンクをクリックするとウェブコンソールが開きます。
先程設定したプロジェクトが追加されています。プロジェクトを選択して詳細を見ていきましょう。
以上で、Dell Live Opticsの構築は完了です。
vCenter Serverからデータを収集し、しばらくするとLive Opticsのコンソール上で分析結果やリソース使用状況のグラフなどが確認できるようになります。
データのモニタリング
本章では、Dell Live Opticsで確認できる情報の一例をご紹介します。
「環境」タブでは収取したデータのサマリが確認できます。CPU、ディスク容量、メモリなどの各総量を一目で確認することができます。
パフォーマンスタブでは環境内のデータセンターやクラスター、ホストなど、ノードごとに詳細を確認することができます。
タブを切り替えることでノード内のそれぞれの情報を確認することができます。
「バーチャル」タブでは仮想マシンの詳細を確認できます。ディスク容量、使用済みディスク容量、CPU、メモリの状況を仮想マシンごとに確認することができます。
「Cloud Pricing」では、プロジェクト内の仮想マシンの稼働状況をAWS、Azure、Google Cloud上で行った場合の概算見積もりを確認できます。Excel出力したファイル上では1年、3年ごとの詳細な費用を算出できますので合わせてご確認ください。
収集したデータは下記のようにレポートとして出力も可能です。各環境の概要やサーバーごとのIOPS、パブリッククラウド上で稼働させた場合の概算などを、PowerPoint、Excelファイルで出力可能です。
メリット
ここまでLive Opticsのデプロイ手順やツールの内容などをご紹介させていただきましたが、最後に使用者にとってメリットと感じた点をいくつかご紹介させていただきます。
デプロイが簡単
仮想アプライアンスのデプロイや、エージェント等のインストールが不要で、アプリケーションを実行するだけで使い始められる点は非常に魅力的です。今回のアセスメントツールのご紹介で取り上げている他2つのツールと比較しても、ここまでお手軽に実行できるのはLive Opticsのみです。
分かりやすい操作感
ウェブコンソール上では、日本語化されたUIで簡単にデータの確認ができます。レポート出力も簡単かつ数分で作成可能であり、報告書へ即座に活用することができます。
パブリッククラウドの比較
パブリッククラウドでの費用比較を手軽に行うことができるのは魅力的です。環境の見直しを迫られている中、パブリッククラウドへの移行も選択肢の一つになると思われます。概算ではありますが、ざっくりと費用感を把握したいといった際にはぜひ活用いただくことを推奨します。
まとめ
今回はDell Live Opticsについてご紹介いたしました。今回ご紹介した内容を、環境アセスメントを行う際にぜひご活用いただければと思います。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -
VMware vExpert