
みなさま、こんにちは。植木です。
今回は、UiPathの新たなツール「Maestro」についてご紹介します。
「Maestro」は、AIエージェント、ロボット、人間を統合して、
業務プロセスを効率的に自動化・最適化する
BPMS(Business Process Management Suite/System)です。
BPMN 2.0(Business Process Model and Notation)準拠で視覚的に業務フローを設計でき、
長大で複雑な業務プロセスを効率的に連携させ大規模に運用することができます。
本記事では、BPMS に初めて触れる方向けに、
まず BPMS や BPMN の概要を説明し、
その後、Maestro の概要や機能について詳しく解説していきます。
実際の使い方は後編でご紹介しますので、合わせてご一読いただけますと幸いです。
※他の記事はこちら
【UiPath Agents】Maestro の使い方
目次
1.はじめに
Maestro は、すべてのテナントで自動的に利用可能となっております。
また、不要な場合はテナントを選択して無効化することもできます。
一方で、Maestro に関連する以下のツールや機能を利用するためには、
それぞれに適したライセンスが必要となりますのでご注意ください。
【Maestroの関連ツール・機能】
- Studio, Stduio Web
- Apps
- Agent Builder
- Integration Service
- Action Center
2.BPMS の概要
BPMS(Business Process Management Suite/System)は、
企業の業務プロセスを設計・実行・管理・最適化する情報システムです。
業務プロセスの可視化・モデリング、自動化の促進、
PDCAサイクルの支援を通じて、効率的な業務改革を実現します。
■BPMSのメリット
- 業務プロセスの可視化: 課題を迅速に発見し、効率化を推進。
- 属人化防止: 業務標準化で品質安定と引き継ぎを円滑化。
- 生産性向上・コスト削減: 自動化でエラーや遅延を防ぎ、コスト削減。
- リアルタイム進捗管理: 問題発生時の迅速対応が可能。
- 継続的改善: PDCAサイクルで変化に柔軟対応。
- 組織内連携強化: 業務標準化で部門間の効率化を促進。
BPMSは、業務効率化や属人化防止、生産性向上など、
企業に多くのメリットをもたらすツールです。
3.BPMN の概要
BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法:Business Process Model and Notation) は、
業務プロセスを視覚的に表現するための標準的な表記法です。
業務プロセスの設計、分析、自動化、監視、改善など幅広く活用されます。
■特徴
- 視覚的で直感的: フローチャート形式でプロセスを表現
- 標準化された記法: 国際標準に基づき、共有と理解が容易
- 実行可能なモデル: 業務プロセスをシステムに実装可能
- 豊富な要素: イベント、アクティビティ、ゲートウェイなどを提供
■BPMNのメリット
- 複雑なプロセスを可視化し、関係者間の理解を促進
- ビジネス部門とIT部門のコミュニケーションを円滑化
- プロセスの標準化と再利用性の向上
- 柔軟な変更・拡張が可能
- プロセスの監視や改善を支援
4.Maestro の概要
Maestro は、企業の業務プロセスを効率的かつ高度に自動化・最適化するための
BPMS(Business Process Management Suite/System)です。
このツールは、ロボット、AIエージェント、そして人間の協働を可能にし、
複雑な業務プロセスを統合的に管理します。
また、BPMN 2.0準拠の業務プロセス設計を採用し、
視覚的かつ標準化された方法で業務フローを設計・最適化することができます。
■サンプル
5.Maestro の機能
Maestro は主に以下の項目・機能で構成されます。
5-1.イベント
プロセス内で発生する事象(出来事)を表します。
主に以下の3種類が存在します。
・開始イベント: プロセスをスタートさせるきっかけ
(例: ボタンを押す、メッセージを受け取る)
・中間イベント: プロセスの途中で発生する出来事 (例: タイマーが発動、エラーが発生)
・終了イベント: プロセスが終わる瞬間 (例: 結果が出る、処理が完了する)
5-2.タスク
プロセス内で実行される具体的な作業やアクティビティを表します。
UiPath Studio, Studio Web で作成したプロセスや、
Agent Builder で作成したAIエージェントを実行することもできます。
5-3.ゲートウェイ
プロセスのフローを分岐、分割、または結合するための制御要素です。
5-4.データ
プロセス内で使用される情報や成果物を表します。
情報の流れを可視化するために利用されます。
5-5.参加者・レーン
「参加者」はMaestro独自の概念で、BPMNのプール(Pool)とレーン(Lane)を統合したものになります。
・プール: プロセス全体を表し、プロセスを実行する主体(例: 組織や部門)を示します。
プール内には複数のレーンを含むことができます。
・レーン: プール内でプロセスをさらに細分化したものです。
特定の役割や部門(例: 部署や担当者)を示します。
6.さいごに
今回は、Maestro の概要と機能についてご紹介しました。
後編では、Maestroの使い方についてサンプルフローをもとに詳しく解説していきますので、
ぜひご一読ください。
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著者紹介

植木 真