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Excel管理と何が違う? UiPath Data Fabric を触ってみた

UiPath
2025.12.25

 

こんにちは!山崎です。

RPA開発でデータ管理といえば、
Excel が定番ですよね。

Configファイル、マスタデータ、処理一覧表。
とりあえずExcelで作っておけば、誰でも見られるし、編集できるし、便利です。

一方で、Automation Cloud のメニューを見ると
「Data Fabric」 という項目があります。
(以前は Data Service と呼ばれていました)

正直、ちょっと構えてしまいませんか?

  • データベースっぽい名前

  • SQLとか必要そう

  • 設定が面倒そう

「今Excelで回ってるし、後でいいかな」と思って
そのままになっている人も多いと思います。

でも実際に触ってみると、
思っていたよりずっと 身近で、使いやすい機能 でした。

 


目次

  1. Data Fabricを一言で言うと?
  2. Excel管理で起きがちな、RPAあるある
  3. 今回やること:超シンプルな「社員名簿」を作る
  4. ハンズオン 1: データをいれる「箱」を作ろう
  5. ハンズオン 2: 名簿の項目(フィールド)を定義しよう
  6. ハンズオン 3: テストデータを入れてみよう
  7. ハンズオン 4: Studioから触ってみよう!
  8. Queueとは何が違うの?
  9. まとめ:まずはExcelの置き換えから

1. Data Fabricを一言で言うと?

Data Fabric を一言で表すなら、

「RPA向けに進化した、クラウド版Excel」

この表現が一番しっくりきます。

  • ブラウザから見られる

  • 手入力もできる

  • でもファイルではない

  • ロボットが安全に扱える

Excelの使いやすさと、
データベースの安心感を、
RPA向けにちょうどよくまとめた仕組み、というイメージです。

 

2. Excel管理で起きがちな、RPAあるある

Excelは本当に便利です。
ただ、RPAと組み合わせると、こんな「あるある」が起きがちです。

  • 誰かが開いていてファイルロック

  • カラム名のコピペミス

  • スペルミスで実行時エラー

  • 「この列、何のためにあるんだっけ?」問題

特につらいのが、
ロボットを動かして初めてエラーに気づくこと。

Data Fabric を活用すると、
このあたりの事故を減らすことが可能です。

 

3. 今回やること:超シンプルな「社員名簿」を作る

百聞は一見に如かず、ということで
今回は 超シンプルな社員名簿 を作ってみます。

やることは3ステップだけです。

  1. Data Fabric に「社員名簿」という箱を作る

  2. ブラウザからデータを入れる

  3. Studioからそのデータを使ってみる

「Data Fabricってこんな感じか」が
ふんわり掴めればOKです。

 

4. ハンズオン 1: データをいれる「箱」を作ろう

基本的にはRDBとほぼ同じ考え方です。

下の画像でまとめた各所の呼び方だけおさえておきましょう。

Data Fabric.png

まず、データを保存するための「エンティティ(RDBでいうテーブル)」を作ります。

  1. Automation Cloud の左メニューからData Fabric を開きます。

  2. 画面右上にある「新しいエンティティを作成」ボタンをクリックします。

  3. 設定画面が出るので、以下のように入力して「保存」をクリックします。

    • 表示名: 社員名簿 (※人間が見る用の名前)

    • 名前: Employee (※システム用の英数字)

これで「社員名簿」という箱ができました。

Data Fabric1.png

 

5.  ハンズオン 2: 名簿の項目(フィールド)を定義しよう

今は空っぽの箱なので、項目(フィールド)を追加します。今回は「名前」「所属部署」を作ります。

  1. 画面中央にある大きな「+ 最初のオブジェクトを追加」ボタンをクリックします。

  2. 右から出てくるパネルで、「ローカルフィールド」を選択し、「続行」をクリックします。

    • (※ここで「外部ソース」を選ぶとSalesforce等と繋げることもできますが、今回はUiPath内部に保存するので「ローカル」です)

  3. 画面下に設定パネルが出ます。まず1つ目の項目を入力します。

    • 表示名: 名前

    • 名前: Name

    • : Text

  4. 続けて2つ目を入れるため、すぐ下の青い文字 + Add Field をクリックします。行が増えるので入力しましょう。

    • 表示名: 所属部署

    • 名前: Department

    • : Text

  5. 2つとも入力できたら、画面の右上にある「保存」ボタンをクリックします。

Data Fabric2.png

これで設計図が完成です!

 

6.ハンズオン 3: テストデータを入れてみよう

データの入れ方は様々ありますが、今回はブラウザから直接データを入れましょう。

※別ブログでデータの入れ方のバリエーションを、改めて語りたいと思います。

  1. 画面上のタブを「概要」から「データ」に切り替えます。

  2. 右上の「データを追加」をクリックします。

  3. フォームが出るので入力します。

    • 名前: 山田 太郎

    • 所属部署: 営業部

  4. 「保存」をクリック。これを2〜3人分繰り返してみてください。

【入力サンプル】

・名前: 佐藤 花子 / 所属部署: 人事部
・名前: 鈴木 一郎 / 所属部署: 開発部
・名前: 高橋 健太 / 所属部署: 経理部
・名前: 田中 美咲 / 所属部署: マーケティング部

ブラウザ上にデータが溜まっていくのが見えますよね? これでもう立派なデータベースです。

Data Fabric3.png

 

7.ハンズオン 4: Studioから触ってみよう!

ここからが本番です。UiPath Studio を起動して、このデータを使ってみましょう。

1. Data Fabric に接続する

Studioで空のプロジェクトを作ったら、リボン(画面上部)にある「エンティティを管理 (Manage Entities)」をクリックします。

すると、さっきクラウドで作った「Employee(社員名簿)」が見えているはずです!

チェックを入れて「保存」すると、

Data Fabric5.png

Studioが「お、Employeeっていう型を使うんだな」と認識します。

【超重要】ここで黄色いバーが出たら?

Data Fabric7-1.png

保存した後、画面上部に黄色い通知バーで「パッケージをインストール」と表示されることがあります。 これは「データを操作するための道具(アクティビティ)」を入れるための重要なボタンです。必ずクリックしてインストールしてください!
※すでにインストールされている場合はそのまま「今後表示しない」を選んでください。

 

2. データを取ってくる

アクティビティパネルで 「エンティティ レコードにクエリを実行」 を配置します。

クエリ=条件を指定してデータを検索する機能
(「これを、こういう条件で、こういう形で出して」と頼む命令)

  • エンティティ型: Employee を選択

  • 出力レコード: Ctrl+K で変数 employeeList を作成

Data Fabric6.png

これで全データが変数に入りました。

 

3. インテリセンス(入力支援機能)の威力を体感

最後に 「繰り返し (コレクションの各要素)」 を配置して、employeeList を回します。 ここで 設定が自動で行われているか 確認だけしましょう。(最近のStudioは賢いので、自動設定されていることが多いです!)

  1. 引数の型 (TypeArgument) を確認する 「繰り返し」アクティビティのプロパティパネルにある 「引数の型 (TypeArgument)」 を見てください。

    • ここが [プロジェクト名].Employee になっていれば そのままでOK です!

    • もし Object になっていたら、手動で「型の参照」から Employee を検索して設定してください。

  2. 項目名(変数名)を確認する アクティビティの中にある 「項目名」 という欄を見てください。

※おそらく currentEmployee と自動で入っているはずです。(ここに入っている名前が、このループ内での「ループ変数」になります)

Data Fabric11.png

確認できたら、「メッセージをログ」 アクティビティを本文に配置し、その名前を使ってこう打ってみてください。

currentEmployee.

...と打った瞬間! 候補に NameDepartment がズラッと出てきませんか?

Data Fabric8.png

これこそが 「Data Fabric × Studio」の真骨頂 です。

「え、候補が出るだけでしょ?」と思いましたか? いえいえ、思い出してみてください。

これまでのExcel操作では、

  • 列名をコピペ

  • スペルミス

  • 実行して初めてエラー

が当たり前でした。

Data Fabric では、

ロボット自身が
「このデータには何が入っているか」を知っている

この差は、想像以上に大きいです。

Data Fabric9.png

後は、「メッセージをログ」 アクティビティの中に

currentEmployee.Name + " (" + currentEmployee.Department + ")"

と書いて実行すれば、ログに社員名簿が出力されるはずです。

Data Fabric10.png

 

8.Queueとは何が違うの?

ここで少しだけ補足です。

Data Fabric は、
処理を流すための仕組みではありません。

  • Queue:処理を流す

  • Data Fabric:データを管理する

役割が違います。

まずは
「Excel管理を置き換えるもの」
として考えるのが、一番分かりやすいと思います。

 

まとめ:まずはExcelの置き換えから

Data Fabric という名前は少し仰々しいですが、
実態はとてもシンプルです。

  • SQLは書かない

  • サーバー管理も不要

  • Excelより安全

  • RPAと相性がいい

最初から難しいことをやる必要はありません。

  • 社員名簿

  • マスタデータ

  • 処理台帳

といった
「今Excelでやっているもの」 を、
少しずつ置き換えるところからで十分です。

次回は、
実運用ではどう使うのか?
QueueやAppsとの役割分担や、
設計の考え方をもう少し詳しく見ていきます。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部
先端技術統括部
DXコンサルティング部 デジタルイノベーション課
山崎 佐代子