
はじめに |
本記事では、次世代型データ管理ソリューション「Cohesity」の基本機能や特徴について、これからCohesityを学ばれる方にもわかりやすくご紹介させていただきます。
2024年12月、CohesityはVeritasとの統合により、世界最大のデータ保護ソフトウェアプロバイダーとなることが発表されました。この節目にあたり、改めてCohesityとは何か、どのような価値を提供するのかを整理しました。
※本記事ではNetBackupの詳細機能には触れておりませんので、あらかじめご了承ください。
Cohesityとは |
Cohesityとは、従来は分散管理されていたバックアップやファイルサーバー、アーカイブなどのセカンダリデータを1つの統合プラットフォームで管理・利活用することができる次世代型のデータ管理ソリューションです。
Google File Systemの主任開発者であり、Nutanixの元CTOであるMohit Aron氏によって設立されたCohesityは、AIを活用したデータセキュリティと運用効率に強みを持ちます。
特に、セカンダリストレージの分散・重複による運用負荷やコストの課題解決に適しており、「DataProtect」と「SmartFiles」という2つの主要ソフトウェアによりそれを実現しています。
DataProtect(バックアップ機能)
CohesityのDataProtectは、バックアップソフトとストレージを一体化したアプライアンスです。データの取得から保存、保護までを単一システムで完結させ、WORM(Write Once Read Many)形式によるイミュータブルな保存により、ランサムウェアなどの脅威からの保護を実現します。
SmartFiles(NAS機能)
SmartFilesは、SMB/NFS/S3に対応したマルチプロトコルなNAS機能です。WindowsやLinuxから同時アクセスが可能で、アーカイブ用途やセキュリティログ解析、非構造化データの保存、バックアップデータの検証環境構築など、様々な業務に対応できます。
Cohesityがもたらす効果 |
セカンダリストレージの統合による大幅なTCO削減
画像にあるようなバックアップを取得するためのバックアップソフト、そのバックアップソフトが導入されているサーバー、複数のバックアップ筐体や複製用のストレージ、ファイルサーバーなどを簡単に1台のCohesityへ統合することができます。
Cohesityで統合した結果、元のシステムの規模にもよりますが、従来の運用と比較して50%ものTCO (Total Cost of Ownership:総所有コスト)削減ができるケースもございます。
スケールアウト型による無限の拡張性
Cohesityはスケールアウト型のため、ノードを追加するだけで稼働中のシステムを止めずに容量や性能を拡張できる柔軟な仕組みとなっているため、リソースを増やしたくなった際に手間がかかりません。また、無停止でノード拡張やアップグレードが可能なため、運用を継続しながらメンテナンスが行える設計になっており、可用性と運用性に優れています。
Cloudもオンプレも、用途に合わせて柔軟にデータ配置
Cohesityは、用途に合わせて柔軟にデータを配置することができます。外部のNASやクラウドストレージへのアーカイブ、使用頻度の低いデータの自動クラウド移行などが可能です。クラウド上のCohesityとレプリケーションすることで、DR対策やテスト環境として活用できます。
Cohesityを導入することでバックアップ業界にて推奨されている3-2-1ルールに準拠した構成をすぐに構築することができます。
AI/MLを活用したランサムウェア対策
HeliosというCohesity全体を一元管理できるSaaS型の統合管理ツールが利用可能で、Heliosにはふるまい検知機能がついておりネイティブで利用可能です。それにより保存されたデータをAI/MLにより、通常とは異なる挙動(外部からの攻撃)を検知した際に知らせてくれます。また追加オプション製品であるCohesity DataHawkと連携することで脅威検知機能を強化することができます。
Veritas統合を経て |
Veritasの統合を発表し、完全統合が完了したCohesityですが、気になるのはVeritasが提供していたNetBackupのロードマップかと思います。CohesityとVeritasの統合後である今年3月にNetBackup 11.0がリリースされ、製品名が「Cohesity NetBackup」に変更されました。UIの刷新を含む多くの改善が加えられており、引き続き安心して利用可能です。
CohesityのDataProtectとVeritasのNetBackupが将来的に1つの統合プラットフォームとして利用可能になる構想が進んでいます。以下、そのロードマップをPhase1:継続、Phase2:結合、Phase3:コンバージドの3段階で紹介します。
Phase1:継続
現在のステータスとなります。Cohesity DataProtectとNetBackupがそれぞれに対してそれぞれのログインを行う形で統一された見た目と操作感が継続的に提供されています。
Phase2:結合
Phase2ではHeliosがNetBackupを含めて統合管理できるようになっていく予定となっております。
Phase3:コンバージド
Cohesity Gaiaも合わせた全てを統合管理できるようになり、Cohesity Data Platform上でNetBackupが動作するサービスを予定しております。実現した際にはSpanFSでNetBackupが動作するようになり、DataProtectとNetBackupが完全に統合されていく予定となっております。
Phase3完了後には、NetBackupで取得したバックアップデータに関してもHeliosでふるまい検知することができるようになりセキュリティレベルが高くなります。またCohesityが提供する重複排除、スナップショットやSnapTree、高速リストアというCohesityの特徴ともいえる機能をNetBackupでも利用できるようになります。
まとめ |
今回は、Cohesityの基本機能や特徴について改めて整理しご紹介しました。Veritasとの統合により、CohesityはVeritasの高度なバックアップ技術と豊富な運用ノウハウを取り込み、エンタープライズ対応力を一段と強化。さらに、管理対象データ量が100EBを超えたことで、AIによるふるまい検知の精度や、多様な脅威パターンへの対応力が格段に向上していくのではないでしょうか。
引き続きVeritas統合後の更なる進化に注目し続け、随時アップデート情報をお届けします。
また、今回紹介した主要機能や追加機能の詳しい解説については今後掲載予定ですので、是非ご活用いただければと思います。
※本記事に記載の内容は投稿時点の情報をまとめたものとなります。
今後アップデートが重なるにつれ正確性、最新性は損なわれる可能性がありますのでご了承ください。
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
大塚 芳輝