
この記事は「VCF/VVF 9.0 構築シリーズ」の第2回目です。
以前のバージョンであるVMware Cloud Foundation(VCF)5.xでは、VMware Cloud Builderと呼ばれる仮想アプライアンスを使用して、vCenter、vSAN、NSXを自動展開させ、SDDC Managerを使用してライフサイクル管理を行っていました。また、VCF OperationsやVCF Automationなどのコンポーネントを使用する場合は、主にVMware Aria Suite Lifecycleを使用して、デプロイやライフライクル管理を行なっていたかと思います。
VCF 9からは、VCF Installerと呼ばれる仮想アプライアンスで提供されるツールを使用して、vCenter、NSX、SDDC Manager、VCF Operations、VCF Automationを全て一気に自動展開することが可能です。
また、今までSDDC Managerが持っていたライフサイクル管理の機能は、全てVCF Operationsへ移行しました。そのため、ライセンス認証やライフサイクル管理など、VCFに関するすべての管理作業が、VCF Operationsに一本化されることとなり、よりシンプルに効率よく管理していくことが可能となりました。
今回の連載記事では、VCF InstallerによるVCF 9.0の新規構築の手順をご紹介していきます。
環境図
今回の検証環境の全体図になります。第2回目では、赤枠の範囲を解説します。
VCF 9.0の新規構築
ブラウザからVCF Installerへログインします。ユーザー名には、admin@localがすでに入力されていますので、設定したパスワードを入力します。
デプロイに進みます。今回はVCFを構築していくため、「VMware Cloud Foundation」を選択します。
新しくVCFフリートをデプロイします。既存でVCFフリートがある環境の場合、VCFインスタンスを追加する作業もVCF Installerから行うこともできます。「続行」をクリックします。
既存のコンポーネントの有無を問われます。今回は全て新規インストールとなるため、チェックを入れずに「次へ」をクリックします。
VCFフリートの全般的な情報を入力していきます。また、今回のデプロイモデルは単一ノードにします。
- バージョン
VCFのバージョンを選択する - VCFインスタンス名
任意のVCFインスタンス名を入力する - 管理ドメイン名
vCenterやvDSなど、Management Domain内のオブジェクト名に一部つけられる名前 - デプロイモデル
- シンプル
このデプロイモデルでは単一ノードとなり、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが1つずつデプロイされる - 高可用性
このデプロイモデルでは、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが3つずつデプロイされ、可用性を確保した構成が可能
- シンプル
- DNSおよびNTPサーバー
このDNS、NTPの情報は、これから作成されるアプライアンスにのみ適用され、既存でインポートしたものには適用されない
所々にチェックボックスがあるのであわせてご紹介します。
- VCF OperationsおよびVCF Automation用のカスタムネットワーク構成
VCF Installerではデフォルトで、この2つのアプライアンスが接続するvDSのポートグループが同一になるようにデプロイされる。分けたい場合はこのチェックボックスを入れる必要あり - パスワードの作成
各コンポーネントのパスワードを自動生成し、VCF Operations上で自動管理したい場合はチェックを入れる
続いてVCF Operationsの設定に移ります。設定項目は下記になります。今回は単一ノードで作成するため、展開されるVCF Operationsアプライアンスの数は1台になります。
- VCF Operationsアプライアンス
- Operations Applianceのサイズ
- OperationsのプライマリFQDN
- 各種パスワード
- フリート管理アプライアンス
VCFフリートの管理コンポーネント群のライフサイクル管理を行う- アプライアンスのFQDN
- 各種パスワード
- Operations Collectorアプライアンス
- アプライアンスのFQDN
- 各種パスワード
フリート管理アプライアンスとOperations Collectorアプライアンスの各種パスワードは、チェックを入れることでVCF Operationsアプライアンスと同じものを使用することも可能です。
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
次はVCF Automationの設定に移ります。設定項目は下記です。
- アプライアンスのFQDN
- 管理者パスワード
- ノードIP 1
今回は単一ノードで作成するが、今後アップグレードした際に使用されるノードIPをあらかじめ指定しておく必要がある - ノードIP 2
- ノード名のプリフィックス
全てのノード名の先頭に付加される名前 - 内部クラスタCIDR
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いてvCenterの情報を入力していきます。
- アプライアンスの FQDN
- プライアンスのサイズ
- アプライアンスのストレージサイズ
- データセンター名
- クラスタ名
- ドメイン名
- 各種パスワード
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いてNSX Managerの情報を入力していきます。今回は単一ノードで作成するため、展開されるNSX Managerアプライアンスの数は1台になります。
- アプライアンスのサイズ
- クラスタのFQDN
- アプライアンスのFQDN
今回は単一ノードのため、デプロイされるアプライアンスは1つ - 各種パスワード
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて、ストレージの設定に移ります。
VCF 9からManagement Domainのストレージタイプが選択できるようになりました。今回は、vSAN OSAを選択します。
- ストレージタイプの選択
- vSANアーキテクチャ
- vSANデータストア名
- 許容障害数
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いてESXホスト情報を入力していきます。まずはESXのrootパスワードを入力します。
続いてホストのFQDNを入力します。ホスト数を増やしたい場合は、「ホストの追加」をクリックして、入力枠を増やせます。今回は4台のESXをManagement Domainとして構成するため、1台分追加しておきます。
FQDN入力後、ホストのフィンガープリントを確認します。「すべてのフィンガープリントを確認」をクリックすれば、全ホストのフィンガープリントの確認を行うことができます。
フィンガープリントの確認まで無事終了したら、「次へ」をクリックして進みます。
続いてネットワークの設定を行います。設定するネットワークはESX管理・仮想マシン管理・vMotion・vSANになります。
各ネットワークにおいて、VLAN ID・MTU・CIDR・GWを設定していきます。また仮想マシン管理ネットワークに関しては、チェックを入れることでESX管理ネットワークと同ネットワークにすることが可能です。
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて分散仮想スイッチ(vDS)の設定になります。vDSの構成には、事前構成済みのデフォルトプロファイルを使用するか、カスタムプロファイルを作成していくか、選択することができます。
今回はデフォルトプロファイルを使用します。
- デフォルト
1つのvDS上にESX管理、仮想マシン管理、vSAN、vMotion、NSXトランスポートゾーンの各ポートグループが最初から自動的に作成されている - カスタムスイッチ構成
デフォルトとは異なり、最初からポートグループが作成されていないため、手動で設定していく
NSXのトランスポートゾーンでは、主に下記項目の設定を行います。
- トランスポートゾーン名
自動入力されている - VLAN ID
- IP アドレス割り当て (TEP)
- DHCP
- IP アドレスプール
- プール名
- CIDR
- IP アドレス範囲の開始 / 終了
- ゲートウェイ
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
最後にSDDC Managerの設定を行います。SDDC Managerは今後のリリースにて廃止される予定になっています。VCF 9.0ではまだ使用されているため、下記項目を設定する必要があります。
- アプライアンスの FQDN
- 各種パスワード
内容を確認し問題がなければ、「次へ」をクリックして確認に進みます。
内容に問題がないかを確認し、問題なければ「次へ」をクリックして事前チェックに進みます。
事前チェックのステータスが"成功"になればデプロイへ進むことができます。
ステータスが"警告"の項目については、内容を確認した上で「確認」をクリックすると、先へ進むことができます。
デプロイが開始されると、下記の画面で進行状況が把握できます。
全てデプロイが完了すると下記の画面になります。これでVCF 9の新規構築は完了です。画面にある「VCF Operationsユーザーインターフェースを開く」をクリックすることで、VCF Operationsのログイン画面へ飛ぶことができます。
この先はVCF Operationsにログインし、各操作を行なっていくことになります。
次回はVCF Installerを使用して、VVFを新規構築します。
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -
VMware vExpert