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【VCF/VVF 9.0 構築シリーズ】第2回 VCF 9.0の新規構築

仮想化
2025.07.30

この記事は「VCF/VVF 9.0 構築シリーズ」の第2回目です。

以前のバージョンであるVMware Cloud Foundation(VCF)5.xでは、VMware Cloud Builderと呼ばれる仮想アプライアンスを使用して、vCenter、vSAN、NSXを自動展開させ、SDDC Managerを使用してライフサイクル管理を行っていました。また、VCF OperationsやVCF Automationなどのコンポーネントを使用する場合は、主にVMware Aria Suite Lifecycleを使用して、デプロイやライフライクル管理を行なっていたかと思います。

VCF 9からは、VCF Installerと呼ばれる仮想アプライアンスで提供されるツールを使用して、vCenter、NSX、SDDC Manager、VCF Operations、VCF Automationを全て一気に自動展開することが可能です。

また、今までSDDC Managerが持っていたライフサイクル管理の機能は、全てVCF Operationsへ移行しました。そのため、ライセンス認証やライフサイクル管理など、VCFに関するすべての管理作業が、VCF Operationsに一本化されることとなり、よりシンプルに効率よく管理していくことが可能となりました。

今回の連載記事では、VCF InstallerによるVCF 9.0の新規構築の手順をご紹介していきます。

環境図

今回の検証環境の全体図になります。第2回目では、赤枠の範囲を解説します。

環境図.png

VCF 9.0の新規構築

ブラウザからVCF Installerへログインします。ユーザー名には、admin@localがすでに入力されていますので、設定したパスワードを入力します。

図9.png

デプロイに進みます。今回はVCFを構築していくため、「VMware Cloud Foundation」を選択します。

図1.png

新しくVCFフリートをデプロイします。既存でVCFフリートがある環境の場合、VCFインスタンスを追加する作業もVCF Installerから行うこともできます。「続行」をクリックします。

図2.png


既存のコンポーネントの有無を問われます。今回は全て新規インストールとなるため、チェックを入れずに「次へ」をクリックします。

図3.png


VCFフリートの全般的な情報を入力していきます。また、今回のデプロイモデルは単一ノードにします。

図4.png

  • バージョン
    VCFのバージョンを選択する
  • VCFインスタンス名
    任意のVCFインスタンス名を入力する
  • 管理ドメイン名
    vCenterやvDSなど、Management Domain内のオブジェクト名に一部つけられる名前
  • デプロイモデル
    • シンプル
      このデプロイモデルでは単一ノードとなり、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが1つずつデプロイされる
    • 高可用性
      このデプロイモデルでは、VCF Operations、VCF Automation、NSX Managerの各アプライアンスが3つずつデプロイされ、可用性を確保した構成が可能
  • DNSおよびNTPサーバー
    このDNS、NTPの情報は、これから作成されるアプライアンスにのみ適用され、既存でインポートしたものには適用されない

所々にチェックボックスがあるのであわせてご紹介します。

  • VCF OperationsおよびVCF Automation用のカスタムネットワーク構成
    VCF Installerではデフォルトで、この2つのアプライアンスが接続するvDSのポートグループが同一になるようにデプロイされる。分けたい場合はこのチェックボックスを入れる必要あり
  • パスワードの作成
    各コンポーネントのパスワードを自動生成し、VCF Operations上で自動管理したい場合はチェックを入れる

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いてVCF Operationsの設定に移ります。設定項目は下記になります。今回は単一ノードで作成するため、展開されるVCF Operationsアプライアンスの数は1台になります。

図5.png

  • VCF Operationsアプライアンス
    • Operations Applianceのサイズ
    • OperationsのプライマリFQDN
    • 各種パスワード
  • フリート管理アプライアンス
    VCFフリートの管理コンポーネント群のライフサイクル管理を行う
    • アプライアンスのFQDN
    • 各種パスワード
  • Operations Collectorアプライアンス
    • アプライアンスのFQDN
    • 各種パスワード

フリート管理アプライアンスとOperations Collectorアプライアンスの各種パスワードは、チェックを入れることでVCF Operationsアプライアンスと同じものを使用することも可能です。
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


次はVCF Automationの設定に移ります。設定項目は下記です。

図6.png

  • アプライアンスのFQDN
  • 管理者パスワード
  • ノードIP 1
    今回は単一ノードで作成するが、今後アップグレードした際に使用されるノードIPをあらかじめ指定しておく必要がある
  • ノードIP 2
  • ノード名のプリフィックス
    全てのノード名の先頭に付加される名前
  • 内部クラスタCIDR

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いてvCenterの情報を入力していきます。

図7.png

  • アプライアンスの FQDN
  • プライアンスのサイズ
  • アプライアンスのストレージサイズ
  • データセンター名
  • クラスタ名
  • ドメイン名
  • 各種パスワード

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いてNSX Managerの情報を入力していきます。今回は単一ノードで作成するため、展開されるNSX Managerアプライアンスの数は1台になります。

図8.png

  • アプライアンスのサイズ
  • クラスタのFQDN
  • アプライアンスのFQDN
    今回は単一ノードのため、デプロイされるアプライアンスは1つ
  • 各種パスワード

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いて、ストレージの設定に移ります。
VCF 9からManagement Domainのストレージタイプが選択できるようになりました。今回は、vSAN OSAを選択します。

図9.png

  • ストレージタイプの選択
  • vSANアーキテクチャ
  • vSANデータストア名
  • 許容障害数

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いてESXホスト情報を入力していきます。まずはESXのrootパスワードを入力します。

続いてホストのFQDNを入力します。ホスト数を増やしたい場合は、「ホストの追加」をクリックして、入力枠を増やせます。今回は4台のESXをManagement Domainとして構成するため、1台分追加しておきます。

図10.png

FQDN入力後、ホストのフィンガープリントを確認します。「すべてのフィンガープリントを確認」をクリックすれば、全ホストのフィンガープリントの確認を行うことができます。

図11.png

フィンガープリントの確認まで無事終了したら、「次へ」をクリックして進みます。


続いてネットワークの設定を行います。設定するネットワークはESX管理・仮想マシン管理・vMotion・vSANになります。

各ネットワークにおいて、VLAN ID・MTU・CIDR・GWを設定していきます。また仮想マシン管理ネットワークに関しては、チェックを入れることでESX管理ネットワークと同ネットワークにすることが可能です。

図12.png

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


続いて分散仮想スイッチ(vDS)の設定になります。vDSの構成には、事前構成済みのデフォルトプロファイルを使用するか、カスタムプロファイルを作成していくか、選択することができます。
今回はデフォルトプロファイルを使用します。

  • デフォルト
    1つのvDS上にESX管理、仮想マシン管理、vSAN、vMotion、NSXトランスポートゾーンの各ポートグループが最初から自動的に作成されている
  • カスタムスイッチ構成
    デフォルトとは異なり、最初からポートグループが作成されていないため、手動で設定していく

図13.png

NSXのトランスポートゾーンでは、主に下記項目の設定を行います。

図14.png

  • トランスポートゾーン名
    自動入力されている
  • VLAN ID
  • IP アドレス割り当て (TEP)
  • DHCP
  • IP アドレスプール
  • プール名
  • CIDR
  • IP アドレス範囲の開始 / 終了
  • ゲートウェイ

全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


最後にSDDC Managerの設定を行います。SDDC Managerは今後のリリースにて廃止される予定になっています。VCF 9.0ではまだ使用されているため、下記項目を設定する必要があります。

図15.png

  • アプライアンスの FQDN
  • 各種パスワード

内容を確認し問題がなければ、「次へ」をクリックして確認に進みます。


内容に問題がないかを確認し、問題なければ「次へ」をクリックして事前チェックに進みます。

図16.png

事前チェックのステータスが"成功"になればデプロイへ進むことができます。
ステータスが"警告"の項目については、内容を確認した上で「確認」をクリックすると、先へ進むことができます。

図17.png

デプロイが開始されると、下記の画面で進行状況が把握できます。

図18.png

全てデプロイが完了すると下記の画面になります。これでVCF 9の新規構築は完了です。画面にある「VCF Operationsユーザーインターフェースを開く」をクリックすることで、VCF Operationsのログイン画面へ飛ぶことができます。

図19png.png

この先はVCF Operationsにログインし、各操作を行なっていくことになります。

次回はVCF Installerを使用して、VVFを新規構築します。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -

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